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2014年11月12日

6008 『最貧困女子』という注目されている本を読みました

 幻冬舎から2014年9月に発売された『最貧困女子』(鈴木大介著)という注目されている本があります。

 実際に苦しい人々がいる事には私も臨床診療の中で感づいてはいましたが、さらに深い思いもよらぬ淵に落ち込んでいる救いのない人々に関する衝撃的な内容です。診療所に現れることのできる人々はまだなにがしかのセーフティーネットに救われている人なのでしょう。

「働く単身女性の3分の1が年収114万円未満。中でも10~20代女性を特に「貧困女子」と呼んでいる。しかし、さらに目も当てられないような地獄でもがき苦しむ女性たちがいる。それが、家族・地域・制度(社会保障制度)という三つの縁をなくし、セックスワーク(売春や性風俗)で日銭を稼ぐしかない「最貧困女子」だ。可視化されにくい彼女らの抱えた苦しみや痛みを、最底辺フィールドワーカーが活写、問題をえぐり出す」(アマゾン)

“3つの縁”とは?
①家族(経済的に頼れる親)
②地域(地元友人のコミュニティ)
③制度(生活保護などの社会保障制度)

 このドキュメントは様々な経緯で上記の3種の支持を失い、最終的に風俗産業に流れ着く「最貧困女子」を描いています。
 不幸な生い立ちその他の理由で未成年者が家出をして都市に流入した場合、アパートを借りるにも職を得るにも、収入証明や保証人が必要ですから、その日の寝場所やアルバイトの職を正規のルートで確保することは不可能であるといいます。

 未成年者雇用は危険な業界でもリスクが高く、正規の組織ではタブーなのだそうです。そこで、その道の先輩のような立場の男女がまずは善意からとりあえず宿と食事を与え、稼ぐ手段を教えるというような経緯で家出人はセックスワークに入ってゆきます。つまり若年貧困者とセックスワークはアフィニティーが高いというわけです。

 そして、さらに最貧困女子の中には精神を病んでいる人が多いといいます。通常の読み書きや、理論的な思考を苦手とする人も多く、そのようなケースではセックスワークの中でもここに採録することがはばかられるような、具体的な最底辺を担わされているということをレポートしています。

 解決への答えのない、誠に気分が暗くなる内容ではありますが、重要な視点を与えていると感じました。

新書: 213ページ
出版社: 幻冬舎 (2014/9/27)
発売日: 2014/9/27

 方向性は違いますが、次は社会派サスペンス「パレートの誤算」柚月裕子著に向かいます。https://www.kiyosawa.or.jp/archives/54267099.html

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