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2014年10月31日

5971 気づきにくい目の病気,その症状と治療法など最新情報を紹介

n261105g気づきにくい目の病気,その症状と治療法など最新情報を紹介
日本医師会市民公開フォーラム 日医ニュース目次 第1276号(平成26年11月5日)

日本医師会市民公開フォーラムが十月十一日,「気づきにくい目の病気~緑内障・白内障・加齢黄斑変性~」をテーマに,日医会館大講堂で開催された(参加者:536名)

 道永麻里常任理事の総合司会で開会.冒頭,あいさつを行った横倉義武会長(今村聡副会長代読)は,「今後,日本では少子高齢化の進行により,加齢に伴う目の病気の患者数が増加することが予想されるが,視覚障害は患者やその家族,身近な人の生活だけではなく,社会全体にも大きな影響を与えてしまう」と指摘.

 その上で,「加齢による目の病気は,初期の段階では気づきにくく,進行すると現代の医学をもってしても失明を免れない場合もあることから,QOL(生活の質)を保つためにも,中高年になったら眼科検診を受けて欲しい」とした.

 続いて,千原悦夫京都府眼科医会副会長・医療法人千照会千原眼科医院長,常岡寛東京慈恵会医科大学眼科学講座主任教授,山本哲也岐阜大学大学院医学系研究科眼科学分野教授の三人によるパネルディスカッションが行われた.

白内障の最新治療と注意点

 常岡氏は,白内障の原因は90%以上が加齢であるとし,70歳以上の日本人の70%以上が白内障になっていると考えられると指摘した上で,その代表的な症状と治療方法を紹介.

 治療方法には,進行を遅らせるための「薬物療法」と,見えにくい原因である濁った水晶体を眼内レンズに入れ替える「手術」があるとし,「手術」については,技術の進歩によって十~二十分と短時間で安全にできるようになり,効果も高い治療法であるとした.

 また,手術を受けるタイミングに関しては,「老眼鏡を使用しても新聞が読みにくい」「自動車の運転に不安を感じる」等,日常生活に不自由を感じるようであれば手術を勧めるとする一方,状態によっては術中に合併症を起こす危険が高くなる等,手術が難しくなることもあるとして,適切な時期を見極めるためにも,定期的に検査を受け,よく医師と相談するとともに,日頃から自分でチェックすることを心掛けて欲しいとした.

緑内障の治療と加齢黄斑変性の最新情報

 山本氏は,まず,緑内障の特徴として,「進行するまで自覚症状がない」「元に戻すことが難しい」等を挙げた上で,自覚症状が出る頃には手遅れになるケースがあるにもかかわらず,緑内障の疑いがある人のおよそ90%が気づいていない現状を示すとともに,緑内障は眼圧をコントロールすることで進行を止めることができるとして,その診断方法や治療法を紹介した.

 診断方法の中でも「眼底検査」については,日本人の緑内障の70%は,眼圧が正常範囲であっても視神経に障害が起きる「正常眼圧緑内障」のため,緑内障を診断する上では最も適していると説明.

 治療の中心となる薬物療法に関しては,緑内障には自覚症状がないことから,「効果が実感できない」「面倒」等の理由で,患者が自己判断で点眼を中断してしまうことを問題点として挙げ,少しでも進行を止めて失明を避けるためにも,点眼を医師の指示どおり継続することが重要であると強調した.

 また,最近急増している難病の加齢黄斑変性については,根治治療が難しく,進行し始めると止めることが困難な病気とした上で,本年九月,加齢黄斑変性の治療を目指し行われた,iPS細胞を使った世界初の網膜細胞移植手術について,執刀医のインタビュービデオを交えて紹介.その上で,「緑内障や加齢黄斑変性は難しい病気ではあるが,現代の医療と治療の進歩により,治療が可能となってきている.早期に発見し,丁寧な治療を行っていくことが大切」であるとした.

視覚障害による影響や問題点

 千原氏は,緑内障,白内障,加齢黄斑変性に共通している点として気づきにくさを挙げ,その理由として,(1)片側の目に症状があっても,もう片方が補うため見え方が変わらないこと(2)脳による補填(ほてん)機能─があるとし,「視野チェックシート」を利用して,来場者に対し視野の簡易検査を実施.

 また,失明した場合の一番の問題は,娯楽の喪失に伴う精神的負担や,失業などの経済的損失等によるQOLの低下であると強調するとともに,衣食住が困難となるため,家族のサポートや国の援助も不可欠となることから,本人のQOLだけでなく,家族や社会全体にも影響することが問題点として挙げられると指摘.

 その上で,一人でも視力を失う人を減らし,また,低視力になった人に視力を回復して社会生活に復帰してもらうことは,本人だけでなく,サポートする周囲の負担を減らすという意味でも大きな意義があるとして,一年に一回は眼科検診を受け,健康な視力を維持するよう呼び掛けた.

 その後は,フロアとの間で活発な質疑応答が行われ,フォーラムは終了となった.

 なお,当日の模様は十一月十五日(土)に,NHK Eテレ(旧教育テレビ)「TVシンポジウム」で放送される予定.

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