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2015年6月28日

6519:脳から見たうつ病の病態と治療 岡本泰昌先生の講演を聴きました

岡本奏昌先生の 教育講演 脳から見たうつ病の病態と治療を拝聴しました。その聴講録です。

清澤のコメント:今回の講演はファンクショナルMRIを用いたうつ病診断のお話ですが、その方法論から応用まで良く筋の通ったお話を伺うことが出来ました。信号強度の分布や、タスクによる部位ごとの活性化をみるばかりではなくて、「安静時のMRIを一定時間記録して、脳内の各部位の信号の相関を見る」ことで脳内各部分の連結の強さを見ることが出来るという方法論は私には魅力的にかんじられました。

(⇒http://www.ustream.tv/recorded/62204156 こちらにも先生の講演のどうががありました。)

お話の要点は以下の通りです: 

痛みも最近の精神科のトピックスになっている。
脳から見たうつ病の臨床兆候
安静時の脳活動から見たうつ病などを話す。

◎心と脳に付いての生物学的考え 5つの原則 Kandel E
○フロイト:精神分析学のフロイトもニューロンの連結の強さの変化が学習を構成すると早い時期から述べていた。
脳の機能局在からコネクトームへと話が発展している。。

偏桃体は:恐怖などを担当するが、そこにもマクロコネクトームが見られる。
世界の脳プロジェクトが多数あるがそれも:構造と機能、脳機能操作へと向かっている。

○脳機能測定法:にf-MRIがある。この方法は空間分解能が高い、時間分解能が良い。原理は還元ヘモグロビンの信号強度変化をMRIで検出するBALD法によるものである。

◎うつ病に関連する脳領域はどこか?:

◎気分障害の基本概念(ICD-10)

うつ病の臨床症状を1)認知、2)感情・気分、3)意欲、興味、動機、4)身体に分ける。それぞれに関連する脳のネットワークがあるのではないか、と考える。

1) 認知:cold cognitionとhot cognitionそして metaを考案する。

「言葉の取り出し」は「言語流暢性課題」で評価するが、この機能はは前頭野や帯状回にある。刺激される場所の他にタスクで抑制される領域(クネウス前部)もある。

自己関連付け認知:うつ病の人は、他人にどう思われているかを重視している。

2)感情と気分
認知以外は容易には実験課題に落とし込めない。だからここは難しい。

○気分誘導課題。(視覚と音を重ねて:「ペットの犬が死んだ」などの情報を賦課する):
偏桃体、これが記憶に関連する領域のネットワークにむすばれている。
○遅延金銭報酬課題:この課題では線条体の腹側に反応する。
○内発的動機付け課題:これには正しい如何にボタンを押すことを競うストップウォッチ課題、ワッチストップ課題などがあるが、 この課題では線条体の腹側部が活性化された。背外側は下がり、内側は上がる。

○うつ病の脳に構造的異常は存在するか?ACC(前帯状皮質)の体積は減少していた。

第2部;
治療の話。薬物療法で脳の異常は戻る。

急性期、緩解期、回復期を見ると回復期で回復している。

うつ病の活動の変化が治療で回復する。

機械学習を用いた判別。
機械学習とは、コンピュータがパターンを抽出するものである。

現在、機械による顔パターン認識、文章パターン認識、購入パターン認識などに用いられている。

識別性能は言語流暢性課題、金銭報酬課題構造画像55%などで有効である。安静時MRIでも60%程度うつ病を識別できる。

FC(?)では偏桃体と視覚領域の機能的結合評価が有効である。

安静時脳活動(resting fMRI)でデフォルトモードネットワークを評価する。
それにはローカルアクティビティーを見るものと脳内の結合を見るものがある。

主成分分析:活性と脳結合が相関すること

うつ病では前頭部の活動が高い。うつ病では適切な心理的休息が取れていないことが分かった。

◎今後の展開
安静の脳パターンを予見の無いクラスター分析で3群に分けることが出来た。
主要な20の結合の強弱を見れば、うつ病が81%でわかる。
この方法の利点は、MRIの機種を超えて利用できることである。(広島大学とATRなど)
大型脳活動計測装置で作戦を立て、この結果を小規模な測定装置に移植する方向性で。
更に、ディープブレイン刺激やTMS磁気刺激などで個人へのフィードバックもできるし、ニューロフィードバックという方法論もある。
しかし、これらは未だに臨床の役に立つという段階ではない。

デコーディング:脳画像から精神的な活動が解る。これは今までとは逆の方法論である。
神経生理学的機能検査に基づき、脳局所を自己コントロールすることを期待する。
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講演に出て来た用語を少し調べてみました。

BOLD効果/ボールド効果:《Blood oxgenation level dependent》脳の活動を画像化するfMRI(機能的MRI装置)の基本原理で、酸素と結合したオキシヘモグロビンと酸素を放出したデオキシヘモグロビンの比率によってMRIの信号強度が変化すること。オキシヘモグロビンは反磁性体で磁場に影響を与えないが、常磁性体のデオキシヘモグロビンは磁場を歪めMRI信号を弱める。

機械学習:機械学習は、データの中で、見えているものを手がかりに、見えていないものを、予測する技術。もともとは、人工知能研究の一環として、その名のとおり、ロボ的な機械が経験から学習することで自動的に行動を獲得していく仕組みを実現することを目指す分野だった。現在では、「データの中で、見えているものから、見えていないものを予測することを、コンピュータにやらせるための」技術、機械学習というと、統計的機械学習のことを指すことが多い。

デコーディング;脳から計測される信号は、身体や心の状態を表現する暗号(コード)と見なすことができる。その暗号を、機械学習やパターン認識技術を用いて解読する。この方法を用いると、心の状態を表現する脳活動を詳細に解析でき、解読された情報を機械やコンピュータに出力して利用する脳- 機械インタフェース(ブレイン- マシン・インタフェース)が開発できる。

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