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2016年7月29日

8001:「眩しい」「目が痛い」…眼球が原因でないなら、精神病か仮病!?:記事紹介

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「眩しい」「目が痛い」…眼球が原因でないなら、精神病か仮病!?

(心療眼科医・若倉雅登のひとりごと 読売新聞 2016年7月28日 コラム)

 異様な眩しさを実際に訴える人がおり、例えばそんな人が視神経交差付近に脳腫瘍を持って居たりします。(J Neuroophthalmol. 2002 Mar;22(1):3-8.Photophobia as the presenting visual symptom of chiasmal compression. Kawasaki A1, Purvin VA.)

 また、眼瞼痙攣で眩しさを訴える患者さんでは視床に異常に高い糖代謝が見られます(Photophobia in essential blepharospasm–a positron emission tomographic study. Emoto H, Suzuki Y, Wakakura M, Horie C, Kiyosawa M, Mochizuki M, Kawasaki K, Oda K, Ishiwata K, Ishii K. Mov Disord. 2010 Mar 15;25(4):433-9.)

 この論文は私と一緒に東京医科歯科大学と清澤眼科で神経眼科外来を見てくれている江本博文先生が筆頭著者の論文ですが、若倉先輩と私も共著者になっています。もう一昔前かと思いましたが、まだ6年前の作品で、今でもあちこちで引用されている論文です。

 今でも鈴木幸久先生が脳機能を測るPETを使ってで眩しさの原因を調べていますので、「原因不明のひどい眩しさに悩む患者さん」がお出ででしたら、清澤眼科に一度ご紹介ください。短期間で、研究目的での臨床PET検査がほぼ無料で受けられますように手配をさせて戴きます。

 そのような「眩しさ」の話を一般読者に解るように今回も若倉先輩が記事にしてくださいました。若倉先生も「羞明」に関しては「素人」ではないのです。

  --記事の引用---
  眩まぶ しい(専門用語で 羞明じゅうめい )、目が痛い(眼痛)という訴えは、眼科の外来で聞かない日はないほど、極めてありふれたものです。

 通常、患者も医師も、その原因は眼球にあるに違いないと固く信じていますが、実のところ、眼球には何ら病変のない羞明や眼痛を訴える患者さんが私の外来には大勢来院します。

 そうした症例の共通点は、その程度が眼球の病気では説明できないほど高度で持続的なことです。

 高度な羞明では、少しの明かりも拒絶して、検査や診察が困難なことがあります。中には、室内でも濃いサングラスを2つも重ねて装用していたり、袋などを頭からかぶって、少しの光さえ避けている例もあります。

 そういう姿を見ると、あまりに誇張され、演技的に見えて、「この人たちの病気は眼や視覚系にあるのではなく、精神にあるのではないか、あるいはまた詐病(仮病)なのではないか」と以前の私は 訝いぶか しんだものでした。

 しかし、そういう症例を多く診察してきた今は違います。精神病でも、詐病でもない、これはれっきとした、高次脳機能障害なのです。

 眼痛においても、同じです。強弱はあれ、常時存在して、薬も効かない痛みのために、自身の活動は著しく制限され、普通の日常生活が不可能になっているのです。

 ところが、羞明も、痛みも、客観的に測定する方法はありませんし、それは視力など眼科で行う検査の数字にも反映されません( 開瞼かいけん 持続ができない場合、検査自体ができないということはありえますが)。これは、検査や視診を頼りにしてきた一般眼科医にとっては、自分の知識や経験の中には存在しない事態ですから、以前の私のように、精神病か詐病だと解釈しがちになります。

 しかし、前回解説したように、網膜から第一次視覚中枢までの視路だけでは、視覚という感覚は完結していないのです。さらに視覚の高次脳機能が作動して、はじめて快適で、適切な、意味のある視覚が完成します。

 その経路と途中で、何らかの不調や病変が介在すれば、視覚の雑音になるでしょう。それが羞明、眼痛という形で表出します。

 ちなみに、眩しさと痛みとは、三叉(★ルビ=さんさ)神経、視床などかなり共通した神経回路に生ずる感覚で、両者は親戚関係にある感覚です。眩しさが高じれば痛みになり、痛みのある人に眩しさも伴っている例は、臨床でもよく遭遇します。

 高次脳では感覚と運動は絶妙の調和をしているものなのです。

 眩しさで、あるいは痛くて「目が開けられない」という現象はよくみられる症状ですが、それは眩しさや痛みという感覚異常が、目を開けるという動作の不調を誘発している。つまり、感覚と運動の絶妙な調和を乱していると捉えることができるのです。
  --引用終了---

追記;羞明の読みは(しゅうめい)では?
英: photophobia)は、強い光を受けた際に、不快感や眼の痛みなどを生じることをいう。英語では恐怖症を示す「phobia」と付いている。
図は「眩」で画像を探したら偶然に出て来た本の表紙です。

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