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2017年6月23日

8959:SLE治療におけるヒドロキシクロロキンの位置づけとその基礎について:講演会録

SLE治療におけるヒドロキシクロロキンの位置づけとその基礎についてを
順天堂江東高齢者医療センター膠原病内科医長仲野総一郎先生に伺いました。

ループス・エリテマトーデス・エキスパート・ミーティング・イン・城東
(2017年6月22日 第一ホテル両国)講演会の印象録です。昨年11月にこのブログで、このテーマを取り上げたことがあった(https://www.kiyosawa.or.jp/archives/54686511.html)ので、聴講へのお誘いの声をかけていただいたという事です。

演者はまずTLR9とTLR7に関連したループスモデルマウスの実験論文から、SLEの増悪因子を説明しました。(注1)そして、著者の自験例19例のまとめを示されました。ヒドロキシクロロキン(プラニケルR)はクロロキン、キナクリン、そしてヒドロキシクロロキンという3種の類似した抗マラリア薬の一つであって、ステロイドと並んでSLEに対してよく使われる薬剤です。その有効性は高いが、その使用に伴う網膜黄斑部の変性という合併症(ブルズアイbull’s eye)が知られており、この疾患をよく知る眼科医による厳重な観察が望ましいとしていました。

注1:核酸を認識する TLR は樹状細胞などの一部の細胞に選択的に発現する.一本鎖RNA(ssRNA)を認識するTLR7とCpG DNAを認識する TLR9は形質細胞様樹状細胞とB細胞にのみ発現し,ERとエンドリソソームに局在する。自己の核酸は,TLRの局在により自己免疫の発現を免れるが、SLEなどの自己免疫疾患ではその前提が失われてしまうという事らしいです。私には十分には理解できませんでしたが、免疫の調整ではこのTLR7とTLR9が対立的に作用していると説明されるようで、ヒドロキシクロロキンはその作用に影響するというお話の様でした。

眼科医清澤のコメント:文献を探してみると日本眼科学会のホームページに、ヒドロキシクロロキン適正使用のための手引が掲載されています。
それによれば、『ヒドロキシクロロキン硫酸塩(hydroxychloroquine sulfate:HCQ)は、抗炎症作用、免疫調節作用、抗マラリア作用、抗腫瘍作用など多岐にわたる作用を有する薬剤である。HCQは皮膚エリテマトーデス(cutaneous lupus erythematosus:CLE)および全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)に対する標準的な治療薬と位置付けられており、2015年7月にプラケニルR錠が、「皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス」の適応症で承認を取得した。』(日眼会誌120:419-428,2016)という事だそうです。

「累積投与量が 200 g を超えた患者,肝機能障害患者または腎機能障害患者, 視力障害のある患者,あるいは高齢者は,網膜障害などの眼障害のリスクが高い」 とし、本邦の場合は 200 g をリスクと設定 することは妥当と考えられる。」としています。

他のページの記載によれば、以前クロロキンが網膜症を起こしたことで販売が中止されていますが、ヒドロキシクロロキンの網膜毒性はクロロキンよりも弱いそうです。

眼科検査は年に一回以上を原則とし、リスクのある患者ではその頻度を増やすという事です。

ガイドラインでは重要な基本的注意として、
(1) 本剤の投与に際しては,事前に両眼の視力,中心視野,色覚等を慎重に観察すること.と、していて、具体的には「視力検査,細隙灯顕微鏡検査,眼圧検査,眼底検査(眼底カメラ撮影,OCT (光干渉断層計)検査を含む),視野テスト,色覚検査の眼科検査による.」という事です。

長期にわたって投与する場合には,少なくとも 年に 1 回これらの眼科検査を実施すること.また,以下の患者に対しては,より頻回に検査を実施すること.

・累積投与量が 200 g を超えた患者
・肝機能障害患者又は腎機能障害患者
・視力障害のある患者 ・高齢者
という事でした。

これらの根拠となる主要な文献は Marmor MF:Comparison of screening procedures in hydroxychloroquine toxicity.Arch Ophthalmol 130:461-469, 2012.です。
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