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2015年9月23日

7006:眼瞼けいれん: パンプキン11月号・健康ノート から

パンプキン11月号・健康ノート 眼瞼けいれん
記者さんがインタビューをしに来てくださってできた記事です。雑誌の発行をまち引用しましょう。:

(リード)
まぶしい、目を開けていられない、まぶたが下がってくる……。こんな症状を訴える病気に眼瞼けいれんがあります。症状の一部はドライアイや眼精疲労と似ていますが、日常生活にもっと深刻な支障をきたしかねない病気です。今月は眼瞼けいれんの診断治療の第一人者である清澤源弘先生に、特徴的な症状と治療法をうかがいました。

(プロフィール)
清澤源弘
きよさわ・もとひろ/清澤眼科医院院長。日本神経眼科学会理事、アジア神経眼科学会理事など兼任。東京医科歯科大学大学院眼科学臨床教授、順天堂大学非常勤講師他。1978年、東北大学医学部卒業。同大大学院、フランス原子力庁研究員、ペンシルバニア大学神経学フェロー等を経て2005年から現職。

Q1 眼瞼けいれんとは?
 A 開けようと思っても
   目が開けられない!

 眼瞼けいれんとは、目の周りの筋肉がけいれんし、意志に反して瞼が閉じてしまう病気です。
 目の周囲には、瞼を持ち上げる上眼瞼挙筋と、眼球を取り巻き瞼を閉じる働きをする眼輪筋などがあり、それらが交互に動くことで、瞬きやウインクが生じます。ところが、何らかの理由で筋肉が同時に収縮すると、開けようと思っても瞼が開けられなくなってしまう。これが眼瞼けいれんです。
 眼瞼けいれんにもタイプがあり、いちばん多いのが原因不明の原発性眼瞼けいれんです。また、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの長期服用で起こる薬剤性眼瞼けいれんもあります。手術後や、パーキンソン病、脳梗塞などの症状として現れるものも。いずれも筋肉そのものでなく、神経に問題があって収縮すると考えられています。
 神経の異常が関係し、同じく眼の周囲の筋肉が収縮する病気に、片側顔面けいれんがあります。これは、硬化した顔面の血管が神経に触れることで起こると考えられ、眼瞼けいれんの症状が両眼に現れるのに対し、顔の片側にだけ現れます。治療方法が眼瞼けいれんとほぼ同じなので、いっしょに解説されることが多くあります。
 一方、左右どちらかの瞼の一部が、ぴくぴく動くことがあります。これは眼瞼ミオキミアといって、疲労、ドライアイなどをきっかけに起こるもの。瞼の一部が横に動くのが特徴です。多くは数日で消え治療の必要はありません。
 眼瞼けいれん患者は、全国で30~50万人いるといわれます。睡眠薬等の服用者に女性が多いためか、40代後半以降の女性に多くみられますが、20代でも発症します。

Q2 放っておくとどうなる?
 A うつに陥ることも。社会生活が困難に!

 眼瞼けいれんの症状は大きく3つに分類できます。1つめは、まぶしい、目がしょぼしょぼするなどの感覚症状。2つめは瞼が開きにくい、瞬きがうまくできないなどの運動症状。3つめは精神症状です。発症機序は不明ですが、うつ症状になる人が多くいます。
 最初はドライアイや疲れ眼を自覚し、半年以上かけて徐々に重症化するというケースが大半です。
 命に危険を及ぼす病気ではありませんが、生活に大きく支障を来します。目が開かないことによって、家事や仕事を困難にし、運転もできなくなります。人や物にぶつかりやすくなるので、外出を控える人も。また、職場でも目を閉じざるを得ないので、「さぼっている」と誤解されがちです。結果、うつ症状が重くなる人もいます。
 また、ストレスは、先の3つの症状を悪化させます。眼瞼けいれんでストレスが生じ、症状が悪化してさらなるストレスを生む、という悪循環にもなりかねません。

Q3 受診の目安は?
 A チェック表で、3つ以上○がついたら眼科を受診

 眼瞼けいれんは、重症化するほど、治療で症状を抑えることが困難になります。前述のような症状が続いた場合、次ページの表でチェックしてみましょう。
 3つ以上○がついた場合は、眼瞼けいれんの疑いが濃厚です。眼瞼けいれんにくわしい医師を探し受診したいもの。難しい場合は、眼科を受診することをお勧めします。治療は神経内科などでも行われますが、症状を悪化させる要因のドライアイや目の表面の傷などは、眼科の領域だからです。また、じつは眼瞼ミオキミアだった、ということもあります。
 眼科では、問診やまばたきのテスト、顔の筋肉の観察などにより診断をつけます。ただ、残念なことに、眼科であっても眼瞼けいれんをドライアイなどと診断してしまうケースが少なくありません。治療を続けても効果を得られない場合、眼瞼けいれんにくわしい医療機関を探し直すことも、自衛手段といえるでしょう。

