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2020年11月15日

12432:「知って得する近視進行抑制法」 平岡孝浩先生の講演を聞きました

清澤のコメント:近視進行を抑制する方法について様々な点をビジョンケア2020では筑波大学平岡孝浩先生が紹介していました。此処は常に進歩している領域ですからキャッチアップしながら臨床診療を進めたいと感じました。保険採用はされてはいませんが、一部の眼科医が既に始めている低濃度アトロピン治療はそろそろ臨床に取り入れることを考えていってもよい時期が来ているのかもしれません。台湾での研究から①読書の視距離を30cmを保つ、②近業を30分以上続けない、③休み時間は子供を屋外に出すということで、キーワード30を演者は提唱しました。

  ---聴講メモ---

近視が強いほど近視関連疾患(白内障、緑内障、網膜剥離、黄斑症)は増える。

①過度の近業、②都市部、③高学歴、④屋外活動で抑制、⑤遺伝がその要因である。

治療法には1)薬物として:トロピカマイド、眼圧下降剤、アトロピン、ピレンゼピンと

2)光学的アプローチ:低矯正眼鏡、累進屈折力眼鏡、オルソケラトロジー、多焦点ソフトコンタクトレンズなどがある。

1、眼鏡 

①調節ラグ理論、PAL累進屈折力眼鏡が眼軸の過伸展を抑制する、周辺部の形態覚遮断が近視を起こす(ゴーグルをつけたサル。黄斑を焼いたサル)という説あり。

②軸外収差理論 マイオビジョン(ツアイス社)日本の多施設トライアルは失敗した。

③DIMS:Defocus incorporated multiple segments (3.5Dの手前の焦点を作る方法)近視進行を52%抑制したという。

2、オルソケラトロジー:

2年で46%抑制した。だが多くの論文のエビデンスレベルは低い。日本では36%だが有効。RCT(ランダマイズドクリニカル)は、IOVS、2012年チョー(ロミオスタディー:下に引用)。その後エビデンスレベルが最高レベルであるメタ解析が4報出た。部分的に4Dのみオルソ治療し眼kyプで補うという方法もある。トーリック(乱視を乗せた)オルソケーというものもある。そのメカニズムは軸外収差理論で説明される。

3、アトロピン、(アトムスタディー及び同2参照)の紹介。このレポートの末尾にこの論文のアブストラクトを引用します(清澤)。0.01%での副作用が少ないので、0.01%が流行した。しかし最近のLAMPスタディーでは効果の点で0.05%がよさそうだともいう。作用機序は調節を介さない薬理作用かとされる。アトロピンとオルソの併用が良いかもしれないという説もある。アトロピンとオルソ併用の効果は近視の軽いものではよいが、中等度以上の近視では薄いともいう。

4、多焦点ソフトコンタクトレンズによる近視抑制効果:マイサイトがクーパーから海外で既に発売されている。EDOF(イードフ:深い焦点のレンズ)レンズもある。イードフは異なるデザインでも同等の禁止抑制効果があるとも報じられている。ワンデーピュア―イードフが国内でも既に発売されている。

5、台湾での研究 ①視距離30cm、②近業を30分以上続けない、③休み時間は屋外に出す。が有効であった。キーワード30が提唱された。低矯正もよくないので、調節麻痺をして完全矯正を。

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追記1 :発表中で紹介された2012年チョーの論文の要旨の採録です

概要

目的。: このシングルマスクランダム化臨床試験は、近視コントロールに対するオルソケラトロジー(ortho-k)の有効性を評価することを目的としています。

メソッド。: 6歳から10歳までの、近視が0.50から4.00ジオプトリー(D)で乱視が1.25D以下の、合計102人の適格な被験者が、オルソケラトレンズまたはシングルビジョンメガネを着用するようにランダムに割り当てられました。 2年の期間。軸方向の長さは、マスクされた検査官による眼内レンズ計算によって測定され、ベースライン時および6か月ごとに実行されました。この研究は、ClinicalTrials.gov、番号NCT00962208に登録されました。

