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2016年9月6日

8107: 乾燥羊膜で医療シート、富山大発ベンチャー企業が製品化へ…角膜治療などで使用

乾燥羊膜で医療シート、富山大発ベンチャー企業が製品化へ…角膜治療などで使用
2016年9月2日

乾燥羊膜(左)と製品サンプル(2センチ四方)

 富山大発のベンチャー企業で医療機器製造販売「アムノス」(富山県朝日町)は1日、ヒトの羊膜を乾燥させた再生医療用シートの製品化に乗り出すと発表した。

 国の推進事業に採択され建設資金が確保できたことから、生産工場を朝日町草野に建設する。生産工場は2017年4月に完成予定で、18年に米国での販売開始を目指す。

 アムノスや富山大によると、ヒトの胎児を包む羊膜は、傷ついた角膜などに移植すると組織の再生を早めるほか、脳外科手術で脳硬膜の代わりに使用できるなど利用価値が高いという。

 富山大の二階堂敏雄副学長(63)(アムノス取締役)らの研究チームは約15年前、そのままでは軟らかく手術への使用や保存が困難だった羊膜を、特殊な技術で水分を蒸発させ乾燥させることに成功。患部に貼り付けやすく、常温で2年間保存可能にした。

 2012年には富山大などが日本で、13年には富山大が米国で、それぞれ乾燥羊膜の製造などの特許を取得。富山大と民間企業2社は14年、製品化を目指してアムノスを設立し、富山大は米国で取得した特許を譲渡していた。

 今年7月、医薬品や医療機器などの研究開発の司令塔である国立研究開発法人「日本医療研究開発機構」(東京都)の推進事業に採択され、2年間で約1億2000万円の研究費がついたことなどから、生産工場の建設が可能になった。

 工場は建築面積約490平方メートルの鉄筋2階建て。建設費は約5億円で、10人程度を新規雇用する予定だ。生産能力は非公表だが、2センチ四方の再生医療用シートを1枚5万~6万円程度で販売する方針。妊婦1人の羊膜からは、シートが50~60枚ほど作製できるという。

 富山市内で記者会見した二階堂副学長は、「乾燥羊膜は拒絶反応が起こりにくく、生体由来の高品質な 絆創膏ばんそうこう だ。米国に続き、国内でもなるべく早く販売したい」と説明。アムノスの田中淳社長(49)は「乾燥羊膜の生産を薬都富山で発進できることの意義は大きい。多くの患者に使っていただき、より質の高い医療を提供していきたい」と意気込みを語った。

眼科医清澤のコメント:類天疱瘡で結膜が癒着するような症例では、新鮮な羊膜を眼表面に移植するということが行われていますが、通常は感染などの問題も含め、その入手はむつかしいとされ、羊膜バンク(脚注1)などというものも設立されていたと思います。脳硬膜などでは似たような乾燥させた製品(ライオデュラ)がかつて手術に使われていましたが、クロイツフェルド病のウイルス感染などが問題にされたこともありました(脚注2)。

 さて、この仕事が経済的に成り立つ規模で行えるものかどうか?が今後の分かれ目ですが、成功できると良いと思います。

脚注1: 京都府立医科大学では、1998年より眼科領域における羊膜移植医療を実施し、2002年には培養自家口腔粘膜上皮シート移植を開始した。2011年に羊膜を扱う組織バンクが設立され、日本組織移植学会により他院・他医療機関に羊膜を払い出すことを承認されたカテゴリーⅠの組織(羊膜)バンクとして、認定を受けている。斡旋先は、全国の大学病院を中心に21施設に及び(2015年9月現在)、難治性の眼疾患(SJS、眼類天疱瘡、熱・化学外傷、再発翼状片、角膜潰瘍上皮欠損、角膜穿孔、眼瞼癒着、腫瘍等)を持つ患者様への移植に対応するため、活動を続けている。

脚注2、◎1968年以来、ビー・ブラウンは頭部手術の際の縫合に使用するヒト乾燥硬膜「Lyodura(ライオデュラ)」(日本ではリオフィライズド・デュラとして発売)を製造・販売していたが、この製品を移植された多数の患者らが医原性によるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に感染するという事件が起きた。1997年3月末に、世界保健機関が人工硬膜で代替できることから、高リスクであるヒト乾燥硬膜の使用を加盟国に向けて使用停止するよう勧告し、厚生省が使用停止の緊急安全性情報を発信した(1997年4月上旬)。

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