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2019年7月21日

10928:量子コンピュータはいまだ実用化レベルにあらず:記事紹介

量子コンピュータはいまだ実用化レベルにあらず、しかし今後の変化に期待

Bloomberg 2018年10月17日量子コンピューティング技術

清澤のコメント:従来のコンピュータ技術では、ゼロとイチの2つある表示のいずれかを示す素子を多数使って計算を繰り返すところを、量子コンピュータでは一つの素子が持つ値が3以上の値で計算をすることで処理速度が速くできるという触れ込みで有ったと思います。しかしその後、より良い製品が出来たという事を聞きません。本日ネットを見ていたら、「未だ実用レベルに有らず」というブルンバーグの記事が出ていました。記事の要点を採録してみます。

  ―――要点―――

量子コンピューティングほどもどかしく、また複雑なものは、なかなか見当たらない。長年、この分野の推進者たちは、量子物理学の最も難解な暗号メッセージを解き明かし、スーパーコンピュータをも凌駕する能力を持ったマシンが現れると断言してきた。しかし、この分野では屈指の知名度を誇るスタートアップ企業、リゲッティコンピューティングは、世間の期待値を下げようと努力している。

現在、リゲッティ社が自らの課題としているのは、「従来型のマシンが解決できなかった問題を、量子コンピュータによって1つでも解決する」ということ。ところが、現時点で、同社の量子コンピュータでできることのほぼすべては、一般のノートPCでも即座に解決可能な種類のことだけ。より大会社でも「クォンタム・アドバンテージ」:コンピューティングの優位性を実証したというまでには至っていない。

スタートアップ企業の基準では、リゲッティ社は大きな成長を遂げている。同社は、1億1,900万ドルの資金を保有している。しかし、リゲッティは期待をこれ以上高めないようにするため、こうした投資の詳細については口を閉ざす。

同社は、量子コンピューティングの処理能力を示す基本の測定単位である量子ビットの数を、現行マシンの6倍以上集積できる、量子コンピュータ用マイクロチップを設計した。リゲッティ社は、これをベースにして、今後12ヶ月以内に、128量子ビットを搭載した実用に耐えるコンピュータを開発したい意向。

しかし、現状の量子コンピュータは、一般的なバイナリコンピュータよりもはるかにエラーを起こしやすい。量子コンピュータでは、情報を扱う際に、マイクロ波エネルギーのパケットである光子の力学的挙動を利用する。その際に量子チップを絶対零度近くに冷やすため、複雑な冷凍工程が必要。また、干渉の原因となり得る要素を取り除き、残った光子を使って計算問題を解決することになる。この魔法のように思える部分は、光子が絡み合いながら、関連する処理を並列的に行える点だが、科学者たちは、それがうまく働く理由を完全には理解できていない。通常、量子アルゴリズムで使われる量子ビットの数が多いほど、エラーを起こしやすくなる

実は、リゲッティ社にも、まだそのマシンが本当の意味で何の役に立つのかはわかっていない。研究者たちが「巨大なデータベースをより効果的に分析できるようになる」、「より高度な人工知能を実現できる」といった持論を展開しているが、どれも証明されたわけではない。

「量子コンピューティングの優位性が初めて実証されるのは、機械学習の分野に違いない」というのがリゲッティ氏の見立てだが、従業員の中には、「最初の応用例は、おそらく化学物質や有機分子のモデリングになるはずだ」と考える者もいる。

OTIルミオニクスのマテリアルズディスカバリー部門を率いるスコット・ジェナン氏は、「起こり得る転換点に達する前に、この技術に慣れておきたい」と話す。「クォンタム・アドバンテージを視界にとらえている」という意見と、「そこに到達するには、まだ数十年を要するという見解も多い。

量子チップの開発現場では、スタッフが顕微鏡をのぞき込んだり、ロボットによる金属ウエハーの洗浄が終わるのを待つ姿が日常。同社スタッフは、絶対零度に近づくまで量子チップを冷やすための冷凍機を操作している。チームは、16量子ビットチップをつなぎ合わせて、128量子ビットのデザインを実現する工程に取り組んでいる。「当社が次に取り組むのは、無制限にスケーリングしたり、タイル状に配置したりできる量子チップです」と説明してくれた。

ビジネスとして見れば、量子コンピューティングはまだ研究開発の段階。しかし、このことが、ベンチャー投資家がこの分野に奇妙な関心を寄せる理由だともいえる。リゲッティの最大の支援者は「科学コミュニティは、多くの研究者たちが考えているよりも、はるかに速いタイミングで量子コンピュータの用途を発見するはずだ」と断言する。そろそろ、量子コンピューティングに関する期待値を下げる努力は、やめてもよいときがきたようだ。

エリック・ニューカマー(サンフランシスコ、enewcomer@bloomberg.net)©2018 Bloomberg L.P.

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