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2015年6月6日

6643:神経学的な体場から見た眼瞼痙攣;目崎高広先生 聴講記

目埼先生のお話は、神経学的な体場から見た眼瞼痙攣のお話で、いつもの通りの明快なものでした。

1、まず単語の使い方を正確に
顔面けいれんと眼瞼痙攣の合併例がある。その頻度は、それぞれの偶然の合併よりも多い。それには様々な理由付けがなされる。
 症例:片側顔面けいれんに見えたが、反対側にも症状があったという眼瞼痙攣例

1) 左右の筋に同じ強さの刺激が神経を通して為されるから、「片方を麻痺させれば反対側の痙攣が相対的に強まる」というヘリングの法則を使った説明が出来る。
2) Pseudo Plus-Minus Lid Syndrome? (Plus-Minus Lid syndromeというのは中脳の症状である。そのまがい物という事で有って、それなら筋無力症MGだが、)

2、いわゆるメイジュ症候群について
メイジュの語源はアンリ・メイジュによる。フランス人だからHenriかと思うと、原著ではHenryと英国式のつづりである。眼瞼痙攣+オロマンデブラーデストニアをメイジュと呼ぶ悪習がはびこっているがこれは間違いである。つまり、ブリューゲルシンドローム(Marsden)との混同が為されている。
いわゆる誤った使い方でのメイジュ症候群とはPaulsonが初めに記載した不随意開口を伴う眼瞼痙攣の事である。
Marsdenは:ブリューゲル症候群として口と目の動きの異常例を記載し、メイジュもすでにこれに言及しているかもしれないとした。これが誤解を呼んだのだが、メイジュは口には言及せず単に正中の眉間あたりの異常痙攣を記載しているにすぎない。

演者目埼が見た301例の眼瞼痙攣では、ほとんどが口の異常運動を伴ってはいなかった。
若しなにがしかの用語を使いたければ、メイジュ症候群ではなく、頭頚局所的ジストニアという事になろうか?またこの口の異常運動は口吻ジスキネジアであって、ジスキネジアとジストニアは違う物である。

3、ボトックスの使い方の復習
眼瞼痙攣治療には順番というものがある。

ボツリヌス注射、吊り上げなどの手術、その他を考えよ。
最近の論文にブリンクレート(瞬目回数)に関する議論がある。(Ferrazzano JNNP 2015にその解説あり)

さて、若しボトックスが効かないと患者が言うとすれば
1、ボトックスの量が足りない(強い痙攣を顔面頬の広汎な部分に示すアコーディオンファシエスという言葉もあるその様な例では更に多量を要すだろう。)、
2、薬の広がりが悪い
3、ボトックスを打った筋が痙攣している筋と違う
4、眼瞼弛緩で瞼の皮膚が下がっている(上眼瞼挙筋に効いても、これでは視界が狭い)
5、開瞼失行(この場合は、睫毛寄りで瞼縁に近いところにあるリオラン筋をめざして打てと)
6、痙攣性のベル現象が残って居る場合(眼輪筋は眼瞼が止まっても、上直筋痙攣による眼球上転が残っていたという例がある。)
7、そもそも全く違う疾患ならボトックスは効くはずがない
などのケースが考えられる

このほか
8、ジャックニコルソン・フェイス:ボトックス後に眉が吊り上がって怖い顔になったなら、通常よりも外側の前頭筋(眉山のあたり)にも打て

9、ブロープトーシス(眉の下垂):逆に目の外側が下がってしまった例を見たら、マラリス筋がボトックスで麻痺している場合である:東洋人には西洋人にはないマラリス筋が有るので、これがボトックスで麻痺させられて目じりが下がることもあることを考えよ。

⒑、開瞼と閉瞼で比べると、注射を打つ時の閉瞼状態の方で左右方向の単眼での目の幅が小さくなる人が居る様だ。そのような人では、上眼瞼内側及び外側の端に置くボトックスは開瞼時を想像して外ぎみに打てと。

◎投与後の注意点:としては、
○ボトックス後の局所マッサージは禁止。
○激しい運動の禁止
○入浴時に顔を風呂に漬けるな
等が挙げられる。
このほか、中枢への介入も研究が進められている。

眼科医清澤のコメント:ボトックス注射時における諸処の細かい注意点は、特に早速参考になりそうです。いくつかの用語と文献はその在処を復習しておきましょう。(注:聴講記事チェック依頼が必要。眼瞼痙攣の関連論文を著者に送付準備要。)

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