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2015年10月22日

7106:「ものが二つに見える」原因挙げると、きりがないが…若倉節:記事紹介

7106 「ものが二つに見える」原因挙げると、きりがないが…

先ず、眼科医清澤のコメント:今日も若倉先輩の書いた読売新聞の記事の紹介です。
1)両眼性複視:左右の眼の向きが合わせられなくて、一つのものが二つに見える。眼筋麻痺かあるいは眼球を動かす神経の麻痺、さらには脳内の眼球運動を扱う部分の障害を考える。
2)単願性複視;片方の目で見てもものがダブって見える。乱視など

両眼性複視なら1)眼筋麻痺を起こす疾患で血液検査でわかるもものを探す(重症筋無力症、甲状腺機能異常、糖尿病性眼筋麻痺などがわかる)2)脳画像診断で腫瘍や動脈瘤などを探す。野2つの方向で原因を探します。何も見つからねば、微小な血管の障害を考えてビタミン剤を出し、経過観察3か月を行います。

 --記事の引用--
 両眼視機能が完璧であれば、両目で見た対象は一つにまとまります。しかも、その対象の距離や、空間的位置関係まで高次脳が計算してくれます。

 さて、もし眼球を動かす外眼筋を司る神経や筋肉そのもの、あるいは周辺組織に病変が生じるなどして、後天的に目の位置ずれが起きると、ものが二つに見えること(複視)を自覚します。

 複視は、必ず両目で見て生ずるものです。片目で見た時は、ずれている像の片方が消えるので、自覚しないのが複視の特徴でもあります

 また、「二つに見える」という症状を訴える方の中に、片目で見た時にそう自覚していることがあります。これは、像は二つ離れて見えているのではなく、実は輪郭がぼやけて二重になって見えることを表現しています。

 原因は近視や乱視などの屈折異常が矯正されていない場合や、白内障や網膜の病変でも見られることがあります。今回話題にしている両眼視機能とは無関係の症状です。真の複視と間違わないために、単眼性複視とも呼ばれます。

 真の複視の原因を挙げてゆくと、きりがありませんが、後天的に目の位置ずれや、目の動きが制限される事態になると、ほぼ必ず複視を自覚するものです。

 ここが小児期に生ずる斜視とは大きな違いです。子供の斜視では、複視の訴えはまずありません。それは、理解、表現力の問題というより、片目で見ることにうまく適応してしまうからだと考えられます。小児だけが持つ適応力、特権ともいえるでしょう。

 しかし、自覚症状を訴えることはまれなだけに、親や、学校医、学校の教員など大人が、眼位の異常を見つけてあげなければ、適切な医学的対応に行きつけないことになります。

 ところで、後天性の複視は、大人なら誰でも気づくのでしょうか。

 動眼神経という眼球を動かす脳神経に病変が起こると、同時に眼瞼がんけん下垂も生じることがあります。下垂があれば、下垂していない目での単眼視になりますから、複視に気づきません。けれども、動眼神経麻痺まひには、脳動脈瘤りゅうや腫瘍など、重大疾患が含まれている可能性があるので、決して軽視はできません。

 一方、両目の像がわずかしかずれていないだけの軽度の複視は、「焦点が合わない」「ぼやける」などと自覚することが多く、それが真の複視であるとは、本人も医師も気付かないことがあります。軽度の複視だから、原因も軽いとは限りませんので、注意したいものです。

 片目ずつではどう見えるか、両眼開放ではどう見えるかを必ず確かめることが、間違った結論にならないための大事なポイントです。

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長

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