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2015年10月30日

7137:眼科におけるカルテの電子化-何がベターか?

第69回日本臨床眼科学会 共催 株式会社京葉電子工業
ランチョンセミナー LS-31
眼科におけるカルテの電子化-何がベターか?-

眼科におけるカルテの電子化

座長 竹内 忍先生 竹内眼科クリニック 院長
演題1 眼科におけるカルテシステムの現状

演者 熊谷 光平部長 大島眼科病院 診療支援部
演題2 眼科病院におけるシステム構築の現状

演者 清澤 源弘先生 清澤眼科医院 院長
演題3 カルテビューアシステムによる診療フローをビデオで紹介

眼科におけるカルテの電子化02

眼科におけるカルテの電子化03

◎演題1 眼科におけるカルテシステムの現状
座長 竹内 忍先生 竹内眼科クリニック(東京都台東区)院長
略歴
昭和48年3月東邦大学医学部卒業
昭和48年5月帝京大学医学部眼科学教室レジデント
昭和55年4月東京厚生年金病院眼科 医長
昭和61年10月東邦大学大橋病院眼科 講師
昭和63年10月東邦大学大橋病院眼科 助教授
平成3年9月東邦大学佐倉病院眼科 助教授
平成4年10月東邦大学佐倉病院眼科 教授
平成13年4月東邦大学医学部眼科学第2講座 教授
      東邦大学医学部付属大橋病院眼科部長
平成19年5月竹内眼科クリニック開設 東邦大学医学部客員教授 現在に至る

◎電子カルテの導入率
電子カルテの導入件数をみてみると、全体としては45%程度、大病院や内科診療所などでは普及が進んできていると考えられますが、眼科だけに絞ってみた場合は、まだ5%程度です。大病院においても、眼科は電子カルテだけでは運用することは難しく、紙を併用したり、眼科専門の部門システムを使用したりなどの対処をしている病院が多い状況です。

眼科カルテの特徴
眼科のカルテは右に上げたような特徴があり、他の診療科とくらべても、電子カルテで扱うのがなかなか難しい要素が多くなっています。これらの要素は、電子カルテに置き換え用とした場合に、以下のような点が問題となってきます。

① 画、検査の多さにより、カルテの全体像をすぐに把握することが困難。
② 検査機器の全てをシステムに接続すると高額な予算となる。
③ 過去の記載、画像、検査などの必要度が高い。(2年前のオペ直後の視力を常に確認)
これらの問題は、コンピュータの利点と相反する要望、といった要因も含まれているため、なかなか簡単には解決できない状況があります。この結果、眼科では「紙カルテで開業、その後電子カルテに移行」と言うケースが他科と比べると極端に少ない状況があり、そのまま普及率につながっていると考えられます。

◎眼科におけるカルテ管理の選択枠

では、眼科ではどうしたらよいのか、何がベターなのか、というのがこのセミナーの主旨となりますが、私も採用しているカルテビュア(スキャンによるカルテ管理システム)について、見ていきたいと思います。

・紙カルテ・電子カルテ・カルテシャンシステム
私は開業時、カルテ管理については3つの選択肢があると考えました。自分の診療スタイルや都内である立地条件など、総合的に検討する必要がありました。現在では、開業からすでに8年が経過し、無事に患者さんの診療を続けられていますが、振り返ってみると、以下のようなまとめになります。

開業時の目的
◎カルテの保存スペースが不要であること。
◎誰でも使用可能(非常勤Drが多い)であること。
◎各種検査機器との一体化がかのうであること。
◎適切な価格であること。
◎髪の廃棄に法的な問題がないこと。(e-文書法の遵守)(タイムスタンプと電子署名)
→開業から8年を経て!
✩眼科で最初の導入なので心配もあったが、特に問題も無く現在に至る。
✩Dead spaceも発生せず運用できている。
✩常勤医、非常勤医、スタッフ共に支障なく使用中。
✩画面を読む必要が無く、目も疲れず、紙カルテと同様に診療が可能。
✩シンプルなシステム構成で故障が無い。

この方法の採用にあたっては、カルテの保存義務を満たせるように厚生省のガイドラインやe文書法なで、関係の法令・条例を遵守するよう配慮しました。

これらの法令にしたがって、スキャン後の紙カルテは破棄しています。できるだけスペースを有効活用したいのはどの医療機関でも同じですが、特に都心部での開業でもあって、」カルテ庫がクリニック内を圧迫するようになると切実です。現在の診療環境を少し写真で紹介します。

