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2014年11月5日

5988 外国人の診療について、そして医療ツーリスムとは

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昨日の朝、「外国人の診療の扱いについて」の質問を九州で眼科医をしている友人からいただきました。お答は、普通に診療し保険を持ってない人の場合のように私費で料金をいただき、その際に希望されれば英語の領収書を出せばよいという答えです。

さて、今日はメディカル・ツーリスムについて考えてみましょう。

メディカル・ツーリスムは医療観光と訳さられこともあるようですが、元は「医療を目的として海外に移動すること」を意味します。

 私の診療所にもよそにかかってきたのだが、視神経の炎症や外傷から視力は回復できないか?と言って訪ねてきてくださる方々がおり、それは近隣であったり、国内の遠隔地であったり、はたまた外国からであったりもします。外国から日本まで来られるということはそれなりの苦労でしょうが、必ずしもそれは富裕層ではありません。

日本のように、誰もが比較的安価に高度な医療を受けることができる国は、世界的に見て極めて稀だそうです。海外では、自国内での医療の問題(低い技術水準・長い待ち時間・高いコスト等)から、外国の医療を切実に求めている人が多いのが実情です。そのため近年では、必ずしも裕福でなくとも、医療を目的として海外に渡航する患者が増加しています。(1:http://medical-tourism.jnto.go.jp/amt/)

自国の医療水準が周辺国と比べて低いため、ドイツ・スイス・イスラエルなどで受診するロシアの例(1)は有名ですが、東南アジアでは日本の工業製品に対する信頼感から日本での医療を試してみたいという人も少なくはないようです。また高度医療機関への受診が限定されており、また、必要な治療を受けるための待ち時間が長いため、フランスや東欧諸国で受診するイギリスの例(1)などもあります。無保険や低所得のために、米国内での高価な医療を受けられない人が、メキシコ・コスタリカなどで受診するという米国の例もあるのだそうです。

 北米やアジアでは”medical tourism”という言葉が使われますが、欧州では”health tourism”という言葉の方がより一般的だそうです。

一般に”medical tourism”は 「医療を受ける目的で国境を越えて他国に行くこと」と位置付けられることが多いようです。「メディカルツーリズムとはなにか?厳密な定義はないようだが、ここではやや狭く、患者が医療を求めて他国に移動することと考えよう」と真野俊樹  多摩大学医療リスクマネジメントセンター教授はおっしゃっています。

“医療を求めて国境を越える外国人患者”を受け入れることは、「人間一人ひとりに着目し、生存・生活・尊厳に対する広範かつ深刻な脅威から人々を守り、それぞれの持つ豊かな可能性を実現すること」を目指す『人間の安全保障』の理念に適うものであると言えます。自国では受けられない医療を、日本で受けることにより健康を回復し通常の生活を取り戻すことを求めて来る外国人を受け入れることは、我が国にとってより意義が大きいというお話もあります。『人間の安全保障』の理念は、2001年に国連で“人間の安全保障委員会”が設置されたのを機に、国際的なコンセンサスともなりつつあるということです。

 さて外国人の診療をするということは難しいことなのでしょうか?それは私の経験では、決して難しいことではありません。国内の患者さんを診察するのとまったく同じことをすればよく、支払いが私費扱いになるだけです。そうなのですが、そこには3つの問題があります。

 まず第一に、患者さんの来訪回数が通常は1度程度だけですから、眼科なら視野や眼底撮影、このほかMRIや採血が必要な場合にはあらかじめその時間の手配が必要です。外国からの診療の申し込みがあれば、その診断名により当医院でのスタッフはあらかじめその手配をしています。

 次に、支払いが全額私費扱いになりますから、通常の日本人の患者さんの3倍はかかります。その点の了解が得られないと何もできません。視野、画像や採血も基本的にはすべてやり直させていただいています。

 三番目は、今後の治療をどう地元の医師につなぐかという問題があります。英語で、現状と対策を記し、今後の治療をお願いすることになります。受け取る英語の紹介状は通常は大変きれいなものなのですが、これに返事を英語で書くのも慣れてない身には苦痛です。ほとんどの眼科症例では、居住地と此処での診療水準はそうは違いませんでしたから、英語で手紙を書くというのだけが問題です。

 先日東京医科歯科大学の担当理事のT先生に伺ったら、東京医科歯科大学でもメディカルツーリスムを各科に導入しようと努力しているそうです。であれば、難しい例はそちらにもおつきあいをお願いしようかと思いました。

 その直接の担当者は私も以前から面識のあるI先生なのだそうです。本日は大学での診療の途次、その担当のI先生お会いしてお話を伺うことができました。

 実情は、海外からの需要を掘り起こす筋の良いエージェントとの大学としての契約はできているのですが、まだ需要が見つからなくて、実際に受診したのは病院全体でもまだ眼科の3件だけだとのことでした。

 入国してから私が大学に送りこむのではなくてではなくて、海外からの受診申し込みの時点で(大学が受け入れを指定している)エージェントに話をつないでほしいとのことでした。私に話の入った有名大学で見てほしいという話には、そのエージェントを噛ませるという対応はごもっともと思います。(眼科疾患以外の症例でもその手でよいなら医科歯科大学にご紹介ができそうです。)

 このブログでも先に紹介しましたが、当医院では数か月前から、日本国内の基地にいる米軍の退役軍人の評価をする業務を始めています。それもある種のメディカルツーリスムにつながる話だと思いました。当医院ではバングラデッシュ人で、英語にも堪能なラーマンさん(ニューヨーク在住経験がある医療関係者)が通訳を務めてくれますので、英語圏、バングラデッシュや東南アジアからの患者さんには対応が可能です。

 彼にはすでに毎週定期的に入ってくる米国退役軍人の検診での通訳も着実に務めていただいています。そのほか、受付係も、検査係も、それなりに十分に対応をこなして、ゴールドマン視野までしっかり取ってくれいます。これには感謝です。

 受付係は、海外からの患者さんを受け入れる場合には、患者さんの概要をあらかじめよく理解して、入国前の段階である程度の検査予定の枠まで抑えてから迎え入れる必要があり(対外は日本人が電話してくれていますけれど)、それも実行してくれています。

 

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