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2014年10月11日

5908:木下茂先生に「角膜疾患:治療の考え方」という話を伺いました

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清澤のコメント:木下茂先生に「角膜疾患:治療の考え方」という話を伺いました。わたくしの聞き取りメモを記載しました。関西の考え方とおっしゃいましたが、とても明快で明日からの診療に役立ちそうです。大学ではよほどのことがないと菌までは調べませんでしたが、開業後は感染症が疑われる例の多くで起炎菌の培養を出すようになりました。そうしてみると、多くはレボフロキサシンが効くのですが、時に耐性菌が出てきます。そんな時は耐性の票を見て薬を変えますが、これもその結果が出るまではクラビットの(0,5%ではなく、)1,5%で良いのかもしれません。 

第18回コルネアアップデートセミナー東京で京都府立医大教授木下茂先生に「角膜疾患:治療の考え方」という話を伺いました。
原則の1から7が要点
原則1、医療は感染症との闘いである
常在細菌叢(ブドウ状球菌、肺炎など)と環境菌(緑膿、セラチアなど)がその対象。
原則2 MRSA感染症には患者背景があります。
原則3;起炎菌を想定する
原則4 抗原を排除せよ 除菌、除ウイルスをせよという事
原則5:角膜手術法が変化している。
安定したトリプル手業が行われる:
DSAEKは2007年ころから始まり、今ではDSAEKが増えてきた。
原則6 CMV(サイトメガロウイルス)内皮炎というものがある。
原則7:円錐角膜の治療が変わる

角膜疾患の診療は3つのiで考えます。

原則1、医療は感染症との闘いである

常在細菌叢(ブドウ状球菌、肺炎など)と環境菌(緑膿、セラチアなど)がその対象です
そう考えると、三重の作り置きの点滴で起きた感染死亡事件は、環境菌のセラチアだろうと考えられる

角膜感染の原因になる菌群は4つあります。
ブドウ状球菌、肺炎球菌、緑膿菌、そしてモラクセラです。

角膜の感染症は20歳代(コンタクトレンズが原因)のピークと60歳代(それ以外が原因となる)の2つに分かれます。

コンタクトの連続装用・過装用に関連するのは:CNS,アクネ菌、ブドウ状球菌の常在菌です。
MPS(コンタクトレンズの多目的洗浄液)の問題点は:コンタクトレンズでは感染症の90%がMPSを使用しています。
そして入院を要した角膜感染例は緑膿菌が70例、アカントアメーバが56例でした。

原則2 MRSA感染症には患者背景があります。
黄色ブ菌;限局性で表在性ですが、これは鼻にいます。(MRSA感染症の病院内での発生は消化器外科か、耳鼻科にいました。)酵母型真菌が臨床像は似ています。

MRSA,MRCNSの検出頻度は?:スタフィロの半数はMRSAやMRCNSなどの耐性菌です。
それを患うのは1)コンプロマイズドホスト(入院中、高齢者、DM,悪性腫瘍、アトピーなど)、あるいは2)コンポロマイズドアイです。
一般にMRSAは、抗生剤が効かないというだけで、その多くが弱毒菌です。

コリネバクテリウムは:これでは角膜感染症としては重症にはならないのだが、グラム陽性が多数出ていました。

角膜屈折手術(レーシック)での感染症はブドウ球菌か、マイコバクテリウムか、真菌です:これらでは炎症が強い特徴があります。また、反射性流涙がつよいです。

非定型抗酸菌と真菌の症例提示:代表例です:これは手術時に健全な角膜に菌が塗り付けられた形の感染が起きます。(コンプロマイズドアイではありません。)
少しはなしは変わりますが、職業に看護師が3人もいました。これは看護士など医療関係者は耐性菌を持っていることが多いことに関連しています。

原則3;起炎菌を想定する
一般感染症なら:ブドウ状球菌、MRSA,MR-CNS
コンタクト関連なら:緑膿菌、アカントアメーバ、ぶどう状球菌
屈折手術関連なら:非定型抗酸菌、ぶどう状球菌、真菌

細菌アレルギーなら
1) ヘルペス。(ウイルスの除去とステロイド投与?)2)アクネ菌(サルコイド?がそれであるとも言われているが)、3)、、

原則4 抗原を排除せよ 除菌、除ウイルスをせよという事
VZV(バリセラゾスターウイルス)の病態はやがて上強膜炎に移行する。
Pアクネ菌は遅延性の反応を起こす。:マイボーム腺炎角結膜上皮炎(角膜フリクテン型)
結膜の常在細菌叢は若い人ではほとんどがアクネ菌であり、老人ならCNS,MRSA、MMSAが多い。

原則5:角膜手術法が変化している。
1) 安定したトリプル手業が行われる:CCCは一辺で斬ろうとせずスパイラルCCCと呼ぶ方法で確実に行う。挿菅しないラリンギアルマスクによる全身麻酔で角膜移植手術は行っている。
2) DSAEKは2007年ころから始まり、今ではDSAEKが増えてきた。
これは移植する内皮を前房に引き込む方法です。この方法の利点は角膜の前面カーブに触ってないから視力が出やすいという事です。DSAEKは殊にフックス角膜ジストロフィーによいとされる。この疾患は日本人では少ないが、白人の5%くらいにある多い疾患である。(≒角膜グッタータ)。日本でも最近フックスは増えてきている。細胞がストレスを感ずると1型コラーゲンを作り膨潤して前房側に膨らむ。それが角膜グッタータの形成であって、殊に角膜の中央部に多い。
偽落屑のある例でみられる水泡性角膜症では緑内障ばかりでなく、角膜グッタータも考える。

原則6 CMV(サイトメガロウイルス)内皮炎というものがある。
角膜裏面にコインリージョンが出る。前房水のPCRで,CMVが陽性でHVSおよびVZVは陰性というもの。
サイトメガロウイルス角膜炎の特徴は:中高年の男性に多い。ガンシクロビル点滴などの治療法が指示されている

角膜内皮障害の治療は
1)水泡性角膜症に培養ヒト角膜内皮:の培養液を注入する方法がある。全部が6角形とは行かないが内皮はまずまず付く。
2)ロックインヒビターの点眼が有効。
か?内皮が良いところに伸展移動しているようだ。

原則7:円錐角膜の治療が変わる
1)ICRS(角膜リング):角膜内にフェムトセカンドレーザーでトンネルを作りそこに角膜を引き広げるようにリングを入れる。
2)クロスリンク:他の演者が詳しく話した。

脚注;
ブドウ球菌属菌は,コアグラーゼを産生するかしないかでコアグラーゼ陽性ブドウ球菌とコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)に分けられ、そのほとんどが CNSである。

コアグラーゼ陽性の代表菌種は黄色ブドウ球菌で,局所の化膿性感染を起こしやすい。

一方,耐性を獲得した黄色ブドウ球菌として最も有名なMRSA(methicillin resistant Staphylococcus aureus )は,院内感染の代表的菌種である、

ブドウ球菌の治療は,常在菌という特性から本当に起炎菌であるかどうか判断してから行う事が重要である。また,医療従事者にしばしば保菌されるため,標準予防策を主体とした院内感染対策を遵守することが肝要である

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