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2016年10月29日

8276:一過性黒内障:今日の眼疾患治療指針第3版

一過性黒内障

5.清澤源弘、一過性黒内障:今日の眼疾患治療指針第3版、p653-54、医学書院、2016年10月15日発行、

一過性黒内障
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Amaurosis fugax
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清澤 源弘 清澤眼科医院 院長
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【概念】 一過性に片眼の視力が減退し,数秒から数分で回復するものを一過性黒内障と呼ぶ.

【病態】 不整脈があり,持続的に血栓が心臓から眼内や視神経に飛び,一過性の虚血を発症させている場合と,内外頸動脈の分岐部付近にアテロームができ,そこから血栓が飛ぶ場合とがある.

【症状・合併症】 片方の眼の視力低下は数秒から数分続くことが多いが,この一過性視力低下は数時間のこともあり,いずれも視力は後に正常に戻る.網膜血管内に栓子(Hollenhorst plaque)をみることがある.眼球の虚血徴候,つまり網膜静脈の拡張,中間周辺部網膜の斑状出血,虹彩や網膜の上での新生血管などを見いだすこともある.脳虚血症状として一過性の脳虚血発作(TIA)の症状である手足の脱力などを患者が感じていることもある.慢性の脳虚血があると眼動脈が顔の表面から脳への血液の側副路になるので,眼盗血現象でさらに眼球の虚血は著しくなることがある.

《診断》
眼症状から一過性黒内障が疑われたら,血管外科医に頸動脈の狭細化の有無を頸動脈ドップラで検索してもらう.また循環器科に依頼して不整脈を除外する.脳の虚血が疑われる場合には脳血管撮影やMRIを用いた脳血管撮影(MRA)が必要である.類似の眼症状を示すものに,うっ血乳頭,動脈炎性の視神経虚血,切迫した網膜中心静脈の血栓症,緑内障,網膜の血管攣縮,間欠的な硝子体出血などがあるので注意する.

《治療法》
■治療方針
多くの場合,主治医は血管外科など眼科以外に任せるが,眼科医も一過性視力低下の原因と眼虚血の程度を評価する.眼虚血の程度は網膜電気図(ERG)やフルオレセイン蛍光造影(FAG)などで評価し,脈絡膜や網膜に虚血が存在すれば網膜光凝固なども検討する.

■治療
眼虚血の原因を明らかにした上で,血栓による塞栓を避ける目的で少量のアスピリンやプロスタグランジン関連薬などの処方がなされる.
【予後】 原因疾患の予後に依存する.患者の主な訴えは視力にかかわるものであるから,脳外科や血管外科に患者治療の主治医を譲った後も視力,視野および眼底所見などを眼科医が定期的に追跡する必要がある.

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