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2016年3月11日

7560:眼炎症疾患 ~アレルギー性結膜疾患とぶどう膜炎~ 高知大福嶋敦樹先生聴講記

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眼炎症疾患 ~アレルギー性結膜疾患とぶどう膜炎~ 高知大学医学部眼科学講座
教授 福嶋敦樹先生の話を聞きました。
葛南地区眼科勉強会 2016年3月11日 浦安ブライトンホテル の清澤の聴講印象記です。
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◎免疫の基本
一次防衛に関わる補体の働き
リンパ球の中にはTリンパ球があり、それにはさらに、ヘルパーTセル(インターロイキン4などのサイトカインを出してB細胞などを助ける)とキラーTセル(細胞を傷害して殺す)がある。

○感染に対する免疫系の反応
・上皮への接着
・上皮下への侵入
・局所感染
・リンパ節絵の拡散
・免疫応答

 アレルギーとは自然免疫系から獲得免疫系に反応が広がる事である。

○ク―ムス&ゲルの分類(脚注1)
Ⅰ IgE          抗体
Ⅱ IgG 細胞障害     抗体
Ⅲ IgG 可溶性抗原に対応 抗体
Ⅳ Tセル         T細胞

◎眼表面疾患では
○1型アレルギー
 IgEと肥満細胞に関連して即時相と遅発相がある。
・即時相とはヒスタミンが出て浮腫や充血が見られる。
 :Ⅰ型アレルギー即時相
・遅発相とは:細胞との反応後に細胞内に合成される。この反応にはパオやサイトカインを介する反応
 細胞浸潤⇒乳頭形成などが見られる。

○Ⅱ型アレルギーならば、補体活性が上がり、組織を溶かす。眼科疾患で代表的なのがモーレン潰瘍。細胞表面に対する反応である。

○Ⅲ型アレルギー:例えばブドウ状球菌に反応して補体活性も関与して起きる周辺部角膜浸潤がこれに相当する。

○Ⅳ型アレルギー:T細胞から出されるサイトカインを介してマクロファージが呼び出されて、炎症になる。ヘルペスウイルス性の円盤状角膜炎がこれに相当する

◎菌やウイルスの感染が成立すると免疫系が発現する。
感染病態とアレルギー反応の重なり合いでは特にⅢ型アレルギーとⅣ型アレルギーが見られる。

◎ぶどう膜炎
①ブドウ膜炎の疫学 外因性が17,9%、内因性が48,6%だが、分類不能も33,5%と多い。
②ベーチェット病:内因性のものと考える。前房蓄膿が強く、好中球が主体。自然免疫も働いている。
 EIU(endotoxin induced uveitis)という実験的ぶどう膜炎がそのモデルとされる。
 レミケードは、インターフェロンαを止めるが、新生血管は止められない。
③VKH≪フォークト小柳原田病≫初期には漿液性網膜剥離が、後には夕焼け状眼底を呈することが有名。

 これは、メラノサイトをターゲットにする免疫現象である。(秋田大にいたヤマキ先生の発見 注2)メラノサイト関連抗原がT細胞を動かし、サイトカインを介して、マクロファージの集積を呼ぶ。

 治療にもちいられるステロイドと免疫抑制剤では、細胞内での作用機序が違う。ステロイドはNF-ΚβやAP1をブロックし、免疫抑制剤はカルシニューリンのところを抑える。
ネオーラル(シクロスポリン)の治療用途は最近までベーチェットに制限されていたが、最近は広く用いられるようになっている。
ステロイド投与では、成人で感染既往が無かった患者が水痘の強い感染で死亡した例もあるから、パルスを行うときには注意が必要である。

自然免疫の例がベーチェット病であり、獲得免疫の例がVKHである。
脚注1、
immunity-c4

上に解説されたク―ムスの分類を図にしたものを引用しておきます。出典:http://kusuri-jouhou.com/immunity/allergy.html こちらのページの表もわかりやすいでしょう。

注2:Experimentally induced Vogt-Koyanagi-Harada disease in two Akita dogs
Kunihiko Yamaki
Department of Ophthalmology, Akita University School of Medicine, 1 1 1 Hondo, Akita 010 8543, Japan Exp Eye Res 80:273-80. 2005

清澤のコメント:東北大学講師で、後に弘前大教授になった中沢満先生が、「原田病の抗原はメラニンではなくてメラノサイトだったんだよ。」と、眼科に回ってきた小グループの医学生を相手に熱く語っていたのを思い出しました。彼は、この時にこの論文に注目して読んでいたのですね。

Categorised in: ぶどう膜炎