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2015年9月16日

6973:不死鳥 木下恵介監督の映画を見ました。

無題
不死鳥 木下恵介監督松竹、昭和22年作を見ました。

映画のストーリー。程近い海から潮の香が、静かな波の音にのってくるある初秋の朝。未亡人といえば世間一般では、かげの女のようにとかく忘れられがちなものなのに--私がどんなに今幸福であるか、誰も知らない--と小夜は思うのであるある。真実こそ人間最上のものである。真実に生き抜く人こそ真に幸福な人の姿である。小夜子は恋に生き、愛に生き、はるかな希望を抱いて明日も又生きようとするのだった。他のどんな愛人同志でも、私達ほど愛し合うことは出来ないと過去の日を誇らかに思い出すのだ。

眼科医清澤のコメント;
 小夜子(田中絹江)はとても可愛らしく健気な戦前の上流階級のお嬢さん。その小夜子をこれでもかと言わんばかりの不幸が次々に襲う。周囲の反対にもめげずに、この二人(佐田啓二)は結婚し、子供を設けるが、やがて男は戦死する。それでも私は幸せであると小夜子は回想する、その時にお付き合いを始めてから10年の月日が過ぎていた。

 そんな昭和22年制作の木下恵介監督の映画です。社会機構も恋愛観も替わろうとしていた時代を描いており、そこには恋愛への賛歌が流れています。一高の学生と高等女学校の女生徒という設定、またどちらも広大で女中が居る様な上流階級という設定は、態々そんな設定にしなくてもと思わないでもありません。のちに木下恵介は映画からテレビに出て行ったそうで、木下恵介劇場というテレビドラマもずいぶん見た思いがあります。
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その頃は小夜子は女学生服、真一は一高の制帽姿だった、そして学校の生き帰りにいつの日からとなく乙女心に印象づけられていった。真一の落した定期券を小夜子が届けたことによって、二人の青春が急速に接近していった。夢のような四年は、テニスコートの春、ドライヴの夏、音楽会の秋、ゴルフ場の春と過ぎていった。

真一の頑固な父は二人の仲を頑強に反対した。やがて真一の入営も近づいたが、突如、余りにも突然、小夜子に不幸が襲ってきたのである。父の死!弟の病!無情にも軍の命令は、その小夜子を一人残して行かなければならなかった。

真一が一週間の休暇で帰ってくるという報があった時、突然真一の父が疎開先の小夜子を訪れたのである。今正に息をひきとる弟を安心させてやってくれと、涙ながらの小夜子の真心は、いかな頑固な父親でも心打たれないはずはなかった。六年間の二人の真剣な愛が、結婚せずしてどうして一生の悦びとすることが出来るだろうか--

そして晴れて八坂家の長男、真一の妻として過した日は、悲しい弟の死にあった小夜子ではあるが、夢としか信じられない一週間だった。私がこんなに愛しているんですもの--あなたは絶対に死なない、死なない--と信じていた真一が戦死したのである。

だが、愛に生き抜いた小夜子は幸福だった。八坂家では今夜、真一の忘形見健一郎が、大勢の家族から誕生の祝福を受けていた。真暗な洋間に四本のローソクを立てたケーキが運ばれ、歓喜に満ちた無心な健一郎と共に光を吹く、一つ、二つ、三つ、小夜子の笑顔も最後の四本目で消えていった--。

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