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2016年10月23日

8259:大脳障害による眼球運動異常(今日の眼疾患治療指針自著引用)

大脳障害による眼球運動障害

大脳障害による眼球運動異常
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Abnormal ocular movement with cerebral cortex lesion
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清澤源弘 清澤眼科医院・院長
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【概念】 眼球運動の発生に関連する大脳皮質領域は,前頭葉の前頭眼野と頭頂後頭側頭連結部分にある後頭眼野である.これらの部分の障害またはこれらの領域と脳幹の眼球運動中枢である傍正中橋網様体を結ぶ経路が傷害されれば特有な核上性の眼球運動障害が発生する.

【病態・病因】 前頭眼野はBrodmann8野にあり,眼球の反対側への衝動性眼球運動を駆動する.このため,前頭眼野の麻痺性障害では患側をにらむ方向への共動偏視が発生する.また,後頭眼野はBrodmann19野にあって眼球の同側への滑動性追従運動を駆動する.この部分を含む病変では病巣と同じ側への滑動性追従運動が冒されるので,視標追従の遅れを補う衝動性眼球運動の混入がみられて階段状の眼球運動を呈する.中脳付近の病巣では皮質と脳幹を結ぶ経路が冒されて,共動眼球運動が損なわれる(図8).

【類縁の疾患】 先天性眼球運動失行とBalint症候群では共動性眼球運動が冒される.
 先天性眼球運動失行症は,水平性の衝動性眼球運動と滑動性運動がともになく,大脳との連絡の障害の存在が推定される.思う方向に眼を動かせないにもかかわらず,この疾患では体を回したときに平衡感覚によって眼が正面に残る運動などを利用して眼球を動かす.後天的な眼球運動失行は両側の大脳半球の病変で起きるBalint症候群でみられ,全方向への随意性急速眼球運動と追従運動の欠如がある.その3主徴は,患者の目の前で検者が示した指先への注視運動ができずに視点が定まらない精神性注視麻痺,凝視した物をつかもうとしてもずれてしまう視覚失調,注視しているもの以外に新しく視野に入ってくる対象に注意が払われない視覚性注視障害である.

《診断》
 患者の眼球運動の特徴を肉眼で見て障害を推定し,神経画像で診断を確認する.大脳性の眼球運動障害は経過の一時期にのみ観察される場合も多い.

【治療法】
■治療方針
 眼科医はベッドサイドで眼球運動を観察し,主治医の方針決定の助けとなる情報を提供する.

■治療
 視覚に関連した中枢神経系の欠落症状に対してはその各々に対応したリハビリテーションがある.

【予後】 原疾患に依存する.

図8:Brodmannによる脳表面の領域。前頭眼野(8)と後頭眼野(19)

今日の眼疾患治療指針
清澤コメント:今日の眼疾患治療指針、第3版。2016年10月発行685㌻からの引用です。この本の各項目には診断法治療法を含めて的確な新しい知見が秀才されています。24000円ですがお手元にお供えになることをお勧め得いたします。(図を含む記事のJPEGは準備中です。)

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