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2016年9月24日

8159:「股のぞき効果」研究でイグ・ノーベル賞 日本人学者2人

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2016/9/23 19:00

眼科医清澤のコメント;原著論文を調査してみますと、この研究の原著はAtsuki Higashiyama, Kohei Adachi, Perceived size and perceived distance of targets viewed from between the legs: Evidence for proprioceptive theory, Vision Research, Volume 46, Issue 23, November 2006, Pages 3961–3976です。

 その研究が2006年に掲載されたビジョンリサーチは分子生物学的な研究からこのような心理学的な論文までの視覚に関する研究を広範に掲載する科学雑誌で、そのImpact Factorは1.776。5-Year Impact Factorは2.313で難易度は中等度の雑誌ということになります。東北大の眼科教室にはその昔から購入されていた見覚えの有る雑誌です。

そのAbstractをざっと翻訳してみますと次のような内容でした。Apparent distance modelとDirect perception modelというのが肝になる知覚のモデルのようです。このアブストラクトの翻訳文もまだ十分には消化されたものとは言えませんが、各新聞の記事がこのアブストラクトの内容ををなんとか読者に理解させようと苦労しているのがよくわかりました。
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  --抄録(アブストラクト)---
 私達は、足の間から見られる目標を3つの条件の比較を使って、被験者が感ずる大きさと距離感というものを検討した。高さが32cmから163cmまでで変わり、距離は2.5mから45mに置いた5つの視標が、合計90人の被験者に示され、それによって感じられる大きさと個々の視標までの距離を答えさせた。

 比較実験1では、15人の被験者は頭を逆さにして彼ら自身の足の間を通して目標を見させた。別の15人の被験者はグラウンドで直立してそれらの視標を見させた。その結果は、頭を逆さにすることで大きさの恒常の程度が下がり、距離の尺度を圧縮することが示された。これらの結果が網膜像の逆転ないし体の位置関係の逆転のいずれに起因しているかを調査するために、比較実験2と3を行った。

 比較実験2では、15人の被験者には直立させ、視野を180度回転させるプリズム眼鏡をかけさせて、視標を見させせた。同時に他の15人にはこのプリズムの付いていない眼鏡枠をかけさせて視標を見させた。この結果は、両方の眼鏡の条件において、大きさの恒常性が強まり、感じられる距離は物質的な距離と対応したものであることが示された。

 比較実験3では、15人の被験者は180度回転のプリズム眼鏡をかけて、その頭を前向きに傾けて目標を見させ、他の15人の被験者には同様の眼鏡を装着させたうえで、腹這いに横たわらせた。その結果は、大きさの恒常は低く、距離の尺度は圧縮されていた。

従って、感じられる視標の大きさと距離とが、網膜像の方向ではなくて、体の位置の逆転によって影響されるということが示唆された。

パス解析および部分的な相互関係分析をデータ全体に適用すると、感じられる視標の大きさは感じられる距離とは独立であることが分かった。これらの結果は明白な距離モデルよりは直接的な知覚モデルを支持した。

Keywords
Space; Perception; Size; Distance; Between-leg viewing; Head; Retinal image; Visual cues; Proprioceptive cues; Apparent distance model; Direct perception model

 --新聞記事の引用---
 独創的でユーモラスな研究に贈られる2016年の「イグ・ノーベル賞」授賞式が同年9月22日、米ハーバード大学で開かれ、上半身をかがめて股の間から後ろの光景を見る「股のぞき効果」の視覚変化を研究した立命館大学の東山篤規教授と大阪大学の足立浩平教授が「知覚賞」を受賞した。

 共同通信や朝日新聞など大手メディアが報道した。2人は、実験によって逆さまに見ることにより風景が実際より小さく見える原理を解明した。

 日本三景の1つ天橋立(京都府宮津市)には、股のぞきで景観が変わることを楽しむ習慣がある。展望所に有名な「股のぞき台」が設置されており、昔から姿勢によって視覚が変化することが体感的に知られてきた。

2人は、大きさが異なる5種類の三角形の板を用意、距離を色々と変えて、計90人の被験者に股のぞきで見てもらい、見かけの大きさや距離を当てさせる実験を繰り返した。その結果、直立して見るより、大きさが小さくなり、距離も短く見えることがわかった。具体的には45メートル離れた地点に置いた高さ1メートルの三角形が、高さ60センチほどに見える。さらに、前かがみの姿勢が錯視を生むメカニズムも、上下逆さまに見えるプリズムのメガネを使った実験を行ない、突き止めた。

東山教授は、朝日新聞の取材に対し、「実験に協力してもらおうと声をかけると、男性は『ようそんなことやっとるな』という顔をするし、女性には『恥ずかしいのでやりたくない』と言われました。くすっと笑ってしまうテーマが評価されたのでしょう」と語っている。
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