スキャンシステムでやってみて思うこと
意外と問題なかったデータ集計
当初、スキャンで行うからにはデータ分析についてはあきらめる必要があると覚悟していました。実際にやってみると、必要なデータのほとんどはレセプトコンピュータから抽出できるため。実際には不便が無かったのはうれしい誤算でした。
環境への配慮
毎日、紙を消費する立場としては、環境面への影響が気になっています。現在のところ、紙への記載は診療の質を維持するために必要不可欠な状況ですが、企業および個人の努力といった観点から、廃棄する用紙は再生紙として利用し、加えてFSC(r)マークの付いた商品を使用するよう配慮しています。

眼科におけるカルテの電子化04

眼科におけるカルテの電子化05

演題2 眼科病院におけるシステム構築の現状
演者 熊谷 光平部長 医療法人松井医仁会 大島眼科病院 診療支援部
病院の概要
理事長・院長 松井 孝明
診療科目 眼科 糖尿病内科
病床数 65床
開設年 1906年(明治39年)
指定医療 保険医療機関(健康保険、国民健康保険)、労災保険指定医療機関、生活保護法指定医療機関、原子爆弾被害者一般疾患医療取扱医療機関、結核指定医療機関
教育施設認定 日本眼科学会認定専門医制度研修施設
第三者評価認定 財団法人日本医療機能評価機構 認定病院
病院理念 人を基本とする医療
基本方針 ・患者様の苦痛を分かち合う病院 ・高い医療水準を保持する病院
     ・患者様のための看護とサービスに徹する病院

診療情報の電子化検討からカルテビューア導入決定まで
平成15年 第一世代診療情報システム稼働
・電子カルテシステムと眼科画像ファイリング導入
・完全電子カルテ化も視野に入れてシステムを推進
→反省点
歴史 
環境、業務手順、スタッフの思考。すべてが紙カルテを前提としている。
過去のカルテの必要性も高い。
紙カルテの機能性と電子カルテの機能性
紙カルテをめくると、ほぼすべての診療情報がそこにある。
時系列な情報把握も可能。
電子カルテでの諸情報の所得は使用者のITリテラシーに依存。
眼科特有の事情
シェーマ、自科検査
→平成25年 第二世代診療情報システム稼働
 カルテビューアシステム導入
1日400人に上る外来患者数と、20人前後の入退院患者。増え続ける用紙コストやカルテの保管場所、それらに従事するするスタッフの確保に限界を感じていた。また、入院診療では同時並行的な業務が求めらてるが、手元にカルテが必要である以上効率的な業務は行えない。これらの理由から、診療情報の電子化を目指す事となった。平成15年に第一世代診療情報システムを稼働。電子カルテシステムと眼科画像ファイリングを導入し、完全電子カルテ化も視野に入れてシステム化を推進していたがオーダリングシステムとしての運用が限界であった。紙カルテを前提とした診療業務が、完全電子カルテ化に歯止めを掛けていたと言える。その後、サーバー機の経年劣化に伴いシステムリプレースを検討する中、カルテビューアシステムを見つける。カルテビューアは、診療当日のカルテ、シェーマ、検査結果を従来通り紙カルテに記入・貼付し、その後スキャンを行い、画像データとして電子化する新しいカルテシステムである。スキャンした画像は院内の全ての端末からいつでも閲覧可能となる上、タイムスタンプ+電子認証を付与する事により、スキャン後のカルテは破棄する事が可能となる。従来の電子カルテとは全く異なるアプローチで準ペーパーレスな診療が現実できると考えた。

カルテビューアを含む4つを第二世代診療情報システムとして使用することにした。
オーダリング、カルテビューア、レセプトコンピュータ、ファイリングシステム

導入決定後は診療申込書のスキャンから開始し、段階的に電子化を行っている。
カルテビューア導入→診療申込書からスタート→診療情報提供書、診断書控え、画像ファイリングの画像をバッチ取り込み並行期間→血液検査やその他の検査結果類のスキャンニング開始→看護関連の文書類のスキャンニング開始→新患患者のカルテスキャンニング開始→新患患者のカルテスキャンニング開始予定

現在の様子
診察室
診察室では、オーダリングシステムとカルテビューアのモニタを並べ閲覧している。カルテビューアは様々な書類が並んで表示されるため、一枚一枚めくる必要がなく紙カルテよりも閲覧性が高い。
カルテ室
院内の各部署で発生した様々な書類は、全てカルテ室へ収集し集中的にスキャンニング作業を行っている。
カルテビューアの導入効果
運用がほぼ変わらないため、医師もコメディカルも新しいシステム操作を習得する手間が軽減でき、スムーズにシステム化を実現できた。また、カルテビューアを導入した事でITリテラシーの低い利用者でもパソコンの画面を見るという癖がつき、これも大きく効果となった。
情報が一元化できた事で、医師とコメディカルの間での情報共有がスムーズに行えるようになった。
紙カルテの管理、運搬の手間が確実に減った。
まとめ
紙カルテ運用での問題点や診療の効率化を考えると、今後、医療情報の電子化による情報の一元管理、ペーパレス化は必須と考えられる。しかし、当院においては、現時点での電子カルテ化はベストアンサーではなかった。第二世代システム導入時、スキャンニングシステムは電子カルテへ移行する為のアイテムという認識であった。実際にやってみると、目的であった情報共有やペーパーレス化が比較的容易に達成できた事は嬉しい誤算であった。眼下診療では、紙の特性を活かしたい要素も多く残っている。将来的に、電子カルテの機能向上などで状況が変わってくる可能性はあるが、現時点では、電子カルテよりもカルテビューアの方がベターではないかと考えている。

