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2015年1月24日

6222:オキュラーサーフェス疾患と炎症:高橋浩教授講演聴講記

gallery(東京ドームシティーの会場窓からは綺麗なイルミネーションが見えていました)
オキュラーサーフェス疾患と炎症
日本医科大学眼科 高橋浩 教授のお話の聴講印象記です。

「ドライアイでの浸透圧と炎症の役割」
日本でのコンセプトと異なって、米国学派はドライアイを炎症ととらえる。

涙液浸透圧増加:360オスモール以上がドライアイの特徴である;
浸透圧とは:サリバンの論文では浸透圧が治療でよくなることが論じられている。
ティアラボという機械で浸透圧は測定されるのだが、涙液の浸透圧はそんなに高いのか?との疑問がある。もっともこの機械ではメニスカスの浸透圧を図るのであって、角膜表面の浸透圧とは言えない。このあたりは研究者が関連する利益相反でも議論になっている。

MMP-9は涙液での炎症の良い指標である。高張食塩水5%を点眼するとスパイク的に浸透圧は上がり、MMP-9も上がって炎症を起こすことが分かる。

スターンの論文では:シェーグレンとその他のドライアイは違う概念なのだが、ともにドライアイには免疫的な機序が関与しているという。これ以後、ドライアイ研究には免疫関係者が関与してきた。HLA-DRが浸透圧に相関しているともいう。

ニーダーコーンは乾燥ストレスで涙腺がやられて、涙が減るとした。細胞性免疫がドライアイに関与しているという。

スティーブンソンによれば、BUT(涙液層破壊時間)短縮型のドライアイでは浸透圧は変化するのか?が問われた、(あたらしい眼科2014に総説がある)

そもそも開瞼による浸透圧の変化はない。被験者の感覚から点眼濃度を類推する練習をすると、涙液のブレークアップ時には高い浸透圧が推定される。

高い浸透圧の生理食塩水を点眼すると、細胞自体には障害が無くても、その時インターロイキン6は増えている。それには人工涙液やNSAIDエヌセイドは効かず、ステロイドだけが有効であり、免疫抑制剤のレスタシスも効く。そこで、ドライアイ治療薬としてそのほかの抗炎症薬が研究されている。

ムコスタは粘膜のムチンを増やすが、このレバミピド(ムコスタ)はヒドロキシラジカルの抑制(抗炎症)の働きもある。胃での研究が目でも使われたという事である。

「ドライアイでの疼痛における感受性の変化について」
ムコスタ使用で、患者は点眼で「よくなりました」というが、そこには自覚症状と他覚所見の乖離が見られる。他覚所見はあまり変わらず、自覚所見だけが改善するケースもおおい。

ドライアイを治療して見られる諸所見の相関を見たら、相関したのは角膜と結膜のステインだけであった。他覚所見があっても自覚症状の悪いのは6割でしかない。

ベルモンテが作ったガス知覚計がある。シェーグレン症候群では、眼表面炎症で知覚過敏が起きている。そこにはハイポセンシティビティーという説があって;破壊されて再生する神経線維に神経の知覚異常が起きるというものである。

ベルモンテはガス知覚計を作った。これはガスのパフで力と化学的性質、そして温度への近くを知ることが出来るものである。

ノシセプターという概念がある。
痛みの分類では
障害受容性疼痛:トリップエム・エイト(寒冷を感じるレセプター)があり、tripM8はそれをノックアウトすると温度変化に反応しなくなるというものである。
ポリモーダル・ノシセプターとは?:
ドライアイには乾燥も炎症も関与している。
何もないのに症状が強い人では?ドライアイと疼痛刺激の関係が変化していて、そのような人では痛み刺激への閾値低下があるようだ。うつ状態の人がドライアイであることは多い。ドライアイの人ではneuropathyを起こしているのではないかとローゼンタールはいった。

「白内障手術とドライアイの話題」:
フルオステインは起きないが、白内障術後には浸透圧は上がっている。
白内障手術ではゴブレットセルの変性が起きる。
白内障では術後1週にドライアイを訴えるのが10%もいる。
これを一種の神経痛(ニューラルジア)と考えることが出来る。
角膜を切ることが、ドライアイを作るのかもしれない。

清澤の聴講コメント:高橋先生には以前にも、ドライアイが日本では涙液の濃縮と考えられるのに対して、米国ではあくまで乾きをきっかけとした角結膜の炎症としてとらえられるというお話をきいたことを記憶しています()。
今回はさらに詳しくそれ関連の話を伺うことが出来ました。すべてのお話を、完全に理解するには私はあまりに凡庸ですから、そこは、つながらない部分があればエイやとつなぎ、それでもつながらぬ部分は削除したところもあります。今のドライアイの概念が米国でどう扱われているかをしっかりと見せていただきました。

脚注
MMP-9とは:マトリックスメタロプロテアーゼ(英:Matrix metalloproteinase、MMP)はメタロプロテアーゼ(活性中心に金属イオンが配座しているタンパク質分解酵素の総称)の一群でありMMPの活性中心には亜鉛イオン(Zn2+)が含まれる。コラーゲンやプロテオグリカン、エラスチンなどから成る細胞外マトリックスの分解をはじめとし、細胞表面に発現するタンパク質の分解、生理活性物質のプロセシングなどその作用は多岐にわたる。MMP9 ゼラチナーゼ-B(92kDa) 分泌型

HLA-DRとは?;HLA-DRはMHCクラスⅡ抗原で,34kDaのαポリペプチドと29kDaのβポリペプチドで構成される膜貫通型糖タンパクです。 この分子は抗原提示細胞(APC)であるB細胞,単球,マクロファージ,樹状細胞などに存在します。 活性化したT細胞にも存在するため,その指標にも有用なマーカーとなる。

tripM8とは?:皮膚近くにまで広がっている末梢の感覚神経には、TRIPM8(トリップエムエイト)と呼ばれるタンパク質でできた冷受容体があり、“冷たさセンサー”として冷たさを感じている。ある温度以下になるとこの“冷たさセンサー”は冷たさを感じ、それを脳に伝えて脳が「冷たい」と感じる。その一方で、こうした冷たさの感じ方は、周囲の温度によって変わることが以前より知られている。

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