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2014年11月10日

6004  眼瞼痙攣の診断と治療 清澤源弘(第16回 艮陵女子部会)

関東艮陵だより
誠に背熱ですが、この記事は「関東艮陵だより 第38号」からの採録です。

艮陵関東同窓会 第16回女子部会開催

清澤源弘先生の「眼瞼痙攣とその治療」等内容充実の講演行われる

 第16回 艮陵女子部会は7月26日(土)、私学会館アルカディアにおいて開催されました。 猛暑が続き、土曜日のお忙しい中、21名の先生方にご出席いただきました。
 今回は、昭和53年卒の清澤源弘先生による「眼瞼痙攣、海外治療事情など」と題するご講演があり、参考となる意見も多々承りました。

 眼瞼痙攣に出会ったら、眼精疲労によるものと簡単に考えずに薬剤性中毒かもしれないと考えるべきかもしれません。 

 以下は、清澤先生から頂いた、当日のご講演内容の詳細でございます。(田中佐喜子)

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眼瞼痙攣の診断と治療 清澤眼科医院 清澤源弘

眼瞼痙攣は自分の意思に関わりなく目が閉じてしまって開き続けていることができないという奇妙な疾患で、神経学的には錐体外路系のジストニアと呼ばれる疾患に含まれています。
 臨床的には間欠的な瞬目を訴える軽い眼瞼痙攣患者から、眼痛で日常生活が不能な重症者までに亘ります。
 初期症状は、瞬目頻度増加(77%)、眼瞼攣縮(66%)、眼刺激感(55%)、顔面下部痙攣(59%)を含んでいます。診断に先行する徴候には流涙、眼刺激感、羞明および弱い視覚的苦痛を含みます。これらの苦情は通常の眼科診療においても一般的なので、適切な疑いを持つことは早期発見に有用です。
 患者は、テレビ鑑賞、読書、運転、歩行を順に断念することになります。さらに不安を増し、社会的接触を回避し、元気喪失、失職、さらには自殺願望にまで至ることもあります。
 一般人口中の眼瞼痙攣の頻度は10万人に5人。その女:男は1.8:1で、発症の平均年齢は56歳、患者の3分の2は60歳以上です。
 正常な瞬目時には閉眼筋(眼輪筋、皺眉筋、鼻根筋)と、開眼筋(上眼瞼挙筋および前頭筋)の2筋群はお互いに抑制し、開瞼筋群と閉瞼筋群は個別に作用するのですが、ジストニアではそれが同時に作用して、健全な瞬目ができないのです。
 完全な治療法はないですが、ボツリヌス神経毒素の眼輪筋への注入が症状の減弱に利用可能で最も有効な治療法です。
 経口薬と手術も取りうる選択肢です。さらに補助的に瞼の衛生処置と涙小点閉塞措置、それにクラッチ眼鏡で支えることもあります。
 最近私たちが発表したのが、ベンゾジアゼピン系(リボトリール等)やチエノジアゼピン系(エチゾラム等)薬の長期投与中に眼瞼痙攣を発症する薬剤性眼瞼痙攣です。臨床症状は、原発性眼瞼痙攣に類似していますが、原因薬の中止で眼瞼痙攣の症状改善がみられることがあります。
 私たちはFDG-PETを用いて脳の安静時糖代謝を測定し、患者群の糖代謝を健常群と比較し患者の脳の異常を見出しました。
 ベンゾジアゼピン系薬は、抗不安薬、睡眠導入剤、などとして使用されているのですが、脳内の中枢性ベンゾジアゼピン受容体に結合し、神経細胞の興奮を抑制するのです。睡眠薬の使用にあたってはこの知られざる副作用にもご注意ください。
  (昭和53年卒)

 (ちなみにこの号の前のページには平成26年関東艮陵同窓会で東北大学総長 里見進先生が特別講演をなさった記事が出ています。)

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