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2016年10月4日

8195:電気性眼炎、雪眼炎、photokeratitisの症状・原因・診断と治療

8185:電気性眼炎、雪眼炎(photokeratitis)の症状・原因・診断と治療 を今日の症例として考えてみましょう。
03%20AM_0(でんきせいがんえん、せつがんえん,photokeratitis: snow blindness, arc eye, welder’s flash, bake eyes, corneal flash burns, flash burns, niphablepsia, or keratoconjunctivitis photoelectricaとも呼ばれる.)

◎電気性眼炎、雪眼炎とはどんな病気か

 電気性眼炎や雪眼炎は紫外線によって起こる表層角膜炎(ひょうそうかくまくえん)で、その実態は角膜上皮(かくまくじょうひ)障害です。電気性眼炎は殺菌灯を使用する場所で起きたり、あるいは溶接作業などの強い紫外線の出る機械や器具の近くでの仕事などで起きます。雪眼炎なら紫外線の強い場所、たとえば屋外で照り返しの強いスキー場や海水浴場、そして紫外線が強い高山などで起きます。
 そして角膜が直接かつある程度の時間に亘って紫外線に曝露された場合に起こるのです。
 効果的にこれを予防するには、サングラスを確実に使用することです。職業として電気溶接をする人は、その危険性を知っているので分厚い色ガラスの入った面をかぶって作業をしますが、周りでその作業を見たり、手伝ったりする人がのちに目を傷めるケースが散見されます。

◎原因は何か:原因は波長290nm付近の紫外線です。紫外線というのは可視光線に隣接した波長の光ですが、虹の7色の紫よりも少し短く可視光線よりも強いエネルギーを持つ電磁波です。赤外線では、熱を感じますが、紫外線では暖かさは感じません。ただただ、しばらくしてから日焼けを起こしたり、この紫外線角膜上皮障害を起こしたりするのです。

◎症状の現れ方:症状が現れるのは、紫外線に曝露した数時間後です。スキーが終わって、あるいは仕事が終わってからしばらくするころに激烈な眼痛と羞明(しゅうめい)(まぶしさ)、流涙(りゅうるい)(涙が流れる)といった症状が生じます。そのために眼があけていられなくなり、真夜中に救急外来を訪れることがしばしばあります。

◎検査と診断:
 眼科での検査にあたっては、まず、痛みをとるため、ベノキシールという眼科用の点眼麻酔を点眼します。十分に点眼して2分もすれば、ゆっくりと眼が開けられます。ライトで斜めから角膜を照らすと、角膜表面の反射の乱れや角膜表面の薄い混濁が肉眼でも観察されます。また角膜周囲の結膜は赤く充血しています。

 角膜の病変は主にびまん性の表層角膜炎ですから、ひどくなると角膜びらんを生じます。その傷が融合したり、深くなって潰瘍にまで悪化することはまずありません。検査しているのが眼科医であれば、暗室検査室にあるフルオレセイン液で角膜を染めてみると、砂を撒いたように角膜表面の全体に細かい点状に青く染まる傷がついているのが認められます。この傷の大部分は一晩で自然に回復します。

 鑑別すべきものとしては、薬物や薬液の飛入、有毒ガスの曝露などがあります。また、本人はごみが目に入ったと思っていることもあります。さらに、強い流行性角結膜炎でも時に似た症状を示すことがありますのでご注意ください。

 問診で紫外線への曝露の存在を聞くと診断は確定です。

◎治療の方法:
 この疾患の厄介な点は、発症が真夜中になりがちなことです。
 眼科であれば救急処置にはまず点眼麻酔薬で疼みをとり、抗菌薬(クラビット)、角膜保護薬としての眼軟膏(エコリシン軟膏など)を入れ、眼帯をして冷湿布を勧めます。症状は翌日、長くても数日で軽快しますが、当日は痛み止めを飲ませて早くに就寝することを勧めることになります。

◎電気性眼炎、雪眼炎に気づいたら:
 眼帯、安静、冷湿布を行うだけで症状はほぼ翌日には軽快し後遺症は残さないので、あわてる必要はありません。しかし、疼痛や刺激症状が強い場合には、眼科の救急外来での処置を受けるほうがよいと思います。一般の鎮痛薬を内服するのもよいでしょう。

眼科医清澤のコメント:

 私が仙台市で眼科の初期研修医をはじめたころ、長野県に住んで居た父から真夜中に電話がかかってきました。「両目が死ぬほど痛くて、涙も止まらない」というのです。話を聞いてみたら、その昼に父が当時経営していた小さな木工場で慣れない電気溶接を指導したといいます。どのような装置だったか、大きくはない溶接用の電源装置と溶接材の棒を手に入れて、鉄材の溶接作業を従業員にさせたようでした。作業の一部を保護メガネなしで見てしまったようでした。

 上のビデオはアーク溶接のやり方を教えるものですがこの作業をするにも資格があるようです。左手に面を持ち、右手には厚い皮手袋をして溶接材を挟んだ電極を15度傾けて持ちます。反対の電極は鉄材に挟んで設置してあります。ビデオを見ると結構強い紫外線であることが理解できます。作業する人は面を使いますが、手伝う人は見てしまうのかもしれません

 あの時は、すでに真夜中でしたし、「冷やして早く眠るように」伝えたことを思い出しました。翌朝にはだいぶん良くなってましたが、近所の眼科で手当てをしてもらえたようでした。

 父はもういませんが、思えば昭和の55年頃のことで、私はすでにあの頃の父の年にを超えました。


英語ですが、お勉強には多からず少なからぬことを解説しています。

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