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2016年10月7日

8203:中国の論理 – 歴史から解き明かす (中公新書) 新書

41ofNCiZfYL__SX310_BO1,204,203,200_中国の論理 – 歴史から解き明かす (中公新書) 新書 – 2016/8/18

岡本 隆司 (著)

内容(「BOOK」データベースより)

同じ「漢字・儒教文化圏」に属すイメージが強いためか、私たちは中国や中国人を理解していると考えがちだ。だが「反日」なのに日本で「爆買い」、「一つの中国」「社会主義市場経済」など、中国では矛書がそのまま現実となる。それはなぜか―。本書は、歴史をひもときつつ、目の前の現象を追うだけでは見えない中国人の思考回路をさぐり、切っても切れない隣人とつきあうためのヒントを示す。

清澤のコメント:神経眼科の先輩である石川弘先生のお勧めで購入し地下鉄の中で解読中。
 構造としては、Ⅰ:史学。Ⅱ社旗と政治、Ⅲ世界観と世界秩序、Ⅳ、近代の到来、Ⅴ、革命の世紀と進みます。

1:まずは史学。
中国伝統の学問分野が四部。「経」、「史」、「子」、「集」であり、これは分類ではなくて、学問の上下の序列である。経とは儒教であり、それは国が治まって安定志向になったから、ほかの諸子百家を押しのけて中心の徳目とされた。史学は司馬遷の史記に始まるが、此の史記も春秋の狙いを史記も有していたから尊重されたのである。

Ⅱ:社会と政治。
かつて中国にはエリートがいた。それが「君子」であり、それは「小人」に対立する概念である。中国では正統が重要であった。その考えに依る古い家柄重視主義と、新しい賢才主義のせめぎあいがあった。

Ⅲ:世界観と世界秩序、
中国には士と庶の二重構造がある。中国での東南アジアを含む天下は華と夷に分けられる。それを支えたのが「冊封体制」であり、「冊封」とは皇帝が冊書をもって諸侯を任命する。清朝はモンゴル・チベットを起伏させて興隆し多元的な「華夷一家」を打ち立てた。その帝国にも西欧との衝突が近づいていた。

Ⅳ:近代の到来、
イギリスとの対峙で起きたのがアヘン戦争。中国の外交は目下への「夷務」から対等の「洋務」へと変わる。その中で「変法」による変革や「付会」(古典へのこじつけ)が行われた。

Ⅴ:革命の世紀
 辛亥革命がおき、中華民国が成立した。国民党と共産党の並立がおきた。共産党の毛沢東登場と抗日戦線の成立を経て、抗日戦争の勝利による終結を見たが、中華人民共和国による統一へと進んだ。蒋介石は稚拙な経済政策と内部の腐敗により、日本が占領していた先進地域の掌握に失敗した。その後、毛沢東は劉少奇ら実権派・走資派を文化大革命で駆逐した。しかし文革の経済的結果は惨憺たるものであって、鄧小平が「改革開放」をスローガンとする「社会主義市場経済」で主導権を奪った。毛沢東が目指した一元化は敗れ、今は二元構造が乖離して再び「格差」を起こしている。習近平は「法治」による言論の統制と反「腐敗」キャンペーンにいそしんでいる。

「あとがき」によれば、著者の大学での講義の東洋史概論のノートから書き起こしたわかりやすさに重点を置いた「中国を理解するための入口」といった本だとのこと。

 なるほどと思う部分が満載です。

 追記(10月23日): 中国のフィリピンに対する今回の姿勢は中国の論理(岡本隆司著)のむすびの言(210ページ)ともよく一致している。『自分たち中国は中華・上位、周辺国は外夷・下位であるべしという世界観。それが西洋流のnationや主権の観念と結びついて、自らのnationを守るべく「愛国」につとめ、いわば「攘夷」を厭ってはならぬ、という主張に転化した。その発現が日本やベトナム・フィリピンなどに対する大国意識、「上から目線」であり、相手に耳を貸さない領土問題での行動様式に他ならない。』

 とすれば、相手が朝貢のそぶりを見せるならば、損得ずくだけではなく、急に心から優しくできるという中国(習近平)の行動も理解できるのです。
 (2016.10.23追記完了)

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