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2016年2月6日

7443;ジカウイルス感染症(ジカ熱)、チクングニア熱とデング熱の世界的状況:倉根一郎博士講演聴講記

「新興・再興感染症の世界的状況
ジカウイルス感染症(ジカ熱)、チクングニア熱とデング熱」というお話を聞いて来ました。
これは、「残り時間が限られた同級生同士が会える機会をなるべく多く作ろう」という事で田山君と沖田君が企画して、同級生の国立感染症研究所所長の倉根一郎君からフラビウイルスに関するお話を聞いたという会の聴講記です。集まった中には卒業後37年ぶりの人もいました。

お話の順番は、何時もなら逆のはずですが、今日はマスコミでも話題になっているので、ジカウイルス感染症の話を先に話されました。

1970年頃から新たな感染症が出てきた。:それにはウイルスによるものが多く、動物由来の感染症が多い。特に蚊が媒介するものの広がりが多くなった。

1、蚊媒介ウイルス感染症:
これは100種以上ある。そのうち50種が人にも感染する。これを3群に分ける。
1)出血熱:デングと黄熱病を含む
2)脳炎を典型症状とするもの:日本脳炎、セントルイス熱
3)関節炎を示す:チクングニア熱

蚊と自然宿主の間でウイルスは維持される。その蚊がたまに人も刺す。この場合「人」は終末宿主である。デング、黄熱、チクングニア、ジカ・ウイルスはその点では例外で、人からも広がる。;だから例外

デング:はヒトから蚊には感染しない。感染したヒトでの血中ウイルス濃度は、10の6乗から7乗である。
熱帯縞蚊は日本にはいない、その代わり、一筋縞蚊が日本にいる。
実験によれば、この一筋縞蚊を感染させることはできる。
この一筋縞蚊は南の方に分布が限られていたのだが、2010年までには、北に向かって青森県境にまで広がった。

2、ジカ熱の中南米における流行
ジカウイルス感染症は余り致死的でない。これまではデングに隠れていたという印象である。
熱帯縞蚊と一筋縞蚊が媒介できる。
2-12日の潜伏期。
ジカウイルス感染後にギランバレーが起きたという報告もある。
2015年:ブラジルの小頭症(4000人)。調べてみれば、脳にも胎盤にも抗原がある。
実は、数年前から日本にも3例の報告がある。
それは、ボラボラ島(ポリネシア)2例、タイから1例であった。

アフリカに始まり、東南アジア、南太平洋そして南米へと東に向かって広がっていった。
(Gatherer 2016 J, Gev. Virol)

小頭症の実数は2014年に3000例出た。
ブラジルでは32センチ以下の頭囲の新生児を小頭症と呼ぶ。
熱帯縞蚊、一筋縞蚊も、ともにブラジル北東部に分布している。

感染研のホームページに付いて:地方衛生研究所へ検査キットを送付する準備中。その施設職員への講習会。基盤的研究を始める予定。
なんと、世界中を見ても、ジカウイルスの研究者はいない。(ジカウイルスを扱ったことはあってもその専門家がいない。)
だから分からないことが多い。

3、チクングニア熱の臨床所見
潜伏期3-7、発熱と関節炎、発疹。
症例:病院ではデングかもしれないとされる。PCR陽性、9病日でIgM陽性化した。
アフリカ、インド洋、東南アジア、サン・マルタンから報告。
2,005年アフリカ、2009マレーシア、インドネシア、2010年:年に5例程度はチクングニア熱も日本には発生している。(アフリカから東に伝搬したのは共通。)
一方、イタリアにも2007年に入って、300人発症。
(貿易で運ばれた古タイヤに付いてイタリアに一筋縞蚊が入ったのだろう。)
この後、カリブ地域にもに入っている。

チクングニアの方が血液中のウイルス濃度は高く、流行が起きそうなものなのだが、現状はそうでもない。

4、デング熱の日本での流行 2014年の8-9月に代々木公園で起きた
160人のほとんどは、2つの株であった、
10の9乗ほどに、ウイルス血症は濃い。
蚊は1キロも飛ばない。卵を産む前の蚊のメスは一度刺せば1週間はもう刺さない。
蚊は人がいるところに住む性質を持つ。プールや田んぼには産卵しない。
一人の人が多くの蚊に集中的に刺される。
現場に長時間居る人が刺されやすい。
不顕性感染の人からでも、血を吸わせることで感染性の蚊が作れる。

デングの国内感染症の居住地別状況。東京中心だが全国。
あらゆる年代が感染する(東南アジアでは10歳くらいに多い。)

デングは年に1000万人くらいに発生している。
台湾ならば2-3万くらい(台南と高雄:熱帯縞蚊)
シンガポールも蚊の駆除に力を入れている。

デング熱は:2-10日の潜伏期。デング熱に掛かると、血漿の漏出で腹水や胸水が溜まる。
デング出血熱はデング熱と重症デング熱に分けられる。
デング熱は発熱、顔面紅潮、マシン様発疹、などの症状を伴う。

デング熱は、再感染時に重く(デング出血熱に)なるというのは正しいか?
 正しいのだが、初感染でも重篤にならないわけではない。

デング熱にはウイルスが4型ある。:めねきがあるという意味で、ホモのウイルスに掛かることがない。
このデング1-4型は抗原的に別のウイルスとみなすべきである。
しかしデングだけは、別の型に掛かることを再感染と呼んでいる
バイレミアは発症のマイナス3から5日まで、その後IgMが4日から出てくる。IgG型の中和抗体は6日から増える。

質疑応答:抗ウイルス薬はできないのか?(答)薬を研究している会社は有るが、あまり成功してはいない。ワクチンなら、4つの型のひとつづつならかなり成功しているが、4つの全ての型となるとなかなかむつかしいという事でした。それでも不完全とは言え、メキシコでは4種型のワクチンの製造が既に認可されたそうです。

清澤のコメント:大学の席順はアイウエオ順でしたから、「き」と「く」は遠くはありません。学生時代から真面目に事に取り組む方で有りましたが、感染症研究の第一線でご活躍中であることがよくわかりました。

 講演後にフロアで、「ビル・ゲイツが資金を出すという熱帯性の感染症の研究とは?」と聞いたところ、これらのウイルス感染症へのワクチンを作る研究ですとのことでした。

 ⇒先の記事へ https://www.kiyosawa.or.jp/archives/54592395.html

単語:
ジカウイルス感染症とは: ヤブカ(Aedes)属の蚊によって媒介されるジカウイルスによる感染症である。ジカウイルスはデングウイルスと同じフラビウイルス科に属し、症状はデング熱に類似するが、それより軽い。(http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/6224-zika-fever-info.html)

チクングニア
デング、デング出血熱

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