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2015年6月22日

6701:目と頭で楽しむ驚きの技巧 岩崎貴宏、渓谷をアートに

目と頭で楽しむ驚きの技巧 岩崎貴宏、渓谷をアートに

編集委員・大西若人

2015年6月22日19時38分

写真・図版
岩崎貴宏「アウト・オブ・ディスオーダー(渓谷)」 タオル、浴衣、着物、制服、作業着 高さ58センチ 幅180センチ 奥行き180センチ

■「アウト・オブ・ディスオーダー(峡谷)」

 目で、そして頭で楽しむ。美術鑑賞の喜びが二つに集約されるとしたら、この作品はまさに両者を兼ね備えている。

 タオルや浴衣などの洗濯物が峡谷のように積まれ、そこに何本もの小さな鉄橋が架かり、鉄塔も立つ。その細かい造形にまず驚き、それが帯やタオルから解かれた糸を瞬間接着剤で固めて作る超絶技巧のたまものだと知ると、さらに驚く。

 広島市が拠点の美術家・岩崎貴宏(40)は、この「無秩序の外へ」を意味するシリーズなどで内外で評価されている。

 では、なぜ今回、浴衣であり、鉄橋なのか。国内の美術館では初めての個展を開くにあたり、岩崎は開催地の富山県黒部市に取材している。タオルや浴衣、着物は宇奈月温泉の旅館で、制服や作業着は地元の鉄道会社で使われなくなったものをもらい受けたものだという。そしてこの地形は、黒部峡谷のイメージで、鉄橋も実在の橋を題材にしている。

 峡谷に鉄橋が架かる美しい風景には、旅館や鉄道といった日々の人間の営みが潜んでいる。使われなくなった衣類のジオラマと今にも壊れそうな糸の鉄橋に驚きながら、その土地固有の風景、暮らしにまで気づかされる。(編集委員・大西若人)

 ◆「岩崎貴宏展―山も積もればチリとなる」は黒部市美術館(富山県黒部市堀切1035、0765・52・5011)で6月28日まで。月曜休館。一般500円。高校・大学生350円。中学生以下無料。

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