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2017年10月28日

9305:アクリルレンズのグリスニングとホワイトニングとは

アクリルレンズのグリスニングの話を聞きました。そしてホワイトニングも含めて少し調べ足してみました。

 まず、グリスニングはアクリル人口水晶体に時々見られる現象です。視機能には大きな影響はないといわれていますが、重度に発生した場合はコントラスト感度が低下するともいわれます。

アクリル樹脂はわずかに水を吸収します。この水は通常、水蒸気として樹脂内に存在しますので、光学的には見えません。何かをきっかけにこの水蒸気が水相分離を起こして「水」となり、ポリマーの隙間(void)に溜まると、グリスニングとなります。実験的にこのグリスニングは高温から低温への温度変化で短時間に作成できます。

ホワイトニング(=表面下のナノグリスニング)

◎以下の記載はHiroyuki Matsushima, MD, PhD on Whiteningからの翻訳抄出です

ホワイトニングは、表面光散乱をpage_04増加させる現象であり、Alcon AcrySofの移植後の長期フォローアップに見られることがあります。-ー除去されたレンズを乾燥させると白色は消え、再び水に浸したときに現れました。 この事実から、白色化の原因がグリスニング同様の眼内レンズ(IOL)の光学材料における水相分離であったと結論付けられました。 低温FIB-SEMを用いて白色化して除去された後のIOLを観察し、光学材料中の水が約100nmの球状構造に変わったことを見出しました。これは、グリスニングでの水相分離のサイズ1-20ミクロンと比較して実質的に小さいものです。 この大きさの違いが、明るい点状の変化であるグリス二ングと、霧に似た濃い曇りのホワイトニングの特徴的な見え方の差を引き起こすと考えられます。 (図は別のスライド集ページから借用)グリス二ングはIOLの視覚部分全体に輝きが広がりますが、ホワイトニングはIOLの表面近くで白色化が生じます。 ですからAlcon社はホワイトニング現象を表面下のナノ光沢(sub-surface nano glistening)と表現しています。

AcrySofではホワイトニングやグリス二ングがしばしば見られますが、視機能への影響はあまり重大ではないと考えられています。 このような状況にもかかわらず、高レベルのホワイトニングおよびグリス二ングの影響が疑われる視機能低下のケースが報告されています。著者らは、曇ったIOLを除去し、新しいものに交換することによって、そのような場合の視機能の回復に取り組んできたと言っています。

すべてのAcrySofs移植が、視機能に影響を与える可能性のあるホワイトニングやグリス二ングを起こすわけではありません。報告によると、ホワイトニングのレベルは時間とともに増加します。 したがって、状態は経時的に悪化し、重度の視覚障害をもたらす可能性もあります。混濁したIOLの取り出しには高度な手術手技が必要とされるため、IOLの置換および低侵襲の手術手順の開発や普及が不可欠です。根本的な解決策には、現在市販されている様々なIOL製品におけるホワイトニングおよびグリスタリングのリスクを理解することも重要です。

人工水晶体(IOL)の透明性の変化を実験的に評価するために、(著者らは)6ヵ月間、白色家兎を用いて3種類のIOLを移植しました。
これらの実験に用いたレンズはAcrySof(Alcon)、AF-1(Hoya)、Avansee(Kowa)です。 除去されたIOLを33℃の生理食塩水中に保存して、術後の水相分離を防止し、一定温度で検査しました。

この実験では、Acrysofにはホワイトイングとグリス二ングが見られ、AF-1では白っぽく輝いているに過ぎず、Avanseeはホワイトニングもグリスタリングもありませんでした。これらのレンズに示されているように、最新のIOL材料は古い製品の問題にすでに対処している可能性があります。

◎日本語では久里浜眼科http://www.kurihama-ganka.com/index.htmlのページが詳しく記載しています。

ホワイトニングとグリスニングの違い
①発生部位:ホワイトニング=IOLの表面下

グリスニング=IOLの内部

②視機能:グリスニングはグレアの増強やコントラスト感度低下により、視力低下を来します。  ひどい時には、IOLを入れ替えることもあります。

③粒子の大きさ:ホワイトニング100nm < グリスニング1~10μm

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また、ホワイトニングとグリスニングでは粒子の大きさが違うために光の散乱現象が異なります。    


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