Q4 治療の目的と進め方は?
 A 緊張をほぐす薬剤で症状をコントロールする

 眼瞼けいれんは完治が難しい疾患です。したがって、治療の目的は、症状をコントロールすること。
 現在、眼瞼けいれんの治療は、ボツリヌス菌がつくりだす毒素の一種を、目の周囲の筋肉に注射する、「ボトックス治療」が中心です。毒素といっても怖いものではなく、神経に作用し、収縮している筋肉の緊張をゆるめる働きをします。
 1回につき6か所の眼輪筋への投与で、効果は3~4か月間持続します。なかにはそのまま再発しなくなる人もいますが、多くは3~6か月後に再び症状が現れるので、また注射するという方法をとります。片側顔面けいれんでも、同様の治療が行われます。
「ボトックス治療」は保険が適用されますが、1回の治療費は1万5000円~1万8000円強(3割負担)かかります。しかし眼瞼けいれん患者の8割、片側顔面けいれん患者の9割が、満足いく改善を得ているようです。
 人によっては、点眼剤や内服薬を併用することもあります。ただ、柱は「ボトックス治療」です。
 眼瞼けいれんは、予防の難しい疾患ですが、ドライアイがあると症状が悪化しやすくなるので、日ごろから目の休息を十分にとる、エアコンなどの乾いた風を直接目に当てないなどの対策は有効です。

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(囲み記事①)
眼瞼けいれんの自己診断チェック表

□まばたきが多い
□外に出ると、または屋内でもとてもまぶしい
□目を開いていられない(目をつぶっていたい)
□目が乾く、しょぼしょぼする、痛いなど、いつも目のことが気になる
□人ごみで人やものにぶつかる、またはぶつかりそうになる
□電柱や立木、停車中の車などにぶつかったことがある
□太陽や風、階段の昇降が苦手で外出を控えている
□危険を感ずるので車や自転車の運転をしなくなった
□手を使って目を開けなければならない時がある
□片目をつぶってしまう

該当する項目が0:正常/1~2個:眼瞼けいれんの疑い/3個以上:眼瞼けいれんの可能性が高い

*『眼瞼けいれん? 片側顔面けいれん? 正しい理解と最新の治療法』(清澤源弘・江本博文・若倉雅登著/メディカルパブリケーションズ)より抜粋

 目が乾く、しょぼしょぼするなどの症状が、長く続いたり、治療をしても改善がみられない場合は、上記をチェックしてみましょう。いたずらに市販薬を使用し続けるのは、目を刺激し、負担になりかねません。
 これは医療機関でも診断の参考に用いるチェック表です。医療機関では、3個以上該当する人に、まばたきや目の開閉の観察を行い、診断をつけると同時に重症度を調べ、治療を行います。
 ちなみに、「ボトックス治療」の副作用としては、注射部位が赤くなる、目がつぶりにくくなる、涙が増えるなどがありますが、ほとんどが1か月以内に消失するといいます。

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(囲み記事②)
眼瞼けいれんと片側性顔面けいれんの主な症状

■主な症状 
・まぶしい
・目を開けていられない
・まばたきが多くなる
・目が乾く
・手で目を開けなければならない
・片目をつぶってしまう
・気分が落ち込む
・外出や人に会うのがおっくう

■日常生活への悪影響
・人ごみでぶつかる
・電柱や物に衝突する
・階段が怖い
・自動車運転が怖い
・事故を起こす
・仕事や勉強をさぼっている、怠けている、と誤解される

 眼瞼けいれんは、意志に反して目をつぶってしまう病気です。そのため、日常生活に大きな支障を来します。本人が「病気である」と理解することはもちろん、周囲の人の、病気に対する理解も非常に大切になります。
 眼瞼けいれんと片側顔面けいれんの違いとして、後者は症状が顔の左右どちらかに出ることがあげられます。一方の目は正常に開いていられるので、片側顔面けいれんでは人や物にぶつかることが、それほど多くありません。
 また、まぎらわしい疾患である眼瞼ミオキミアも、両眼に出ることはまれです。瞼が細かくピクピク動くのが特徴的な症状で、よく見ると左右に動いていることが認められます。

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