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2016年9月25日

8161:眼内腫瘍の治療のお話(鈴木茂伸先生)を伺いました。

8161:眼内腫瘍の治療のお話(鈴木茂伸先生)を伺いました。

無題
眼内腫瘍の治療のお話を国立がんセンター中央病院の鈴木茂伸先生に伺いました。

◎清澤の聴講印象記です。

 章の区切りごとに今日の話の組み立てを示すスライドを入れてくださったので、全体の中で今どこを論じているのかがわかりやすくて聞き易かったです。

 私が育った水野勝義教授時代と玉井信教授時代の東北大学では、ほかの専門病院に回すという選択肢がありませんでしたから、水野教授の脈絡膜腫瘍の切除に助手で入ったり、玉井信先生の時代にもクレーンライン法による眼窩内の血管腫や涙腺腫瘍の切除までを自分でもさせていただいていたので、本日のお話は少し懐かしく伺いました。

 今の東京では、診断が眼窩や眼球内の悪性腫瘍か?というところまで来ると、東京医大、慈恵医大、国立がん研究センター、癌研附属有明病院などに患者さんをお願いするということになってしまいます。大学への在職中には眼窩偽腫瘍なのか?涙腺混合腫瘍なのか?くらいまでは自分の大学で生検をして決められるようでありたいと思っていましたが、専門分化の進んだ今日の東京では既にそうでもなくなってきたようです。

 だとすれば、最初に患者を診る開業医、病院医は眼腫瘍を見極めて、今日の講師レベルの専門家のいるところに直接に送らないと、ひと手間治療開始が遅れることになりますから、その責任は軽くはありません。

 --ここからが今日の講義の聞き取りメモです。ーー

◎治療総論:腫瘍の治療には手術、放射線、抗がん剤による化学療法があります。そのほかに免疫療法、遺伝子治療がありますが、眼内腫瘍に対してはこれはまだ完成していません。手術に含まれるレーザーや冷凍凝固も行われています。

治療の考え方にはエリア攻撃、細胞への攻撃、腫瘍細胞を特異的に攻撃する分子標的薬やホウ素中性子補足療法(BNCT)もあります。上のそれぞれに下の3種を組み合わせた各種の治療があります。

放射線ではリネアックや粒子線などの外照射と小線源を眼球表面に縫い付ける小線源治療があります。化学療法のうち、がんセンターで行われる局所化学療法で特徴的なものに選択的動脈注入があります。経過観察というのも忘れてはいけない手段です。

健常組織には放射線反応・耐用線量があり、水晶体なら10グレイ、網膜なら45グレイなどとされています。また放射線が聞きやすいものには悪性リンパ腫30グレイ、網膜芽細胞腫40グレイと放射セ感受性の低い扁平上皮癌60グレイ、悪性黒色腫80グレイ以上の区別もできます。

リネアックは深いところまで均一に炒めるのでそれを多方向から照射して焦点の照射量を高めるガンマナイフやサイバーナイフなどの低位放射線治療も行われます。特殊なものに粒子線治療があり、陽子や炭素イオンが用いられ、炭素イオン線ではRBEは2.3から3で悪性黒色腫にも有効です。千葉の放医研ではHIMACが使われています。

小線源療法では胸膜を露出して、眼内の腫瘍部分に放射線が当たるようにします。米国ではβ線のルテニウムが、米国ではガンマ線のヨード125のシードが用いられます。

化学療法では抗がん剤が用いられますが、これにも感受性の高い網膜芽細胞腫と感受性の低い悪性黒色腫が分けられます。

がんセンターでは選択的眼動脈注入が行われていて、これは1958年に金子・毛利が始めたものです。バルンカテーテルを使用して眼動脈分岐部遠位でいったん内頚動脈を遮断し眼動脈だけにメルファランを入れます。海外ではマイクロカテーテルが用いられ、日本ではバルーンカテーテルが使われています。

◎以後は各論です

1)虹彩腫瘍:増大する場合と症状(眼圧上昇、角膜障害、白内障、水晶体変異)がある場合には原則、手術療法です。孤立性なら全摘出できます。

2)毛様体腫瘍:では増大がなければ観察。増大があり転移性が考えられれば全身治療。否定的でメラノーマが部分切除で確定できれば放射線治療。病理が不確定なら全摘出か眼球摘出を考慮します。

3)後眼部腫瘍
○脈絡膜母斑:良性だが、漿液性剥離を伴うならそのコントロールを検討する。

○脈絡膜悪性黒色腫では1990年台に北米でCOMS:collaborative ocular melanoma studyが行われた。その結果臨床診断と病理診断の一致率は99.5%と高かった。

大きなサイズでは術前照射が予後に影響しないことが分かった。
中サイズ(腫瘍厚3.1から10ミリかつ径が16ミリ以下)では眼球摘出でもヨード小線源照射でも生命予後は変わらなかった。
小サイズでは、腫瘍の増大が5年で31%、死亡率は8年で15%であった。眼球をとったから安全というわけではない。

レーザー治療には径瞳孔温熱療法(TTT)と光線力学的治療(PDT)がある
小線源治療は106ルビジウムか125ヨード。
放射線外照射ならX線の定位放射線治療か粒子線の照射であり、海外では陽子線が国内では炭素イオン線が用いられる。炭素線治療は眼球温存率97%。

○赤い色の腫瘍(脈絡膜血管腫、網膜血管腫、VPRT)
・脈絡膜血管腫は静脈奇形である
 孤立性血管腫にはPDT,TTT、光凝固などが行える。
・び漫性脈絡膜血管腫はスタージ・ウウェーバーでみられる。
・網膜血管腫(小児)は血管芽腫であり、フォンヒッペルリンドー病にも注意する。

○白色腫瘍(悪性腫瘍の脈絡膜転移と網膜芽細胞腫を含む)
 脈絡膜転移:全身疾患として対応。乳癌は予後が長い。眼球摘出は除痛が目的。
 網膜芽細胞腫:小腫瘍ならダイオードレーザー、周辺には冷凍凝固。それ以上ではルテニウム小線源治療。
・眼動脈への注入とガラス体への希釈メルファラン注入も行える

○眼内リンパ腫
・罹患眼の治療:メトトレキサート硝子体注入、放射線も有効
・中枢神経病変:血液内科と相談。強化化学療法
・中枢神経病変の予防:ガイドラインはあるが

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