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2019年10月2日

11133:自覚的視野狭窄を呈した症例の脳糖代謝分布

自覚的視野狭窄を呈した症例の脳糖代謝分布

住友沙織、鈴木幸久、清澤源弘、若倉雅登、大野京子:

今週末の神経眼科学会に提出した演題②です。いま盛んにラグビーワールドカップが行われています。脳震盪を起こすようなスポーツでは多数の脳萎縮が報告されています。これはラグビーの運動中に起こした脳震盪例で、正常なゴールドマン視野でありながら視野異常を訴えたという例でのPET検査を論じています。両側前部一次視覚野の糖代謝低下は視野検査でみられなかった視野狭窄と一致する可能性があるとしました。

  ――――――

【目的】脳震盪は、頭痛、眩量、健忘などの一時的な神経症状を呈するが、長期にわたる後遺症を伴うことは稀である。持続的な自覚的視野狭窄を呈した症例を経験したので報告する。

【対象・方法】症例は24歳男性で、ラクビー中に脳震盪をおこしたが、その2カ月後から視野狭窄を自覚するようになった

視力低下はなく、ゴールドマン視野検査では、周辺視野を含め視野変化はみられなかった。頭部MRIおよび造影MRIを施行したが、外傷性変化は認められなかった。脳の機能的異常について調べるため、PETを用いて安静時脳糖代謝を測定した。患者および健常男性20例の両側前部一次視覚野および後部一次視覚野に関心領域を設定し、各症例の前部一次視覚野を後部一次視覚野で除した値(A/P比)を求めた。

【結果】患者の両側前部一次視覚野の糖代謝低下がみられた。健常例の患者のA/P比は、右0.970± 0.030、左0.942± 0.029であったが、患者では、右0.789、左0.861と低値であった。

【考察】中心視野は後部一次視覚野、周辺視野は前部一次視覚野へ投射されると考えられている。患者においてみられた両側前部一次視覚野の糖代謝低下は視野検査でみられなかった視野狭窄と一致する可能性がある

【結論】自覚的視野狭窄を訴える患者において観察された一次視覚野の糖代謝低下は、背景に何らかの高次視覚機能変化が存在する可能性を示唆する。

利益相反【無】

P4-4 自覚的視野狭窄を呈した症例の脳糖代謝分布

住友沙織¹²³⁾、鈴木幸久¹³⁴⁾、清澤源弘¹⁵、若倉雅登⁶⁾、大野京子¹⁾、

石井賢二³⁾

  1. 東京医科歯科大学医学部付属病院眼科、2)多摩北部医療センター、3)東京都県境長寿医療センターPET、4)JCHO三島総合病院 眼科、5)清澤眼科医院、6)井上眼科病院

清澤の追記: これは有名なホートンのレチノトピーの図です。視野が第一次視覚領にどう投射されるかはここから考え始めます。この図に従えば、第一次視覚領の前半といっても視野ではマリオット盲点の外側(図では正確には10度より耳側)の広い部分に相当します。さらに片目だけが見ることができる耳側のクレセントは視野では60度より耳側という事になります。今後、測定できるような視野感度の低下がこの症例で現れてくるのでしょうか。客観的な視野狭窄を示せないと、論文にはし難いかも。

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