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2015年7月10日

6762 病的近視の今昔:治らない変性疾患から治療予防できる疾患へ、大野京子教授

images063BNAR0病的近視の今昔:治らない変性疾患から治療予防できる疾患へ、
医科歯科大学 大野京子 教授を聞きました。

第6回千代田眼科夏のフォーラム(野村カンファレンスプラザ日本橋 YUITO6階大ホール、7月10日PM18:30)今昔シリーズとして6回目を迎えたと座長の若倉先生から演者が紹介されました。

東京医科歯科大学に1971年、強度近視外来が所敬教授によって設立された。:

 昔で言えば;丁寧な病状説明が患者さんの通院の主体であったという。
デューク・エルダーの教科書の図譜は今見てもきょうどきんしの眼底を正しく表している。

 今では、病的近視の一部の疾患が治療適応になった。
近視の中で矯正視力の低下を起こす疾患を病的近視と呼び、それが多治見スタディーでは22,4%と最多である。海外の北京スタディーでも13,3%(白内障以外では最多)である。
そのうち1)新生血管とその後の黄斑萎縮、2)牽引性黄班症が視力低下の2台要因である。
近視性網膜変化には
D:び漫性萎縮 脈絡膜が薄くなるのが特徴。視力は良い。
P;:限局性萎縮病変 そこにはRPEも網膜外層もない。
L:ラッカークラック、ブルッフ膜の機械的断裂である。

 近視性新生血管は強度近視の10%が持つ。
活動期から瘢痕期まであって、片側にこれを見たら8年で反対側に来る。
この長期自然予後は不良である。
新生血管の周りに生じる萎縮が視力低下の原因である。
強度近視の患者は神経質だが、その患者が何かを訴えたら何かがあると考えた方が良い。

 網膜分離症は牽引でできる。

1)近視性黄班症にはラジミズマブとアフリベルセプトが使われる。
これで長期予後も良くできる。
抗VEGF抗体で新生血管が消えてしまえば、その後の網膜萎縮も起きない。微妙に元の新生血管が中心窩を避けられている例もある。
しかし、網膜の萎縮が問題である。よく見るとコーヌスもその他の萎縮巣も拡大しているから、黄班の新生血管だけが問題なわけではないのかもしれない。
近視性黄班疾患にはRADIANCEとMYRRORスタディーがある。
それを見ると抗VEGFで投与後2年では優位に視力が良いが、後では有意差はない。
総体として70%が維持改善である。近視性黄班新生血管の再発はないが、萎縮で視力を失う。
γゾーン:ブルッフマクに穴がある。黄班部萎縮の原因である。

2)近視性網膜分離:区域による予後を見る。範囲が広いほど予後は悪い。
 黄斑剥離とは、網膜が裂ける現象。
最近教室の島田は、中心窩の内境界膜をはがさずに、黄班の外を剥ぎ、中心窩は残す手術をする。既にある層状黄班円孔に裏に抜ける穴を作ってしまえば、復位がむつかしいからである。黄班上に膜を残すと収縮してしまいそうだが、適切な所で網膜分離も治まって網膜は復位すると。

3)緑内障 強度近視外来は緑内障外来か?というほど緑内障が多い。
 その診断が困難である。全例にGPを行い損視野の形を見る必要があるほどである。若くて視野欠損が大きい例では、緑内障インプラント:エクスプレスも試している。

4)乳頭ピットと呼ぶもの:
 ピットはラミナ面では細く、その奥では広く開いていく。
同様の穴がコーヌスにも開くことが有る。
ぶどう腫縁の萎縮が見られる

5)ドームシェイプトマクラDSM Dome shaped macula
 強度近視の2割に後局部の境膜が眼球内に突出した形のものが見られる。これが黄班部の合併症の原因になる
近視では眼軸が伸びるが、最初は赤道部が伸びて問題ではない。しかし、その後ぶどう腫が出来ると、そのために網膜は引き伸ばされて痛められる。

6)分かっていない真実
 学校近視が強度近視になり、それがやがて病的近視になるという図がなんとなく信じられている。しかし長期観察例を見ると、病的近視は初めから病的近視として始まるのか?とも考えられる。
 医科歯科大学では、クロスリンキングなどの強膜を補強する治療法を強度近視の境膜を補強する方法としても検討している。

清澤のコメント:同じ大学に居ながら、医科歯科大学の強度近視研究班がこれほどの成果を上げ続けているというのに驚きました。今後一層の成果をあげられることを期待いたします。

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