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2015年7月18日

6794:「小児の近視進行予防の考え方」を不二門尚先生から伺いました。

images小児の近視進行予防の考え方というお話を大阪大学不二門尚先生から伺いました。

清澤のコメント:この講演は日本眼科医会第69回生涯教育講座東京講座で話されたもので、その聴講記です。全体としては、「小児の眼科診療・学校保健」でそのオルガナイザーは:佐藤美保先生と柏井真理子先生です。不二門先生は、非常に広汎に文献を渉猟検索しておいでであり、それを体系づけて紹介しておいででした。聞き間違いなどが無いとよいのですが、具体的な内容に興味のある方は以下の聴講メモをご参考になさってください。

ーー清澤の聴講メモですーーー
近視の頻度は中学生では60%にも及ぶ。
視覚障害の10%で5位を占めており、強度近視は人口の1%にある。
多治見スタディーでの近視性黄班変性は視力0,05以下のものの22,4%を占めている。
最近はこれに対して抗VEGF抗体が使われる。
以前大阪大学で行われた黄斑移動をしても、黄班(マクラ)はやがて萎縮してしまい、視力は下がる。
強度近視でなくても、中等度近視でも黄班変性は見られる。
更に、近視と緑内障も合併する傾向がある。
生涯にわたる近視ではあるが、20歳までは網脈絡膜萎縮などの症状がない。
更に、強度近視には後部部ぶどう腫などもできる。

人の目は、最初は遠視気味だが徐々に近視化する傾向を持つ。
水晶体の変化を眼軸長が補う形で変化が進む。
これに伴う遠視の正視化現象が、幼い子供にIOLを入れるときに問題を起こす。つまり近視化してゆくのである。
近視は、早期発症型、通常型、そして後期発症型に分けられている。
初期には1D/年の速度で進行する。

16歳で₋⒓Dになった例などを提示。
近視には先天性停在性夜盲(ERGで診断できる)が隠れていることも有る。

近視の進行を決めるものには、遺伝因子と環境因子が有る。
2013ネイチャージェネチクスにGWASの論文が出ているが、近視の要因はヘテロジニアスであって、遺伝と環境の両因子のインターアクションが強い。(エピジェネティクス)
脚注1

環境因子について オーストラリアからの報告:1)アジア人、2)どちらかの親の近視、3)30センチ以下での読書癖、4)30分以上連続での読書癖、が有意に影響していた。
近視化しにくい要素:一日1時間以上の屋外活動。Ophthalmology 2012.

賦課したレンズが眼軸長延長(遠視性のボケ)のトリガ-になるという話がある。
有髄神経線維の存在も近視化を促す。(これは周辺部でのボケに関与するという事らしい)

具体的にはON経路の抑制と近視化に関連があるという。
ドーパミン性のアマクリン細胞がそのキープレイヤーであるらしい。
これを活性化すればよいというお話。

しかし実際にはドーパミンはおう吐などの副作用があって使いにくくて、その代わりには
アトロピンやピレンゼピンが使われている。
木下教授らの多施設研究も0,01%アトロピンを使用した。

近視眼では調節ラグが存在し、多焦点眼鏡が良いという説がある。
2003年COMETスタディーでは(0,07D/年程度の改善がみられるという。)
そこで、MCレンズというものがある。カールツアイス社製。

軸外収差:ふつうの眼鏡では遠視性のボケを周辺部網膜に与えるから、それを緩和する軸外収差補正眼鏡という物もある。その辺りの研究では、24か月後の結果で、マイオビジョン群が特に有利ではなかったという。マイオビジョン群ではいつもレンズの中央を見ているわけではないから無効なのか?との解説であった。

それならば、累進多焦点コンタクトレンズは常にレンズ中央が視線に合うから有利か?
累進多焦点コンタクトレンズではクロスオーバー法で比較して見ると、眼軸の伸びは少なくできていた。このような近視進行を抑制するというコンタクトレンズでは30から50%の抑制が得られている。

このほか、オルソKも近視進行予防を唱えてもちいられるが、これでは感染に注意を要する。
焦点深度と近視化:焦点深度が深いと近視化しにくいという話も有る。
機械的緊張緩和理論というものがある:それに基づいてもちいられるのが、低濃度アトロピン点眼である。
遠近両用のコンタクトレンズも緊張を減らすとしてもちいられる。
オルソKも近視進行予防を目指してもちいられている。

斜視と片目の近視化:2D以上の左右差があると近視は進行する。Shie
外斜視があると不同視が助長されて、不同視差が拡大してゆく。

ーーーー
脚注1:(不二門先生の示したペーパーはこの文献であろうか?)
CREAMコンソーシアムは37,382人の欧州起源の人についての27の研究と、8,376人の5つのアジア系コホートについてゲノムワイドメタ解析を行った。欧州起源の人々では屈折異常について16個の新しい座位が見つかり、そのうち8個はアジア系人種にも共通にみられた。研究を合算して分析すると、関連する8個の座位をさらに検出した。新規座位には神経伝達( GRIA4 )、イオン輸送( KCNQ5 )、レチノイン酸代謝( RDH5 )、細胞外マトリックスリモデリング( LAMA2 と BMP2 )、眼発生( SIX6 と PRSS56 )などの機能にかかわる候補遺伝子が含まれている。また以前に報告されている GJD2 と RASGRF1 との関連も確認できた。関連したSNPを用いたリスクスコア分析は、最高度の遺伝的負荷をもった人々は近視になるリスクが10倍に増えることを示した。

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