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2016年12月22日

8427: 眼の強打で起こる眼窩底骨折・眼窩壁骨折とは?;最新記事紹介です

眼の強打で起こる眼窩底骨折・眼窩壁骨折とは?
2016年12月16日 08:10

眼窩底骨折と呼ばれる骨折が、どのような骨折で、どういったときに起こりやすいのか、眼窩底骨折の症状や原因、治療などについて解説します。(注:記事の引用と、眼科医清澤の勝手なコメントをつけて置きます。)

眼窩底骨折とは
眼窩底骨折(がんかていこっせつ)とは、眼部に拳・ひざ・野球のボールなどが当たったときにみられる顔面骨骨折で、眼窩壁骨折、眼窩床骨折、ブローアウト骨折(★1=吹き抜け骨折)とは同義語となります。頭蓋骨の中で、眼球が納まっている場所を眼窩といいますが、眼窩と呼ばれるくぼみは、前頭骨・上顎骨・頬骨(きょうこつ)・口蓋骨(こうがいこつ)・蝶形骨(ちょうけいこつ)・涙骨・篩骨(しこつ)という7つの骨で構成されています。眼窩を構成する骨は、眼の周りが丈夫ですが、下方と内方の壁が薄く衝撃に弱いといえます。スポーツ中の事故では、ボールなどによる急激な衝撃が眼球に加わり眼窩内での圧が高まります。眼の周りの骨は持ちこたえますが、薄くて弱い下方や内方の壁が骨折してしまうのが眼窩底骨折です。

眼窩底骨折の症状
眼窩底骨折が起こると、骨折した場所から眼窩内の脂肪組織や眼を動かす筋肉がはみ出してしまいます。症状としては、眼が落ちくぼむ眼球陥没、ものが二重に見える複視が起こり、吐き気をともなうことがあります。眼窩の下を走る知的神経(★2 知覚神経)を損傷すると、頬や上唇のしびれが生じます。

血液が混じった鼻水が出ることがあり、その状態で鼻をかむと、眼の周囲組織に空気が入り、視力障害を起こす恐れがあります。

眼窩底骨折の原因
最近では、交通事故などで起こる重度の顔面骨折よりも、ソフトボールや野球などの球技、ボクシングやレスリング、ラグビーなど激しく接触する可能性のあるスポーツや格闘技などが原因となることが多いようです。

眼窩底骨折の治療と後遺症
複視の症状が認められたときに、明らかな眼球陥没があれば眼窩底骨折の診断は比較的容易にできます。まずは、骨折の状況を見るためにCT検査を行い、手術をするかは経過をみて決められます。子供に多い眼窩底骨折で、骨折箇所で眼を動かす筋肉が挟み込まれてしまっている場合には、緊急手術が必要なこともあります。

手術が必要な場合
骨折がある場合でも、複視や眼球陥没などの症状がなければ手術を行いません。多くの場合、骨折箇所の腫れや出血が治まると複視の症状は改善するといわれます。CT検査で問題がなければ、複視の改善状況をみて手術するかを決めます。外見上の眼球陥没には、手術での修正が必要とされます。

眼窩底骨折の手術
通常全身麻酔で行われ、基本は折れた骨を元に戻して固定します。薄い骨が粉砕されていて元に戻せない場合は、自分の骨や軟骨、または人工材料を骨折箇所に移植することがあります。人工材料にはシリコン、セラミック、チタン材などがあります。損傷部位や手術の方針により、切開する箇所は鼻腔や口腔などさまざまです。

治療の効果とリスクについて
適切に手術を行えば、複視や眼球陥没を改善することができ、頬から唇にかけてのしびれから回復を促すことができますが、結果については損傷の程度にもよります。手術をせずに回復の見込みがある場合でも、回復期間には1か月から半年ほどかかることがあるため、回復期間を早めるために手術を行う場合もあります。全身麻酔によるリスクのほか、眼部のむくみや出血などが起こり得ます。眼部を強打したとき、眼窩底骨折が疑われるときは、CT検査が受けられる医療機関での受診をしてください。形成外科のほかには、口腔外科のある綜合病院でも受診することができます(★3)。

眼科医清澤のコメント
この記事は私も監修を求められたことのあるサイトの記事なのですけれど、なぜか監修者が明らかにされていないのが疑問。記事を書く医師の所属によって記事の内容が違うような分野の外傷です。記事の内容はおおよそよろしいのですが、眼科医としては3つほど気になる点がありました。

★1:眼科医が好んで使う病名はむしろ(orbital) blowout fructure:(眼窩)吹き抜け骨折:です。形成外科医だと良く使う用語は違うかもしれません。下記記事ご参照ください。
最近はそれほどは受診が多くはないのですが、このころは結構受診者が多かったのです。

眼窩吹き抜け骨折 当ブログの関連記事
2010年07月05日 1517 眼窩吹き抜け骨折、眼窩底骨折 https://www.kiyosawa.or.jp/archives/51578922.html

2010年08月27日:1623 眼窩吹き抜け骨折の抄録を第48回日本神経眼科学会総会に提出しました。https://www.kiyosawa.or.jp/TAGS/%E7%9C%BC%E7%AA%A9%E5%90%B9%E3%81%8D%E6%8A%9C%E3%81%91%E9%AA%A8%E6%8A%98

★2:眼窩の下を走る神経は三叉神経第2枝で、「眼窩下神経」です。これは「知的神経」ではなくて「知覚神経」の誤植だと思います。その損傷で、頬や上唇のしびれを生じるという記述は正しいでしょう。

★3:眼科医としては、眼部打撲に伴う複視では、「まず複視の評価ができる眼科医を受診していただき、眼球の損傷も除外した上で、眼窩骨折があれば、そこから適切な診療機関への紹介という順番をおすすめしたい」ところです。鈍的外傷に伴う複視では「眼球運動をつかさどる動眼神経、滑車神経、外転神経等」の麻痺による場合もあります。手術による修復を自分で行う眼科医は多くはありませんが、「形成外科」というと「保険外診療をもっぱらとする町の美容形成外科」が連想されてしまいますけれど、そういう医師への受診を奨めている訳ではないでしょう。

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