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2019年7月24日

10941:別々の3疾患に共通する原因がヒトゲノムCGG塩基の繰り返し配列の異常伸長であることを解明

別々の3疾患(神経核内封入体病・白質脳症を伴う眼咽頭型ミオパチー・眼咽頭遠位型ミオパチー)に共通する原因がヒトゲノムCGG塩基の繰り返し配列の異常伸長であることを解明

令和元年7月23日プレスリリース東京大学 日本医療研究開発機構

辻 省次(東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 分子神経学講座 特任教授)石浦 浩之、森下 真一

発表ポイント

神経核内封入体病、白質脳症を伴う眼咽頭型ミオパチー、眼咽頭遠位型ミオパチーと呼ばれる3疾患の原因遺伝子を発見しました。さらに、原因遺伝子はNBPF19LOC642361NUTM2B-AS1LRP12とそれぞれ異なりますが、全ゲノム配列データの解析により、共通して同じ3塩基(CGG)の繰り返し配列の異常伸長が原因であることがわかりました。

これまで多くの病気の原因遺伝子がわかってきていますが、40%程度はまだ未解明です。その多くは、今回の発見のような、イントロンの中の繰り返し配列の異常伸長による可能性があります。今回、それらを長く読めるロングリードシークエンサーという新しい技術を使って発見できたことに意義があります。

3疾患の原因遺伝子に共通するCGG繰り返し配列の異常伸長が神経疾患の病態を引き起こす可能性が示されたことから、今後は、伸長繰り返し配列を有するRNAを減少させる薬の開発など、新しい治療法の開発が進むと期待されます。

神経核内封入体病(neuronal intranuclear inclusion disease:NIID)は、近年認知症を呈する疾患の一つとして注目されており、病理学的に神経細胞、グリア細胞および全身の臓器の細胞核内に封入体が認められる(核内封入体)。臨床的には、主に認知症を呈する病型に加え、末梢神経障害が前景に立つ症例も存在する。

白質脳症を伴う眼咽頭型ミオパチー(oculopharyngeal myopathy with leukoencephalopathy:OPML); 白質脳症と眼咽頭型のミオパチーの合併。発症者の全ゲノム配列データを解析し、LOC642361NUTM2B-AS1という別の遺伝子に、同じCGG繰り返し配列の異常伸長が存在することを見いだした。

眼咽頭遠位型ミオパチー(oculopharyngodistal myopathy:OPDM);眼球運動障害、眼瞼下垂、顔面筋筋力低下、咽頭筋の筋力低下による嚥下障害、四肢遠位優位の筋力低下を主徴とする筋疾患。病理学的に、筋線維内に縁取り空胞が認められることが特徴的。

〇 繰り返し配列の異常伸長
一例としてCGG配列を例に繰り返し配列の異常伸長変異を示す。このように、元々誰しも有している繰り返し配列が異常伸長することにより疾患が引き起こされることがある。

〇繰り返し配列異常伸長による、主な神経筋疾患繰り返し配列の異常伸長に伴う主な神経筋疾患を示す。上段は常染色体優性遺伝、下段は常染色体劣性遺伝及びX連鎖遺伝の疾患を示す。タンパク質をコードする領域を翻訳領域、エクソンとエクソンの間をイントロンと呼ぶ。翻訳領域の上流を5’非翻訳領域、下流を3’非翻訳領域と呼ぶ。今回同定した3疾患では、いずれも非翻訳領域に存在するCGG繰り返し配列の異常伸長が認められた。

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