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2016年12月17日

8411:眼瞼下垂と瞳孔障害を選択的に起こす病巣とは?

症例からの神経眼科的な議論;

★1、眼窩の穿孔性外傷によって①眼瞼下垂と②瞳孔の縮瞳運動だけが選択的かつ同時に障害されるような障害部位を想定できるか? 
答:否 この理由を説明してみよう。

Ⅲ 動眼神経 Oculomotor nerve は、副交感神経と運動神経の成分を含み、眼球の運動と瞳孔の運動をつかさどる。
oculomotorius
→動眼神経の働きは
①外眼筋(上斜筋と外直筋を除く)の制御(一般体性遠心性線維)。
②瞳孔括約筋・毛様体筋の制御(一般内臓性遠心性線維)。
であるから、
★1の症例において①と②の症状が含まれる病変は動眼神経の障害で普通に見られることになる。障害は動眼神経の上枝と下枝の両方を含むことになる。しかし、片方の目の眼球の上転(上直筋)、内転(内直筋)、下転(下直筋)の各運動成分の障害が軽く、かつその成分でも侵されてはいない成分が多くなるので、単一部分の障害でそれを説明することは困難である。

参考事項として下記の諸項目を引用しておこう:

「動眼神経の主成分は動眼神経主核から出る体性運動性のもので外直筋および上斜筋以外の眼筋を支配するが、このほかさらに副交感性の動眼神経副核[Edinger-Westphal核]から出る線維が加わる。以上の2核から出る線維は多数の根をつくって大脳脚内側溝から出て1神経幹となり、滑車神経、外転神経および眼神経とともに、蝶形骨の両側にある海綿静脈洞の上壁に沿ってすすみ、上眼窩裂を通って眼窩内に入り、上下の2枝に分かれる。」

〇上枝は上眼瞼拳筋および上直筋に、
〇下枝は内直筋、下直筋および下斜筋に分布する。また下枝からはきわめて短い動眼神経からの根が出て、毛様体神経節に入るが、これは動眼神経副核から出て、下枝を通って毛様体神経節に入る副交感線維にほかならない。

◎動眼神経の主要構成成分は次の2つ。

1)外眼筋群への一般体性遠心性線維(随意運動の支配線維)
2)瞳孔括約筋、毛様体筋を支配する一般内臓性遠心性線維(副交感神経線維)

 動眼神経の起始核は上丘のレベルで中心灰白質の腹側に存在する。この起始核には体性運動部(一般体性遠心性部)と副交感部(一般内臓性遠心性部)があり、前者は同側の上斜筋、上直筋、下直筋、内直筋、下斜筋を支配する。

 中脳において、動眼神経の根線維は上小脳動脈と後大脳動脈のあいだから出て、後交通動脈の下方を走りトルコ鞍の後床突起のところまで達し、海綿静脈洞にはいる。動眼神経は海綿静脈洞を通過する際、上枝と下枝に分枝し、これらは上眼窩裂を通って眼窩にはいる。

 動眼神経核の一般体性遠心性部ではそれぞれの外眼筋を支配するニューロンが小群を形成している。外眼筋の固有感覚線維は三叉神経中脳路核の偽単極性細胞の末梢性突起であるが、「これらは一般には動眼神経とは別に三叉神経の第1枝、すなわち眼神経と一緒に走ると考えられている。」

 動眼神経の一般内臓性遠心性部のニューロンは小形であり、その軸索は毛様神経節でシナプス結合する副交感性の節前線維である。副交感線維の起始細胞は動眼神経核一般体性遠心性部の吻側側方のEdinger-Westphal核「およびその周辺部」に集まっており、この細胞集団は全体としては脳幹の長軸方向に長い長方形を呈する。毛様体神経節から出る節後線維は瞳孔収縮筋や毛様体筋などの内眼筋を支配する。』

◎動眼神経の臨床的側面

 動眼神経核は皮質運動野による両側性支配(皮質延髄路によるもの)を受けるので、この核より上位に生じている損傷が動眼神経の機能に悪影響を及ぼすことは稀である。動眼神経自体が損傷した場合は、次のような下位運動ニューロンの機能脱落症状が患側に出現する。

(1)外側直筋と上斜筋だけが眼球を動かす要素となるため眼球は外転し下向きになる。
(2)上眼瞼挙筋麻痺による眼瞼下垂が起こる。
(3) 瞳孔括約筋、毛様体筋を支配する一般内臓性遠心性線維の損傷によっては瞳孔固定(瞳孔収縮筋の麻痺のため光を眼に入れても瞳孔が収縮しない)が起こる。
(4)一般内臓性遠心性線維の作用脱落(毛様体筋麻痺)による近いものを見ようとする際のピント調節不良(遠近順応ができない)。

 大脳脚ないし動眼神経基部の損傷ではウェーバー症候群(同側性動眼神経麻痺と対側性の全身片麻痺の合併)をもたらす。片麻痺が対側性なのは、錐体交叉よりも上で錐体路線維が損傷するため。

参考にさせていただいた出典は:「船戸和弥のホームページ」
リンク対象のページはトップページ (http://www.anatomy.med.keio.ac.jp/funatoka/)

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