眼科におけるカルテの電子化06

眼科におけるカルテの電子化07

演題3 カルテビューアシステムによる診療フローをビデオで紹介
演者 清澤 源弘先生 医療法人社団 深志清流会 清澤眼科医院 院長
略歴
・東北大学医学部卒業・同大学院終了・北里大学病院病棟医・フランス原子力庁研究員
・米国ペンシルバニア大学フェロー・米国ウイリス眼科病院臨床フェロー・東北大学講師
・東京医科歯科大学眼科助教授・「清澤眼科医院」開設・東京医科歯科大学臨床教授

導入のきっかけ
開業から8年、紙カルテとレセプトコンピュータによる運用を行っていた。患者数が増えるにつれ、紙カルテが院内のスペースを圧迫するようになり、また、カルテ管理に必要な業務も増えてきてしまっていた。これ以上のカルテ庫の拡大を抑制したいが、従来の診療スタイルはあまり変更したくない。そこでカルテビューアの導入を決定した。

診察の流れ
受付
① QRコード付きの診察券を患者様から受け取り、バーコードリーダーにかざす。
② 本日使用するカルテが印刷されてくる。それらを検査室へ運ぶ。

検査
① ORTが今回の検査指示を確認し、患者様を診察室へ呼ぶ。
② ipad版カルテビューアで前回の視力を確認する。
③ 測定結果は手元のカルテに記入し、完了。

診察
① 患者様の名前を呼び患者様を診察室に招き入れる。
② 前回までのカルテビューアで閲覧し、所見や指示等をカルテにボールペンで書き込んでいく。
③ 同時進行で診察室に同席している医療クラークが、レセプトコンピュータにコストを入力していく。

会計
① 会計スタッフはカルテファイルと印刷されてくる領収書、処方箋、医療費明細書を受け取る。
② 会計窓口で患者様をお呼びし、会計を行う。カルテファイルをスキャン用ボックスに投入する。

スキャン
① ボックスにたまったカルテはスキャン室にまとめてスキャンを行う。カルテに印字されているQRコードにより、自動的に患者様毎に書類が仕分けられる。
② スキャンしたカルテが正しく取り込まれているか、カルテビューアでチェックを行う。

電子認証
スキャン後のカルテはタイムスタンプ+電子認証を取得することにより、破棄が可能である。院内保管用のボール箱に入れ一定期間保管し、その後溶解処理サービスを利用して処理を行っている。

スタッフの感想
当初、スタッフの間ではパソコンでの操作が増えることについて懸念されていたが、システムを導入してみると、思ったよりも効果が得られる点が多かった。
紙カルテの増加に伴って、カルテ棚を複数箇所に設置するようになり、カルテがすぐに見つからないというトラブルに悩まされていた。「カルテが見つからず患者様をまたせてしまうかもしれない」というストレスも大きくなってきていたが、システム導入後、この問題は完全に無くなった。また、電話での問合わせてついてもすぐにカルテを確認できるため、スムーズに対応できるようになった。
複数の端末から同時に同一患者のカルテの閲覧が可能なため、「カルテを先生が使っているから参照できない」という状況が無くなった。
不安だったパソコンの操作は思った以上に簡単だった。紙カルテのようにページをめくる必要がなく、書類ごとに分類されたデータの閲覧が可能なので仕事の効率が上がったと思う。
レセプトのチェックは、今までと変わりなく基本的にレセプトコンピュータ上で行うが請求内容との照らし合わせを画面上のカルテで行えるようになったので、以前より便利になった。
膨大な数の紙カルテが収納されていたカルテ庫は、カルテビューア導入後しばらくして検査室へと生まれ変わった。

清澤院長より一言
「私たちは、カルテを電子化したいわけではなく。カルテ庫をなくして素早い対応ができるアクセスが欲しいのです。電子カルテに医師が向かうと、患者様は疎外感をもちます。事務員をカルテが書ける医療秘書に育てるのも容易ではありません。導入にあたって、このシステムは医師にも職員にも、患者様にもやさしい良いシステムだと判断しました。特に、私のような中高年の医師には導入しやすいと言えるでしょう。」

Categorised in: 未分類