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2016年6月5日

7819:眼瞼痙攣の経口薬剤治療:記事の翻訳紹介です。

7819:眼瞼痙攣の経口薬剤治療:記事の翻訳紹介です。

眼瞼痙攣の経口薬治療
Cynthia Comella, MD, FAAN, Rush University Medical Center, Chicago, Illinois
という記事が眼瞼痙攣連休財団の36巻2号(4,5,6月号)に載っていますからやや長い記事ですが翻訳して採録します。

やはり第一選択はボトックス。経口薬剤は補助的なものとしています。ですからまず飲み薬で反応を見て聞かなければボトックスという初診の患者さんが望みがちな治療法は間違いないし定石から外れた治療法であるという私たちの従来からの提案をとうしゅうしたものとなっています。

  --記事採録---

 最も有効な眼瞼痙攣に対する治療はボツリヌス毒素の注射です。経口薬はその臨床的な効果と安全性に対しての適切な評価が為されておらず、第一選択には選ばれません。

 抗コリン薬のトリヘキシフェニジル、ベンズトロピン、ビペリデン、アトロピン、プロシクリディン、オルへナドリン、スコポラミン、そしてエソプロパジンはジストニアの治療に使われてきて、小児の全身性ジストニアには最も頻繁につかわれる。これらの薬剤は限定的な効果しかなく、投薬量を制限する副作用が有り、その有効性も保証されないから、患者の利益は少ない。抗コリン剤の副作用は、視野のぼやけ、口の乾き、沈静、混乱、そして記憶障害を含む。尿閉、騒ぐこと、そして不安もある。抗コリン薬は緑内障患者には使うべきではない。もし抗コリン剤を使うならば、可能な最小量から始め、週ないし月のレベルでゆっくり増量する。抗コリン剤は一日3ないし4回に分ける。症状改善はしばしば遅れるから、一程度容量を1-2週続けて調整はゆっくり行う。成人では副作用の為、高用量には耐えられない。エソプロパジンは末梢神経の副作用が他の者より少ないようだが、米国では入手できない。利益が無く副作用が無ければ、抗コリン薬は中止すべきである。ウィズドローアル症候群(離脱に伴う症状)が有り得るから、薬はゆっくり切るべきである。

 ドーパミン系の薬剤は、パーキンソン病に最も多く使われる。明らかにジストニアはパーキンソン病とは違う。カルビドーパないしレボドーパその他のドーパミン系薬剤は眼瞼痙攣を含む局所ジストニア患者にしばしば使われる。これに関しては利益が得られる効果があるという十分な研究が有る。ドーパ感受性があると呼ばれる一部の患者(DRD)では、GTPサイクロハイドラーゼ1遺伝子に異常が有り、小児でジストニアを発症し、わずかな用量で持続的効果を持つ。成人発症の局所ジストニアはDRDではないことが多いが、投与の延長を考えることもできよう。

 ドーパミン受容体の拮抗薬(向精神薬や吐き気止め)は、ジストニアへの使用が推奨された。しかし、適切な評価はなされていない。逆説的な薬剤性パーキンソン病の発生や、潜在的で永続的な遅発性ジスキネジアを含む副作用の可能性がある。それゆえ眼瞼痙攣治療への処方は推奨されない。非典型的向精神薬のクロザピン、クエチアピンは遅発性ジスキネジアの発生は少ないかもしれないが、両薬剤は鎮静、起立性低血圧、癲癇閾値の低下、そして糖尿病、脂質異常、高血圧、肥満などのメタボリック症候群の可能性がある。テトラべナジンはドーパミンを含むモノアミンを枯渇させる働きがあり、ドーパミン阻害作用が有る。テトラべナジンはハンチントン病に伴うヒョレアにFDA承認の効用があるが、ジストニアには認められていない。コントロール試験は行われていないがオープンラベル実験では25から60%に有効だという。テトラべナジンの副作用は多くて沈静、うつ、パーキンソン病、アカシジア、神経過敏そして傾眠が有る。米国ではその費用の請求は否認されるかもしれない。

 クロナゼピンはベンゾジアゼピン系でジストニアには頻繁に使われるが、コントロール実験はされていない。小さなケースシリーズがその眼瞼痙攣への有効性を述べていて、特に不安要素の強い例に良い。クロナゼパムは、副作用を避けるため少量から増やす。副作用は鎮静、うつ、混乱、そして依存症である。患者は急にクロナゼパムをやめるべきではなく、主治医の指示に従って漸減すべきである。

 バクロフェンはGABA受容体作動薬であり、コントロール実験は無いがジストニアには効果があるとされる、バクロフェンは殊に小児で全身性のジストニアに使われる。しかし成人は効果のある量の処方には耐えられない。少量から初めて有効な効果が出るまでゆっくりと増やす。バクロフェンの副作用は眩暈、沈静、吐き気、排尿障害。混乱、幻覚、パラノイアの報告があるがそれらは稀である。この薬剤も精神症状、発作、ジスキネジアの急な増悪が起きるから急には止めるべきではない。

 多くの経口薬剤がこのほかにも推奨される。しかし、ボツリヌス毒素が第一選択であることは変わらない。

  ーー引用完了ーー

◎さて、以前の友の会における講演で私はこの記事の著者Ruth大学 Cynthia Comella博士の記事借用して、下記の内容を含めた講演をしました。以前の清澤眼科医院通信5213記事の一部ですが::「眼瞼痙攣の内服薬治療には確立された定型が無い」という部分の再録です。数字は2014年3月初めに友の会で見ていただいた時のたスライド番号です。

18、眼瞼痙攣治療に用いられる経口薬剤の概要はRuth大学 Cynthia Comella記事よりの引用です。
 現在の選択肢は;経口剤、ボツリヌス毒素、神経遮断薬、手術、深部刺激だが、
 経口剤であってこの目的でFDAを通ったものはいまだに存在しない。
 経口剤の臨床トライアルさえもいまだに存在しない。
 つまり、経口剤は臨床経験に基づいて週刊的に使われているだけのものである。

19、ジストニアへの経口薬の概要は次にとおり。
 レボドーパ:その副作用は吐き気、で作用は限定的である。
 抗コリン剤(アーテン):副作用はドライマウスと健忘症状である。
 バクロフェン:吐き気、鎮静効果がある。
 クロナゼパム(リボトリール):抑鬱、依存性、鎮静作用がある。(これは、ベンゾジアゼピン系であって、GABAーA関連薬なので直接的には最も効果がはっきり見える。しかし薬剤への依存性を生じやすいからその継続的投与は最小限にすべきであろう。)

この記載は眼瞼痙攣ではなくてもっと広い意味でのジストニアにつかえる内服薬の話ではあるのですが、この筆者が使う順番とその有効性として考えているのは、
1)レボドーパ(10%に有効)→
2)抗コリン剤のアーテン(30-40%に有効)→
3)バクロフェン(20%に有効)→
4)クロナゼパム(=リボトリール)(15-20%に有効)
であるといっています。

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