お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2016年2月21日

7494:病態に基づくドライアイの治療戦略 横井則彦先生 聴講記

病態に基づくドライアイの治療戦略 京都府立医科大学 横井則彦 特別講演2

無題
眼科医清澤の聴講記:いつもの横井先生のお話。聴いたときにはわかった気になるが、なかなか5分類が覚えられない。今年の日本眼科医会の教育ビデオ(参天が協賛)ではこの横井先生のドライアイ診断が作成されます。お楽しみに:

本日のTake home messageは:次の3点

○ドライアイのコアメカニズムとして、「涙液層の安定性低下」と「摩擦亢進」が重要。「涙液層の安定性低下」はブレーク分類で眼表面の不足成分を層別に診断して層別に治療。フルオレセインの停止前の涙液破壊にはジクアスが第一選択。

○「摩擦亢進」を主な病態とする疾患として、「糸状角膜炎」、「LWE(リッドワイパーエピテリオパシー)」、「SLK(上輪部角結膜炎)」。「結膜弛緩症(涙液層の安定性の低下も関与)」がある。この病態に対する点眼治療としては、ムコスタ(レバミピド)が第一選択。涙液減少では、ジクアスとの併用も考える。

○点眼治療で十分な効果の得られない難治性のドライアイには、涙点プラグ、涙点閉鎖、結膜の外科治療といった治療のオプションが必要。(以下に本文あり。)

  ----
ドライアイの階層構造の新しい考え方
 油層と涙液層があり、その下に角膜上皮に着くムチンがある。
 ムチンは水濡れを保つ。
 液層ではムチンが水をホールドしている。
 どれが乱れてもブレークアップにつながる。

角膜表面の水保持の不良例もある。(開瞼を維持できたとき。)
調節微動の酷使が眼精疲労につながる。

涙液減少、蒸発亢進、水濡れ性低下が3要素

摩擦の亢進がもう一つのコアメカニズム。
 (表面の傷みの原因となる:瞼圧上昇、涙の減少、結膜の凸凹)

階層構造の新しい考え方: 涙液の安定性の低下と摩擦の亢進
 日本では目に見える変化を重視した
 TFOT(治療), TFOD(診断)

以前は、ヒアルロン酸とステロイドしかなかった。
フルメトロン2回で、悪循環も止まる。
治療結果が良くない症例では、それまでの治療がヒアレインだけのことが多い。
うまくいけばSPKの下方シフトが起きる(痛みは中央に強いからと説明できる)
しかしこれだけだと、一か月で効果はプラトーである。

ジクアス(まず水が出る)とムコスタ(胚細胞の増加)の作用の違いがある
ムチン関連の治療なら1か月以上改善が続く。ジクアスでは、メニスカスも高まる
現在の治療は、人工涙液に上の2つを加える。
(雪だるま式改善と呼ぶことが出来る。)

○ラインブレーク⇒水分減少⇒

先ず不足している成分は?と考える。

◎TFOD(眼表面の壮瞥診断)のための「涙液層の破壊パターン分類」
 効果的な診方:2滴つける、軽く振る。パット大きく開けさせる。
ブレークの分類を見て、眼表面の不足成分の看破をし、ドライアイの分類を決めて、眼局所での治療選択の提案が出てくる。

例えば、スポットブレーク(目を開けた瞬間に水濡れ性の悪いところが見える)など

1、 エリアブレーク:液層の高度水分不足。水は全く動かない
2、 スポットブレーク:上皮層の膜型ムチン不足
3、 ラインブレーク:液層の水分不足(涙液減少型) (軽から中等度)
4、 ディンプルブレーク:上皮層の膜型ムチン不足、水濡れ低下型、
5、 ランダムブレーク;液層/油層(分泌型ムチン)の総合力不足

◎涙液層の安定性低下(BUT短縮型)に対するTFOT,TFOD

ジクアスの効果は30分間効く。人工涙液の効果は瞬時だけ。
涙液量はメニスカスの曲率半径で見られる。

BUT短縮型ドライアイ:BUTが短い例は、実用視力も下がる
「スポット ブレーク」の大きなインパクト
「ディンプル ブレーク」も自覚症状は強い
VDT症候群には、BUT短縮がある。大阪スタディー
 パソコン、エアコン、コンタクト::
 意外に1パーセント サイップレジンがよい(調節微動が抑えられるから。)
 ジクアスでは中央の大きなスポットブレークが減る。
 ディンプルブレークは自覚症状が強く、ランダムブレークを経て正常化する。

◎摩擦亢進を考えるタイプ
ドライアイ関連疾患なら 例えば結膜弛緩でもムコスタが効く
リッドワイパーの後ろにケッシングスペースが有る。
ケッシングスぺ―スの異常があるとSLK(上輪部角結膜炎)
ゴブレットセルクリプトがあり、此処ではマイナス帯電したムチンのブラシになっている。

だから、ジクアスは涙液安定剤として、ムコスタは摩擦に効く。

◎難治症例に対する治療のオプション
 兎眼以外なら軟膏は間違い:兎眼なら上下の涙点プラグ+軟膏で治療した。
 結膜弛緩:摩擦には結膜切除手術もよい
 SLK(上輪部角結膜炎)ならKessing space再建を行う。
 涙点プラグの置けない例なら:ドリルで上皮を取り、涙丘組織を取って埋め込み、8-0バイクリルで縫う。

Take home message:

○ドライアイのコアメカニズムとして、「涙液層の安定性低下」と「摩擦亢進」が重要。「涙液層の安定性低下」はブレーク分類で眼表面の不足成分を層別に診断して層別に治療。フルオレセインの停止前の涙液破壊にはジクアスが第一選択。

○「摩擦亢進」を主な病態とする疾患として、「糸状角膜炎」、「LWE(リッドワイパーエピテリオパシー)」、「SLK(上輪部角結膜炎)」。「結膜弛緩症(涙液層の安定性の低下も関与)」がある。この病態に対する点眼治療としては、ムコスタ(レバミピド)が第一選択。涙液減少では、ジクアスとの併用も考える。

○点眼治療で十分な効果の得られない難治性のドライアイには、涙点プラグ、涙点閉鎖、結膜の外科治療といった治療のオプションが必要。

Categorised in: 未分類