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2016年7月21日

7970:病的近視で失明、小児期に特徴的所見:記事紹介

病的近視で失明、小児期に特徴的所見

東京医科歯科大、視神経周囲のびまん性萎縮病変がサイン

化学工業日報2016年6月10日 (金)配信

 東京医科歯科大学大学院の大野京子教授と横井多恵助教の研究グループは、主要な失明原因である病的近視を発症した患者では、小児期において通常の学童近視と異なる特徴的な眼底所見を示すことを突き止めた。この所見により、病的近視による失明のリスクがある小児を早期に同定し、失明回避に向けた集中ケアが可能になるという。同研究は文部科学省科学研究費補助金の支援のもとで行われた。

 病的近視では眼球がいびつに変形することにより、網膜や視神経を障害され失明する。日本の疫学研究(多治見スタディ)でも病的近視は失明原因の20%を占め最多。世界的に、とくに日本を含む東アジア諸国で学童および若年の近視の頻度が急激に増加し社会問題となっている。しかし、学童や若年において、近視の程度が進むと将来、失明原因となる病的近視にまでいたるのか、それとも眼鏡などを装用すれば一生良好な矯正視力を維持できるのかは不明だった。

 東京医科歯科大学眼科には、登録患者約4000人を擁する世界最大の強度近視専門外来がある。申請者らは実際に成人以降に病的近視による失明を来した患者において、小児期の眼底所見を後方視的に検討し、将来の病的近視発症を予測する小児期の特徴的な眼底所見を調べた。

 強度近視外来通院中の病的近視による視覚障害患者のうち、初診時年齢15歳以下、経過観察期間20年以上を満たす35眼について調べたところ、成人以降に病的近視を発症した患者の83%では、小児期にすでに視神経周囲にびまん性萎縮病変がみられ、眼底所見が通常の学童近視と異なることを突き止めた。この結果、病的近視による失明にいたる患者では、すでに小児期において一般の学童近視と異なる眼底所見の特徴を示し、視神経周囲のびまん性萎縮が将来の病的近視発症を予測する重要なサインであることを解明した。

 今回の研究成果により、病的近視による失明を起こし得るハイリスク小児と、眼鏡矯正などを行えば良好な視力を維持できる通常の学童近視とを早期に鑑別することが可能となる。通常の学童近視に対しては、失明に対する過度な不安を取り除く指導ができるとともに、病的近視発症のハイリスクがある小児については早期に的確に診断し、病的近視への進行を抑制する予防的介入を選択的に行うことが可能になるという。

眼科医清澤のコメント:老境に入るころに網膜病変が強く、視力障害をも強く示す病的近視は、失明の原因として重要な者の一つです。医科歯科大学の眼科は、長年その臨床研究を続けてきたわけですが、今回のご発表にも感服いたします。

Categorised in: 視力低下