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2016年2月9日

7453:先天性外眼筋繊維症に伴う神経発達異常の仕組みを解明

06093356先天性外眼筋繊維症に伴う神経発達異常の仕組みを解明

-神経軸索の正しい形成に必要なタンパク質の作用が明らかに-

眼科医清澤の最初のコメント:以前はgeneral fibrosis syndrome と呼ばれていたものがこれに相当するようです。臨床的には進行性外眼筋麻痺が鑑別にあげられそうです。全体像としては以前の記事(2009年01月26日 776 先天性外眼筋線維症 CFEOM:https://www.kiyosawa.or.jp/archives/50746431.html)もご参照ください。

ーー理研のニュースリリースの要旨ーー

理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター分子動態解析技術開発チームの武藤悦子チームリーダー、箕浦逸史研究員らの共同研究グループ※は、3型先天性外眼筋繊維症(CFEOM3)に伴う神経発達異常は、チューブリンというタンパク質の変異がキネシンというモータータンパク質の正常な運動を妨げ神経軸索の伸長を阻害することで生じることを明らかにしました。

CFEOMとは、眼筋麻痺による斜視や眼瞼下垂を主な症状とする先天性の疾患で、1型、2型、3型に分類されます。このうち3型であるCFEOM3は主にβ3チューブリンの遺伝子変異が原因であることが近年分かってきました。しかし、この遺伝子変異がどのように神経や筋肉の異常を起こすのか、そのメカニズムの全容は明らかになっていませんでした。

共同研究グループは、CFEOM3の原因として知られているヒトβ3チューブリン変異体の組換えタンパク質を発現・精製することに成功し、β3チューブリンの遺伝子変異がキネシンとの相互作用を妨げていることを明らかにしました。β3チューブリンと相互作用できないキネシンは正常な運動ができず、神経の伸長に重要な微小管の形成や制御が十分できないと考えられます。また、このメカニズムを元に、β3チューブリンとキネシンの相互作用を回復(レスキュー)できるキネシンの変異体(レスキュー変異体)の作成にも成功しました。このレスキュー変異体が、β3チューブリン変異体によって異常が生じた神経形成を回復させる能力があることを、培養神経細胞やマウスの脳を用いて確認しました。

今回の研究により、CFEOM3に伴うβ3チューブリンの遺伝子変異が、キネシンとの結合異常を介して正常な神経の伸長を阻害する仕組みが明らかになりました。また、正常な神経の形成はβ3チューブリンとキネシンとの相互作用によって制御されていることが分かりました。今後の詳細な解析によって、CFEOMの治療法開発の促進が期待できます。さらに、神経が軸索を伸ばし配線するメカニズムの理解につながる可能性があります。

本研究は、国際科学雑誌『Nature Communications』(1月18日付け:日本時間1月18日)に掲載されます。

眼科医清澤のまとめのコメント:重要な発見のようですが、臨床的には進行性外眼筋麻痺よりも頻度は少なくて、今一つピンときません。ミトコンドリア遺伝子の変異に原因があるとされる進行性外眼筋麻痺とこの疾患は別の物のようです。

キーワードはチューブリンとキネシンのようです。(ウィキペディアなどから)

○チューブリン チューブリン(tubulin)は真核生物の細胞内にあるタンパク質であり、微小管や中心体を形成している。微小管(microtubule)にあることから生物学者の毛利秀雄により命名された。

チューブリンには分子量約5万のα-チューブリンとβ-チューブリンがあり、これらが1個ずつ結合したチューブリンダイマーが直線上に重合し、微小管のプロトフィラメントを構成する。このプロトフィラメントが管状に 11-16本程度結合したものが微小管である。チューブリンはGTP結合タンパク質であり、GTPの結合・加水分解により微小管の伸長と短縮が調節される。

○キネシン:英語名:kinesin
 キネシンは、モータータンパク質の一つで、主にATPを加水分解しながら微小管に沿って運動する性質を持ち、細胞分裂や細胞内物質輸送に重要な働きをしている。キネシンは遺伝子ファミリーを形成しており、キネシンスーパーファミリータンパク質(kinesin superfamily proteins, KIFs)と呼ばれる。KIFsは哺乳類(マウス、ヒト)で45種類の遺伝子が同定されており、細胞内で膜小器官、タンパク質複合体やmRNAなどのカーゴ(荷物)を輸送することで、細胞の生存、形態形成および機能発現に重要な役割を果たしている。最近、このKIFsが、記憶・学習などの脳の高次機能、神経回路網形成、体の左右軸の決定、腫瘍形成の抑制など重要な生命現象に関与していることが明らかとなった。

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