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2016年11月18日

8335:ゲノム編集、目の遺伝病改善…理研などラットで

ゲノム編集、目の遺伝病改善…理研などラットで
2016年11月18日 19時49分

清澤のコメント:網膜色素変性症の患者さんは稀なものではなく、私の診療所でも10人ほどが内服治療に通院していますのでこの研究は気になります。この研究は網膜色素変性症の遺伝子を持つラットを使い、その形質の発現を止める遺伝子を組み込むというものです。この手の研究は、この研究が初めてというわけではありません。そこで、元のニュースを探してみました。

 理化学研究所のホームページ(http://www.riken.jp/pr/press/2016/20161117_1/)の中のプレスリリースに詳しい記載がありました。

 原著はNatureのLetterで、In vivo genome editing via CRISPR/Cas9 mediated homology-independent targeted integration. Keiichiro Suzuki et al.というもので、新しい技術を発明したという話の短報論文(レター)です。出版前のオンライン版なのでページ番号はまだついては居ません。

『本技術HITIの遺伝性疾患治療に対する有効性を示すために、遺伝性疾患の「網膜色素変性症」のラットモデルへの応用を試みました。網膜色素変性症はまだ有効な治療法が確立されていない、網膜の視細胞が変性していく進行性の難病です。日本では4,000人~8,000人に1人という高い割合で発症するといわれています。

生後3週齢の網膜色素変性症モデルラットの網膜下にHITI-AAVを直接投与して、疾患原因遺伝子の変異の修復を試みました。4-5週後に解析した結果、疾患原因遺伝子の発現および視覚障害の部分的な回復がみられ、従来の遺伝子ノックイン技術を用いた場合より有意に効果が高いことを確認しました。このことから、HITIは難治性遺伝病に対する新しい遺伝子治療法に応用できる可能性があるといえます。』としています。

この報告が用いているのは、網膜下にHITIのアデノウイルスベクターを注入するという直接的な方法ですから、遺伝子異常の型別がわかっている網膜色素変性症患者であれば、今後人間にも臨床応用が比較的早い時期に始まるという期待が持てます。

追記:私たち東京医科歯科大眼科グループも網膜色素変性の脳の変化に特に興味を持っています。Alteration of the optic radiations using diffusion-tensor MRI in patients with retinitis pigmentosa. Naonori Ohno, Hideki Murai, Yukihisa Suzuki, Motohiro Kiyosawa, Aya M Tokumaru, Kenji Ishii, Kyoko Ohno-Matsui, Br J Ophthalmol 2015;99:1051-1054
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 遺伝子を自在に書き換える「ゲノム編集」という技術で、ラットの網膜細胞の遺伝子を修復して、目の遺伝病を改善させることに成功したと、米ソーク研究所と理化学研究所のチームが発表した。

 ゲノム編集を使った遺伝病治療に応用が期待できるという。論文が17日、英科学誌ネイチャーに掲載された。

 ゲノム編集は、DNAの狙った場所を切断する「はさみ」役の酵素を使い、遺伝子を思い通りに改変する技術。受精卵を使った実験ではうまくできても、生体では遺伝子の改変は難しいとされていた。米ソーク研究所の鈴木啓一郎研究員(分子生物学)らは、ゲノム編集の技術が生体でも使えるように改良し、無害のウイルスを運び役にして酵素を目的の細胞に届けられるようにもした。進行すると失明する目の難病を持つラット数匹に試したところ、約1か月後に、視細胞の遺伝子の約5%が修復された。時間がたっても光に反応するようになり、病状が改善した。

2016年11月18日 19時49分 Copyright © The Yomiuri Shimbun

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