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2017年1月12日

8482:理研 網膜の難病、iPSで光…マウスで治療成功

8482:理研 網膜の難病、iPSで光…マウスで治療成功
digest
眼科医清澤のコメント:従来遺伝子工学を用いた網膜色素変性の治療にはばくたーを使って異常細胞に正常な遺伝子を送り込むという方法が検討されてきました。今回はまだマウスですが、iPs細胞から作った正常な組織を移植するという今までにない方法を試そうとしています。

毎日新聞2017年1月11日 02時00分(最終更新 1月11日 03時10分)

 理化学研究所は、有効な治療法が確立されていない目の難病「網膜色素変性症」のマウスにiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った網膜組織の細胞を移植し、光の感知機能を回復させることに成功したと発表した。成果は10日付の米科学誌「ステム・セル・リポーツ」(電子版)に掲載される。理研は2年以内にヒトでの臨床研究の申請を目指す。

ヒトへの応用、2年以内目指す

 網膜色素変性症は、網膜内で視覚情報を伝達する細胞に異常が起き、暗い場所で物が見えにくくなったり、視野が狭くなったりする遺伝性の病気。理研によると、3000人に1人が発症し、進行すると失明につながる。有力な治療法として、電子機器による人工網膜の開発が進められているが、根治する手立てがないのが現状だ。

 研究チームは、マウスのiPS細胞から作った細胞のシートを末期の変性症のマウスの網膜に移植し、光を当てた5秒後に電気ショックを与える実験を実施。すると、移植に成功したマウスの約4割が健康なマウスと同じように、光を感知して電気ショックを避けるようになった。また、移植したシートは網膜内の他の細胞と連携し、脳に伝わる直前の細胞まで視覚情報が届いていた。

 理研の万代(まんだい)道子・副プロジェクトリーダーは「回復しなかったマウスは網膜内の移植場所などに問題があるかもしれず、今後の検討課題だ」と話す。

 目の難病患者へのiPS細胞を使った臨床研究では、加齢黄斑変性の患者に、網膜の細胞のシートを移植する手術を実施している。【畠山哲郎】
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ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/articles/20170111/k00/00m/040/107000c#csidx1a78cbc9f774e83a6bff10e3e978bc1
Copyright 毎日新聞

ーー理研のホームページからプレスリリースで見る。http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170111_1/ーーー

iPS細胞由来の網膜組織を用いた視機能の回復

-マウス網膜変性末期モデルへの移植による機能検証-

この発表資料を分かりやすく解説した「60秒でわかるプレスリリース」もぜひご覧ください。

要旨

理化学研究所(理研)多細胞システム形成研究センター網膜再生医療研究開発プロジェクトの万代道子副プロジェクトリーダーらの研究チームは、マウス網膜変性末期モデルを用いて、マウスiPS細胞(人工多能性幹細胞)[2]由来の網膜組織を移植することにより、光に対する反応が回復することを確認しました。

網膜は再生力が低い組織で、障害を受けると自然な治癒は見込めません。ごく一部の原因遺伝子に対しては海外で遺伝子治療の治験がすすめられていますが、末期の網膜変性では現在のところ人工物を用いる人工網膜以外に確立した治療法はありません。2006年にiPS細胞が発見されて以来、世界中で成体幹細胞由来、ES細胞(胚性幹細胞)由来、iPS細胞由来の網膜組織を変性網膜に移植する試みが行われています。しかし、既に視細胞をほぼ消失した末期の変性網膜において、移植された網膜組織が成熟して光に応答し、さらにシナプスが形成されたことをはっきりと確認した報告はありませんでした。

研究チームは2014年に、マウスのES細胞やiPS細胞から自己組織化により分化させた立体網膜組織が、移植先の網膜変性末期マウスの網膜にきれいに生着し、視細胞が高度に成熟した外節構造を持つ形態になることを報告しました。今回、研究チームは遺伝的な標識法を用いて、網膜変性末期マウスの網膜細胞と移植片内の視細胞が接触したことを確認しました。また、新たに開発した視機能の評価方法により、移植後のマウスの行動パターンを解析したところ、光応答性に関わる行動パターンに変化がみられました。続いて移植後の網膜の光応答を電気生理学的に記録したところ、さらに上流の脳につながる神経節細胞からも光応答がシナプスを介して得られることを確認しました。これらの結果は自己組織化により分化した網膜組織が実際に移植素材として有効であること、さらに開発した視機能の評価方法が従来の視機能検査法では確認が困難だった部分的な視野回復の変化を捉えるのに有効な手段であることを示しています。

本研究は、研究チームが目指している網膜色素変性患者に対するiPS細胞由来網膜組織の移植治療における裏付け実験として大きな意義があります。

本成果は米国の科学雑誌『Stem Cell Reports』に掲載されるのに先立ち、オンライン版(1月10日付け:日本時間1月11日)に掲載されます。

本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)「再生医療実現拠点ネットワークプログラム 疾患・組織別実用化研究拠点(拠点A)」(平成27年度より科学技術振興機構から移管)、科学研究費補助金「基盤C」の支援を受けて行われました。

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