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2021年5月17日

12869:詐病:とは

詐病:

清澤のコメント:眼に関する神経疾患で、心因性視覚障害の類縁疾患としての詐病です。詐病でも心因性視力障碍でも、どちらも見えない(見難い)と訴えますが、心因性視力障害では本人に詐く意図がなく、詐病では詐く意図がある点が最も違う所です。疾病利得の有無も診断の参考になります。本人の訴える視力障害の全てが詐病による訳ではなく、目や視神経の病変の重篤さと、視機能低下が十分に対応していないという場合がより多い様です。

  • 疾患の定義

実際には障害がない、あるいは軽微であるにも関わらず、経済的、社会的な利益享受を目的として、病気であるように、または実際よりも誇張して訴え振る舞うことを詐病という。本人は虚偽であることを承知している。視覚に関わる詐病を詐盲という。

  • 全身症状・所見

疾患が存在しなければ病的所見はない。詐病のきっかけとなる外傷等の事象があれば、それ応じた所見を示す。

  • 眼科的所見

 全身症状同様、疾患がなければ他覚的所見はなく、ある場合でも自覚的な症状よりも軽微で乖離がみられる。詐病にみられる眼症状は、視力低下が最も多く、視野狭窄、複視、近見障害(調節障害)、眼精疲労、流涙、羞明、飛蚊症、変視症等、多岐に亘る。片眼性に訴える、あるいは片眼の疾患を両眼性に装うこともある。

  • 確定診断に必要な検査

 確定診断に絶対的に必要といえる検査はない。詳細な病歴聴取に基づき自覚的検査で得られる所見他覚的検査の結果で説明できないものであることが決め手になる。

まず、病歴聴取の際に、交通事故等の被害者、労災に関わる外傷後等、保険金や損害賠償などの受給に関わる場合には注意深く、かつ慎重に症状を聞き、細かく記録することが重要である。詐病の場合、患者は症状の発症を、発端となる事象と結び付け、因果関係があるように説明する。また、診断書等の証明書類を執拗に求める。

  視力、屈折検査、眼底検査等、一般的な眼科検査はすべておこなっておく。その他、主訴に応じて調節検査、眼位検査などを追加する。瞳孔反応や視運動性眼振(OKN)およびOKN抑制検査、網膜電図(ERG)、パターン刺激を用いた視覚誘発電位(pattern VEP)といった他覚的所見を得られる検査が必要である。ただし、詐病患者はそれらの検査を受けることに協力的でないことも多い。検査可能であった場合には検査実施中も患者の様子をよく観察し、適切な結果が得られるよう指示に従がって検査を受けているか確認する。詐病の場合、他覚的検査の結果に自覚的な症状を説明するに足るだけの所見を認めない。片眼性の場合はプラスレンズによる不完全遮閉下での視力検査や両眼視検査など、両眼性の検査を装って障害を訴える側の眼の検査をおこなう方法も報告されている。両眼性の盲を訴える場合には、慎重に行動観察もおこなう。突然見えなくなった割には物にぶつかったりすることが少ない。待合室等、医療者が見ていないところでの行動を観察することや、患者の不意を打って瞬目等の視覚性反射を観察する方法も有用である。

  • 鑑別が必要な疾患

詐病を疑うあまりに眼疾患を見逃さないようにする。発症当初、眼底に所見の出にくい疾患など、光干渉断層計などを用いることで鑑別することができる。また、転換性(心因性)障害や虚偽性障害との鑑別は重要である(〇項参照)。

表1

全身所見:① きっかけとなる外傷等の所見

眼科的所見:自覚的検査所見:① 視力低下、② 視野狭窄、③ 複視、④ 近見(調節)障害、⑤ 眼精疲労、⑥ 羞明 他:→すべて他覚的検査所見なし

表2:診断のポイントとなる検査所見

①瞳孔反射、ERG、パターンVEP⇒正常 または自覚症状との乖離を検討する

② プラスレンズを用いた視力測定、偏光レンズを用いた視力測定、両眼視検査⇒片眼性の場合に有効

追記:留学中の指導医が話してくれた例として、両眼が見えないといっていた人が涙を拭いたティッシュペーパーをごみ箱に捨てたという例があった。また、大学の神経眼科外来で、交通事故の後で見えないと訴えて白杖を使って受診していた患者さんがいた。大学の敷地を出たところで白杖をたたみ、普通に歩いて帰って行ったのを、先輩の先生が確認できたたというケースもありました。詐病という診断書は書きにくいので、他覚的検査所見と自覚的訴えが十分には対応していないなどという記載をします。

追記2:詐盲患者の検査 https://eyemartnepal.com/eye-examination-techniques-for-malingering-patients-a-review/から抄録と前書きです。

Janak Poudel :Vittala International Institute of Ophthalmology、インド

概要:
詐病は、眼科疾患を模倣するか、眼科疾患の矛盾として現れます。眼科疾患の模倣または否定のすべての場合において、唯一の理由があります。それは患者のメリットと利得です。利益は金銭的または非金銭的である可能性があります。時には、兵役や仕事からの脱出、裁判所の罰金の免除、保険会社からの補償を得る巧妙な方法、不要な無料の薬や医療機器の要求という理由かもしれません。詐欺師は、眼科医/検眼医をだますためにあらゆることをします。一般的に、それはうつ病、不安、パニック発作、線維筋痛症および精神障害の同時診断に関連しています。

前書き:
眼科医と検眼医は、今日、彼らが彼らの状態について説明することができず、それらに対処することが非常に難しい機能的視力喪失について問題に直面して不平を言っています。最も徹底的な検査と質問でさえ視力喪失の合理的な原因を明らかにしない場合、検眼医または眼科医は眼の詐病を疑うかもしれません。詐盲は、眼科疾患を模倣するか、眼科疾患の矛盾として現れます。眼科疾患の模倣または否定のすべての場合において、唯一の理由があります。メリットと利得。利益は金銭的または非金銭的である可能性があります。時には、兵役や仕事からの脱出、裁判所の罰金の免除、保険会社からの補償を得る巧妙な方法、不要な無料の薬や医療機器の要求が理由かもしれません。彼らの主なモットーは、家族や近所から共感を集めることです。詐欺師は、眼科医/検眼医をだますためにあらゆることをします。一般的に、それはうつ病、不安、パニック発作、線維筋痛症および精神障害の同時診断に関連しています。医師の行動と検査技術を理解するために、詐病患者は彼/彼女の誤った行動を隠すために非常に注意深くそして賢くなります。
私たちが彼らの誤った行動について正しく説明した場合、患者は眼科医/検眼医に対して暴行したり、何らかの不正行為を示したりする可能性があります。最初は、眼科医/検眼医が患者が本当に病気であるかどうか、または彼らが詐病であるかどうかを区別することは非常に困難です。

Categorised in: 視力低下