お問い合わせ

03-5677-3930WEB

ブログ

2018年9月27日

10137:ぶどう膜診療のアップデート(鴨居功樹先生)聴講印象記

ぶどう膜炎診療のアップデート

第5回江東区医師会眼科医会学術講演会

東京医科歯科大 眼科 鴨居功樹 先生

清澤のコメント:本日は、東京医科歯科大学の後輩にあたる鴨井先生に上記のテーマでのお話を伺いました。お話のレベルは高いが、各項目は理解可能な講演でした。その聴講印象記です。少しでも自分の記憶にとどめようとメモを取ってみました。章立てを勝手に立ててしまっていますので、後から講師に見て修正いただきたいと思います。

 ――以下、あらすじの聞き書きノートです―――

  • ぶどう膜炎診断のアップデート

全貌蓄膿などの症状を検眼鏡、検体検査、画像検査などで診断する

  • 歴史:この100年で診断される疾患が随分変わっている

・1800年までが梅毒が多かった

・1909年になると(ワッセルマンテストの登場で)梅毒は減り、結核とされるものが増えた

・フォーカルインフェクションセオリーは、扁桃腺などの感染が全身に疾患を起こすという概念だった

・1900年半ばではリウマチやサルコイドーシスなど自己免疫が注目された。

・1939年眼トキソプラズマ症の発表、サビン・フェルトマン・トキソプラズマテスト

・1954年HLAとぶどう膜炎の関連(1980年HLAキットの開発)

・2001-09ではヘルペスの診断が増えた。

小括――検査技術の開発が各時代における診断を変えた。

  • 検査法のアップデート

〇細隙灯顕微鏡(グルストランド1911):各部の特徴的所見を客観的に評価する。レーザーフレアメータの開発へ

〇眼底写真のアップデート:

 ・ベール状で顆粒状の混濁:HTLVぶどう膜炎

 ・分節性静脈炎、ディスク変化、黄斑上膜:サルコイドーシス

・出血+動静脈閉塞=ARN

 ・網膜萎縮、白色病変点在、周辺に隆起性病変=眼内リンパ腫

〇OPTOS:広角眼底撮影(80度を一枚で撮る)。広角FAや広角IAも可能。

〇OCT:1990年に考案され2000年代に発展した。

 ・サルコイドーシス、

・原田病(隔壁のある漿液性剥離、脈絡膜肥厚)

 ・眼内リンパ腫:網膜浸潤が見える

〇眼内液検査のアップデート

・はじめは細菌と真菌

・細菌性眼内炎:表皮ブドウ状球菌

・検体検査:トキソプラズマとトキソカラはQ値で判定

・PCR:例えばARNならHSVかVZVかを調べる。

・網羅的PCR診断システム:定性的マルチプレックスPCRと定量的リアルタイムPCRの両方を行う。例えば、ポスナーシュロスマン症候群はCMV(+)である。

・ブロードレンジPCR:これなら70%をカバーできる。

・早い進行の眼内炎では迅速な結果報告が求められる

・Mochizukiらのレビュー文献がJJOに有る、(Manabu Mochizuki, Sunao Sugita, Koju Kamoi, Hiroshi Takase. A new era of uveitis: impact of polymerase chain reaction in intraocular inflammatory diseases. Jpn. J. Ophthalmol.. 2017.01; 61 (1): 1-20. ( PubMed, DOI ) )

・IL-10とILー6の比較が有効な場合が有る。成人T細胞白血病はIL-6 が優勢である(D-419 眼内液のIL10/IL6は保険点数1000点)

・フローサイトメトリー:眼内液の細胞表面蛋白の分類でCD56が出れば白血病と診断できる

 ・PCR,ELISA,FCMでこの10年診断に進歩があった。

  • ぶどう膜炎治療のアップデート

2-1)非感染性ぶどう膜炎の治療:((70%が非感染性ぶどう膜炎)これにはステロイド剤の投与:

◎局所投与なら:

1)点眼:、前眼に効く、効果が有れば種類も弱くし、回数も減らす。・追記:タクロリムス点眼が上強膜炎に効く

2)結膜下:前から中間まで。フィブリンや虹彩癒着ならデキサメサゾン注射にボスミンを加える。、

3)後部テノン下:後部ぶどう膜炎に有効。結膜を2㎜切り鈍針で入れる。CMEにも効く。トリアムシノロン(ケナコルトのオフラベル使用から、マキュエイドに代わった)硝子体混濁も薄くなり、ベーチェット病にも効果あり。

4)上脈絡膜投与:特別な用具で置く、海外では使われている:今後の期待

5)硝子体投与

・ステロイド:ダイレクトに中間から抗眼部に効く(トリアムシノロンとデキサ)。欠点は白内障を呼ぶこと。

・免疫抑制剤:(シロリムスが出てくるだろう)

6)眼内デバイス開発:スローリリースデバイスの開発。ゆっくり放出される。レチサート(30日)やオズルデクス(6カ月)

◎全身投与なら

1)ステロイドと免疫抑制剤、

①生物学製剤(2007年ベーチェット病にインフレキシマブ=レミケード®。これでベーチェット病による失明が減った。)

②アダリブマブ(ヒュミラ)は非感染性ぶどう膜炎に使える。ランセットの多施設論文(鴨居の共著):コルヒチンで月に9回の発作が、インフレキシマブで1.6に減る。

2-2)感染性ぶどう膜炎の治療

  • CMVサイトメガロウイルス:(0,5%ガンシクロビル)点眼だけによるコントロールはむつかしい
  • 硝子体投与
    • 腎機能が悪い例
    • バンコマイシンとセフタチジムを同時に注射

2-3)仮面症候群:眼内リンパ腫や造血悪性腫瘍で眼内に発生するもの

  • 局所療法

◎メトトレキセート

◎リツキシマブ:CD20(+)のBセルを標的とする

  • 放射線

◎白血病の眼振旬には有効40GYを超えると合併症が出る。

3)成人T細胞白血病なら放射線とMTXの硝子体注射が有効

質疑応答から:

1、眼内徐放性ドラッグデリバティブは長すぎないのが良く、眼愛注入物がやがて消えてしまう形が理想的。

2、抗免疫薬は眼内に効くのではなく、眼外の所属リンパ節でリンパ球を抑えるのではないかと考えている

3、ポスナーシュロスマン症候群はCMVが原因のことが多い

Categorised in: ぶどう膜炎