結果。: 全部で78人の被験者(ortho-kグループで37人、コントロールグループで41人)が研究を完了しました。 2年後の平均軸方向伸びは、ortho-k群と対照群でそれぞれ0.36±0.24mmと0.63±0.26mmであり、ortho-k群では有意に遅かった(P <0.01)。軸方向の伸びは初期近視とは相関していなかったが(P > 0.54)、被験者の初期年齢とは相関していた(P<0.001)。近視の進行が速い(年間1.00Dを超える)被験者の割合は、対照群のより若い(年齢範囲:7〜8歳)およびより古い(年齢範囲:9〜10歳)子供でそれぞれ65%および13%でした。グループとortho-kグループではそれぞれ20%と9%でした。5人の被験者が有害事象のためにオルソケラト治療を中止しました。

結論。: 平均して、オルソケラトレンズを着用している被験者は、シングルビジョングラスを着用している被験者と比較して、軸方向の伸びの増加が43%遅くなりました。年少の子供は軸方向の伸びが速い傾向があり、早期のオルソケラト治療の恩恵を受ける可能性があります。(ClinicalTrials.gov番号、NCT00962208。)

紹介文献2:小児近視の治療のためのアトロピン:0.5%、0.1%、および0.01%の用量の安全性と有効性(近視の治療のためのアトロピン2)

https://doi.org/10.1016/j.ophtha.2011.07.031

目的

私たちの以前の研究である近視1の治療のためのアトロピン(ATOM1)は、アトロピン1%点眼薬が近視の進行を制御するのに効果的であるが、毛様体筋麻痺と散瞳に起因する視覚的副作用を伴うことを示しました。この研究の目的は、アトロピンの3つの低用量(0.5%、0.1%、および0.01%)の有効性と視覚的副作用を比較することでした。

設計

単一施設、二重マスク、ランダム化試験。

参加者

少なくとも-2.0ジオプトリー(D)の近視および-1.50D以下の乱視を有する6〜12歳の合計400人の子供。

介入

子供たちは2:2:1の比率で0.5%、0.1%、0.01%のアトロピンにランダムに割り当てられ、2年間両眼に1晩1回投与されました。毛様体筋麻痺の屈折、軸方向の長さ、調節の振幅、瞳孔の直径、および視力は、ベースライン、2週間、その後4か月ごとに2年間記録されました。

主な成果対策

2年で近視の進行。変化が記録され、Huber–Whiteの堅牢な標準誤差を使用してグループ間の違いが比較され、1人あたり2つの目のデータクラスタリングが可能になりました。

結果

2年後の平均近視進行は、アトロピン0.5%、0.1%、0.01%群でそれぞれ-0.30±0.60、-0.38±0.60、-0.49±0.63Dでした(0.01%と0.5%の間でP = 0.02)グループ;他の濃度間P > 0.05)。比較すると、ATOM1の近視の進行は、プラセボ群で-1.20±0.69D、アトロピン1%群で-0.28±0.92Dでした。軸方向の長さの平均増加は、0.5%、0.1%、および0.01%のグループでそれぞれ0.27±0.25、0.28±0.28、および0.41±0.32mmでした(P0.01%と0.1%のグループ間および0.01%と0.5%のグループ間で<0.01)。ただし、グループ間の近視の進行(0.19 D)と軸方向の長さの変化(0.14 mm)の違いは小さく、臨床的に重要ではありませんでした。アトロピン0.01%は、調節と瞳孔の大きさにほとんど影響を与えず、近視力には影響を与えませんでした。アレルギー性結膜炎と皮膚炎が最も一般的な副作用であり、0.1%と0.5%のアトロピン群で16例、0.01%の群で症例はありませんでした。

結論

アトロピン0.01%は、0.1%および0.5%のアトロピンと比較して副作用が最小限であり、近視の進行を制御する上で同等の有効性を保持しています。

Categorised in: 近視、強度近視