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2017年3月4日

8640: 摩擦から診るドライアイ 病態と治療;横井則彦先生;を伺いました

摩擦から診るドライアイ 病態と治療
京都府立医科大学病院教授 横井則彦 先生
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お茶の水クロスオーバーカンファレンス 
(大塚製薬主催)2017年3月3日から

眼科医清澤の聴講印象録:ミスター・ティーフォッドの面目躍如。いつもにも増してドライアイの病態を明快に説明しておられました。本日のお話では十八番の各種の病的ブレークの解説には封印され、ブレークアップタイム減少と、角結膜~眼瞼結膜間の摩擦とに視点を移して、摩擦減少を機序とするムコスタの有効性を解説されました。
 TFOT(涙液層に視点を置いた角結膜疾患の治療tear film oriented treatment)で使われる涙液層破綻(ブレークアップ)の分類は、近々日本眼科医会が版権を持つフィルムライブラリー(参天フィルムライブラリー)に採録され、まもなく眼科医に診ていただける準備が進んでいます。ご期待ください。

本日の講演では摩擦にフォーカスし、4つのメカニズムを取り上げる。
1、涙液の安定性(ブレークアップで見ることが出来る)
2、フレクション(角結膜と結膜の摩擦亢進)
3、反射亢進(これは1と2の結果)
4、涙液クリアランス(これも2次的な変化)

眼の奥が痛いというのは、BUT短縮のものに多く、サイプレジンが効く。
2016年ドライアイの新定義が決められた。
様々な要因により、涙液層の安定性が低下して、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある。
観察のターゲットは涙液のブレークアップタイムである。
そしてフリクションは角結膜側と眼瞼結膜の間で起きる摩擦であって、悪循環を生じる。それが、眼瞼がごろごろすることの原因であり、症状を理解する上ではフリクション(摩擦)が主要である。
開瞼時にはブレークアップが問題であり、閉瞼時では摩擦がカギとなっている。

3大疾患として
1】、涙液減少型ドライアイ
2】、ソフトコンタクトレンズ装用眼
3】、結膜弛緩症
を取り上げる。

これらの共通点はブレークアップ短縮と摩擦亢進とのコンバインドメカニズムが働いているという点である。
一段階上を見れば、涙液減少、蒸発亢進、水濡れ性低下がブレークアップの短縮の原因をなし、涙液減少、高眼瞼圧、結膜弛緩が摩擦亢進の原因となっている。

摩擦の場は上瞼裏のリッドワイパーと角膜の間にあり、その奥には普段は接触しないKessing spaceがある(Korp)。リサミングリーンで染めればリッドワイパーが染まる。その摩擦の相手は角膜である。

ここで病変を示すのが上輪部角結膜炎。また、シェーグレン症候群ではブレークアップタイムとフリクションの両方に変化がある。

上皮障害に対してはヒアレインよりもムコスタの方が効果が良く、特に結膜に効く。
ムコスタが良く効くのは異物感と眼痛に対してである。

ムコスタの長期試験では、涙液減少型ドライアイにおいて、ブレークアップタイムは改善しないのに自覚症状が改善していた。これは摩擦が減ったからであると説明できる。ムコスタは抗摩擦薬であるといえる。

この話の対象は
1)リッドワイパーエピテリオパシー(LWE)
2)糸状角膜炎
3)SLK
4)結膜弛緩

これらではまずムコスタを6回として、症状が治まったら回数を減らすと良い。そうするとまず糸状角膜炎は消えて、SPKが残る。

2】ソフトコンタクトレンズで目が乾くのはなぜか?外因性で有って蒸発が亢進する。コンタクトレンズ前面の涙がブレークアップする。

3】結膜弛緩症
60歳以上のほぼ100%に結膜弛緩が存在する。結膜下のリンパ管も拡張していて、下部構造と結膜の接続が緩むのではなくて、ほぼ離れてしまっている。これに対しても、ムコスタは有効で4回使うと摩擦が減るから、効果が出る。

質疑応答
 ヒアレインが効くのはどういうケースか?
 答:開瞼してフルオレセインで染まる涙液層がいったん安定してからブレークアップするタイプには良いはず。しかし、ディンプルブレークからラインブレークまでの各ブレークを示す症例ではむしろ水分をメニスカス側に引くので眼表面に広げられる水部分が減るだろう。涙液濃度の増加はむしろ摩擦も増やすと思う。

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