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2019年9月9日

11066:「ダヴィンチ」特許切れで手術支援ロボット競争新局面;記事紹介

清澤のコメント:病院経営は医療経済との戦いであると聞く。開業医ではそこまで高度な医療機器は導入できないが、病院クラスだとどこまでの導入を考えるかは実際の大問題となろう。この記事は「ダヴィンチ」の特許切れが日本の医療事情に変化を起こすと予測する。国、現場、医療機関の求めるものも違う。記事の概要を紹介しよう。

しかし、開業医としての私見だが、先端医療制度や、高額医療費補助制度で目先の患者支出を減らし、新技術の普及を図るのはごまかしではないか。高額の抗がん剤や手術支援ロボットなど使用対象の限られた高価な最先端医療に、限られた国民医療リソーシスをこれ以上持っては行かないで欲しいというのも市井の一医療者の本音ではあり、医師会の底意はその辺にありそうである。いっそ、米国のように、高い保険が買える人だけが一部自己負担付きで受けられる医療にしたらどうなのだろうか?https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00117/00063/?P=1 記事紹介

古川 湧 日経ビジネス 記者2019年9月6日からの抄出

手術支援ロボットの開発競争が激しさを増している。背景にあるのは、世界市場を席巻する「ダヴィンチ」の特許切れ。一度は敗れた日本勢も巻き返しに動く。

 プロトタイプを前臨床ラボでテストしている──。このスタートアップを設立したのは、米グーグルと米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の医療部門。グーグルが研究するAI(人工知能)とJ&Jの持つ医療機器の知見を合わせて、安全な手術用ロボットの開発を目指している。

米国企業が85%を握る●医療用ロボットの世界シェア

 手術支援ロボットの開発競争が激しい。背景は、世界市場で7割を占める米インテュイティブ・サージカルの「ダヴィンチ」の特許切れ。ダヴィンチは米軍の医療技術が民間に移転されたのを受け、1999年に誕生した。

24年には10兆円市場に;

 インテュイティブ社はダヴィンチの基本的特許を数百種類押さえ、競合の「後追い」をけん制してきた。その特許が期限切れを迎える。世界で約30社がダヴィンチの後を追う。

② ロボットを使った手術にはメリットが多い。腹腔鏡手術と比べても、手術時間は短く手術中の出血量も少ない。体力への不安から手術をあきらめていた高齢者が難しい手術を受ける道を開く。手術用ロボットの世界市場規模は2024年までに約10兆円に達する。日本では2000カ所以上の大規模病院で潜在需要があるが、ダヴィンチの稼働数は350台程度。日本勢も3社は既にプロトタイプを完成させた。メディカロイドではロボットを小型化し、リバーフィールドは「手で触れている感覚」を伝える技術に向かい、エー・トラクションは低価格化する。

公的保険で普及を後押し

 国民皆保険制度の下、日本は公的保険で手術費を賄うことを原則とする。ただ、最先端の医療分野であったロボットを使った手術に対しては、長く、保険適用外だった。 保険が適用されなければ、患者の負担額は200万円。3割の自己負担で30万円に下がる。「高額療養費制度」の適用の場合、自己負担額は10万円前後となる。この水準は、民間保険が主流の米国の自己負担額に匹敵する。米国では比較的難度の低い手術であれば、1000~2000ドル(約10万~20万円)の費用でロボットを使った手術を受けられる。

③ 図2

「米国ではより良い医療を受けたいと考える患者が多く、むしろダヴィンチがない病院は患者に選ばれなくなりつつある。」

ロボット手術はもうからない

現状のままではロボットを使った手術はもうからない。ダヴィンチの年間償却額は4900万円。保守点検費用は年間1400万円。消耗品代約50万円、医師などの人件費20万円を加えると、医療機関が赤字にならないハードルは高い

図;3者の違い

 ダヴィンチより安価なロボットが今後登場しても、減価償却費や高額な消耗品代のかからない腹腔鏡手術の方が、医療機関は収益を見込みやすい。医療現場からはロボット加算の対象を広げるよう求める声が上がる。それでも厚生労働省は慎重。

④ 「遠隔手術ができるようになれば、手術用ロボットは真価を発揮する」との声もある。遠隔手術によって最先端の医療を受けられるようにすることは、日本の大きな社会課題。

“悪しき慣習”を打ち破れ

 遠隔手術をいち早く実用化できれば、手術支援ロボットの活躍の場はさらに広がるが、厚労省の検討会が対象疾患や適切な手術体制などについて議論を始めた段階。

 新技術が登場してもなかなか実用化できないのが日本の“悪しき慣習”。産業用ロボットでは日本勢は世界シェアの約6割を占めるのに、手術用ではダヴィンチの後塵を拝した。特許の問題以上に「リスクばかりに目が向いていた」から。

 公的保険の適用範囲を広げて手術支援ロボットの普及を促しながら、最新技術を活用して医療格差の解消にもつなげていく。医療支援ロボットの潜在力を上手に引き出す綿密な制度設計が求められている。

Categorised in: 未分類, 社会・経済