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2015年6月21日

6695:「オキュラーサーフェス疾患(ドライアイを中心に)」(堀裕一先生)聴講録

本日の第3回平成27年度東京都眼科医会卒後研修会の第二講は東邦大学医療センター大森病院の堀裕一先生による角結膜疾患のお話でした。題して「オキュラーサーフェス疾患(ドライアイを中心に)」でした。

ーー聴講メモですーー
収差は数が小さい方が画像の質は良いのです。
ドライアイのコアメカニズムは、涙液と上皮障害の悪循環とされます。具体的には涙液層の安定性の低下と、瞬目時の摩擦亢進です。

ドライアイ症状は主原因によって1)異物感:2)乾燥感、目の疲れに分けられます。:

ドライアイの診断基準が有ります。
○自覚症状には、乾く、ごろごろする、疲れが含まれ、DEQS(ドライアイリレーテッドクオリティーオブライフ)が有ります。その仕組みはまずドライアイの強さを聞き、次にその頻度を決める様になっています。これは、治療効果判定には有効だろうと思われます。

症例:涙液の破壊の形はエリアブレークで、角膜上にミューカスプラークがあった人です。この例のようにシルマー1ミリがプラグを入れることで9ミリになっても、本人は満足しないことも多いです。自覚のDEQS(デックス)とシルマーやBUT値は相関しないことが多いのです。

次は手術後のドライアイに例です。点眼が効かず、上下プラグを置いても患者さんはハピーではありません。流涙とドライアイの間で患者さんの状態の振れ幅がひどいのです。
この症例は神経症性障害と考えられ、サインバルタ(SNRI)などを精神科に処方してもらうことでで良くなりました。(清澤の追記;身体表現性疾患かもしれません)

・2013年ベイジンスタディーやIOVS2013のFernandez論文(注1)にも退役軍人のドライアイがうつ病に合併するという論文が有ります。

ドライアイのメインの話に行きましょう。
TFOTという眼表面の評価に基づいた治療法が有ります。

角膜と涙液の層別治療を論ずるものです。この考え方では油層、液層。ムチン層をそれぞれに考えます。

○ジクアスとムコスタに付いて:共にムチン分泌は促進しますが、:1)ジクアスはP2Y2受容体絡みで、涙液を治すのに対し、2)ムコスタ(は作用機序不明だが、眼表面粘膜を治すという分析に基づく使い分けが有用です。
ジクアスなら;MUC5ACを測ると10分後に発現していることが分かります。また10-30分までではメニスカスは増えています。ジクアスは水分とムチンを増やすのです。

涙液破壊の4パターンを身につけましょう:
1)スポットブレーク:水濡れが悪いという事。BUTはゼロ秒という事です。ジクアスかムコスタを改善には数か月かかるけれど使用します。これはBUT短縮型ドライアイの形で、シルマーは低値です。

2)ラインブレーク:縦にブレークする。軽度から中等度の水不足です。

3)エリアブレーク:水が動かない。上下の涙点プラグを要するほど重症の角結膜障害で、ミューカスプラークも伴うことが有ります。

4)ランダムブレーク:

ジクアス;短時間で効く、BUT短縮型および涙液現象型に良い。
ムコスタ:長所はオキュラーサーフェス疾患むき、BUT短縮型。短所:白濁、他剤との併用でスライム状の沈着物形成もある。角膜上皮のバリア機能も改善する。

神経麻痺性角膜症:脳出血後の角膜障害にも効く。

症例提示:
○74歳女性、慢性結膜炎、全面SPK:眼類天疱瘡(MMPともいう)角結膜上皮基底膜に対する自己免疫疾患です。ドライアイ、ステロイド、リッドハイジーン。涙点プラグ、人工涙液。急に目が痛くなることが有る。

○73歳男性、右の白内障術後SPKの遷延。眼類天疱瘡で結膜が角膜上に入り込んでいる。

角膜幹細胞疲弊症。通常の治療ではだめです。自己培養口腔粘膜上皮シート移植をする。(佐竹医師東京歯科大提供の写真提示)

白内障をアウェイで手術する際には、術前にひと手間かけて結膜をみてからにしたほうが良いです。

薬剤毒性角膜症:角膜バリア機能の障害を伴います:すべての点眼を一時中止し、防腐剤フリーにした上で、必要ならステロイドを追加します、これも視力回復には時間がかかり、例えば4か月かかると患者さんには伝えます。ドライアイが明らかでないなら、涙点プラグという治療は違います。

薬剤性接触皮膚炎:これは刺激性とアレルギー性に分けられます。塩化ベンザルコニウムが原因ならアレルギー性です。治療は原因除去とステロイドであり、それで2週間でなおります。

TS-1涙道障害。抗がん剤による涙道閉塞、角膜炎、角膜びらん、角膜潰瘍が起き得ます。5FUを主成分とする薬剤です。開始後3か月ほどで発症。TS-1内服での流涙なら通水できてもチューブを入れるとのこと。

タルセバ錠角膜障害:これも抗がん剤で、良く全身に皮疹が出来ます。帯状疱疹かと思うくらいのものです。

角結膜診察のポイントは:
フルオレセイン染色は少量だけを付けるのが必要。
ドライアイの病変なら結膜にも変化があるはずです。
薬剤毒性なら角膜中心の変化です。
Patchy SPKはドライアイに特有です。

ベンザルコニウム障害では:角膜がフルオで青く深くまで染まるバスクリン角膜症にもなることがあります。
Epitehelial crack lineは特徴的。,
Vortec patternはハリケーン渦巻状とも表現され、薬剤障害の初期から見られます。

要点は薬剤性角膜症、緑内障点眼薬によるもの、塩化ベンザルコニウム、抗がん剤によるものを見分けて対応することです。
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清澤のコメント多くの具体的な症例を提示してお話しくださいました。事務局でコピーして配布いたしますので、スライドをハンドアウトで配布してくださっても聞きやすく、メモも取り易くてより良いかと思いました。

脚注1)退役軍人250人程度のドライアイを分析した論文は下記の通りです:Dry Eye Syndrome, Posttraumatic Stress Disorder, and Depression in an Older Male Veteran Population
Cristina A. Fernandez他 Investigative Ophthalmology & Visual Science May 2013, Vol.54, 3666-3672. doi:10.1167/iovs.13-11635 (オープンアクセスで⇒http://iovs.arvojournals.org/article.aspx?articleid=2189841)
私も昨年から同様の米軍退役軍人50人程度の検診を引き受けておりましたので、このような興味も持って見ることが出来たのかと思いました。

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