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2015年8月14日

6888:3か月を超えるベンゾジアゼピン服用はアルツハイマー病発症リスク上昇と関連

ベンゾジアゼピン使用とアルツハイマー病発症リスク:症例対象研究
(https://ds-pharma.jp/literature/psychoabstract/article/2015/02_01_18.html)

清澤のコメントから:ベンゾジアゼピン使用とアルツハイマー病のリスクを論じたこの論文は、多くの日本語訳がネットに出回っていて、有名な話になっているようです。ただし、解説を見ると、アルツハイマーの初期だからベンゾジアゼピンが必要だったのか?あるいは、ベンゾジアゼピンを使ったからアルツハイマーになったのか?という基本的な問題はあるそうです。
 ベンゾジアゼピンは私たちが薬剤性眼瞼痙攣の原因になるという仮説を提唱しているところでもあり、興味を持って読める論文です。その結論は、ベンゾジアゼピンの使用はアルツハイマー型認知症発症のリスク上昇に関連があり,用量との間に正の相関も認めた。ベンゾジアゼピンが認知症の早期症状に処方されている可能性はあるものの,用量反応関係や直接的な相関も示唆される
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〈背景と目的〉認知症患者数は世界で3,600万人にも上っており,その数は更に増加することが見込まれている。発症予防についての研究は重要であり,認知症発症に寄与する要因としてベンゾジアゼピンが考えられている。本稿ではベンゾジアゼピンの使用とその後のアルツハイマー病発症との関連を調査することを目的とし,診療報酬請求に基づいて症例対照研究を行った。また,ベンゾジアゼピン用量及び,アルツハイマー病の前駆症状(不安,抑うつ,不眠症状)との関連についても検討した。

〈方法〉2000年1月~2009年12月の期間にカナダのケベック州に居住している66歳超の高齢者の診療報酬請求の情報を用いた。症例に含まれたのは,調査期間内にアルツハイマー型認知症と診断され,診断以前に抗認知症薬を処方されておらず,診断日から6年以上遡って調査可能なものとし,症例1名につき対照として年齢・性別・追跡期間をマッチさせた4名を設定した。診断日から5年以内のベンゾジアゼピンの使用は認知症の前駆症状に対して処方されていた可能性があるため,症例から除外した。ベンゾジアゼピンの曝露については下記の基準を設けた。(1)使用歴:調査期間内で1回以上の処方がある場合。(2)累積曝露量:それぞれの患者と薬剤に関して調査期間内に処方された累積の処方を計算し,それらの1日平均量を1 Prescribed Daily Dose(PDDs)とした。1~90PDDsは3ヶ月以下の曝露,91~180PDDsは3~6ヶ月の曝露,>180PDDsは6ヶ月超の曝露と考え,その3群に分類。(3)薬剤半減期:20時間未満を短時間作用型,20時間以上を長時間作用型と定義し,両方の処方がある場合は長時間作用型と分類。

 潜在的交絡因子として高血圧や心血管疾患などの内科疾患,不安,不眠,うつ症状を検討した。条件付きロジスティック回帰分析を行い,アルツハイマー型認知症を従属変数,ベンゾジアゼピンの使用を主の独立変数として設定し,上記の交絡因子で調整した分析を行った。

〈結果〉1,796名の症例と7,184名の対照が設定された。期間内でベンゾジアゼピン使用歴があったのは症例群で894名(49.8%),対照群で2,873名(40.0%)であった。ベンゾジアゼピン使用歴はアルツハイマー病のリスクと有意に関連した[オッズ比(OR)1.5,95%信頼区間(CI):1.36-1.69]。1~90PDDs群ではアルツハイマー病のリスクと有意な関連は認めなかったが,91~180 PDDs群(OR 1.32,95%CI:1.01-1.74),>180PDDs群(OR 1.84,95%CI:1.62-2.08)では有意な関連を認めた。作用時間に関しては,長時間作用型(OR 1.70,95%CI:1.46-1.98)の方が短時間作用型(OR 1.43,95%CI:1.27-1.61)よりもアルツハイマー病との関連が強かった。不安症状・うつ症状・不眠症状で補正後も,上記の有意な相関は保たれていた。

〈結論〉ベンゾジアゼピンの使用はアルツハイマー型認知症発症のリスク上昇に関連があり,用量との間に正の相関も認めた。ベンゾジアゼピンが認知症の早期症状に処方されている可能性はあるものの,用量反応関係や直接的な相関も示唆される。(内田 貴仁)

:という事でした。

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