お問い合わせ

03-5677-3930初診受付

ブログ

2014年10月11日

5905:2014年のノーベル医学・生理学賞は「脳内GPS」細胞の発見に

ne310069_f1
2014年のノーベル医学・生理学賞は「脳内GPS」細胞の発見に 2014年10月9日 23:00 

カロリンスカ医科大学が発表
2014年10月6日、スウェーデンのカロリンスカ医科大学は今年のノーベル医学・生理学賞は、John O’Keefe(ジョン・オキーフ)英ロンドン大学教授とMay-Britt Moser(マイブリット・ モーザー)、Edvard Moser(エドバルド・モーザー)ノルウェー科学技術大教授夫妻に与えることを発表しました。賞金は半分をオキーフ氏が受け取ります。

受賞の対象になったのは、自分のいる場所、どこへ向かっているかを把握する細胞の発見に関してです。

研究内容
脳に自分の位置を認識し、それを記憶する細胞が存在するのを発見したのは、1971年のオキーフ氏の「place cells(場所細胞)」の発見に始まります。

オキーフ氏はラットが特定の場所にいるときに常に活性化する細胞が海馬にあることを見つけました。さらに他の場所に移動すると海馬の違う場所が活性化することから、この細胞は部屋の地図を作っていると結論づけました。

それから30年後の2005年にモーザー夫妻は脳の位置を認識するシステムの新たな重要なコンポーネントを発見しました。place cellsとは異なった神経細胞で「grid cells」と名付けました。この細胞群は共同作業を行い、正確な位置決めと道順を示すことを確認しました。

3人の研究は何世紀も哲学者と科学者を悩ましてきた問題に回答を与えました。その問題とは 、「どのようにして脳は自分の周りの地図を作ることができるのかそして、この複雑な環境で自分を案内できるのかです。」

脳の位置を認識するシステムは記憶、思考、立案に関する脳の働きに関して、細胞間の精密な共同作業が行われていることを明らかにし、細胞の働きの理解にパラダイムシフトを与えました。

(外部リンクKarolinska Institute Press Release http://ki.se/en/news/2014-nobel-prize-in-physiology)

眼科医清澤の追加のお勉強とコメント:
うかつにもオキーフ以来の場所や時間に関する脳内での認識に関する概念の変遷を知りませんでした。そこでのキーワードはplace ellsとglid cells でしょう。
調べてみたら、こんな記載もありました。空間認識という事はアルツハイマー病などで見られる空間的な認知障害(地誌的失見当識、地誌的見当識障害★)にも直接関連してきますから、眼科や神経眼科にも関連のない話ではありません。

(★地誌的見当識障害とは自分の目で見渡せる範囲を超えて屋内外を移動した場合に,道に迷う症状を言います。)

「内側嗅内皮質の格子細胞

 場所細胞の場所情報は、海馬で生成されているのか?Moserらは、海馬の一シナプス上流にあり、海馬への情報入出力を担う内側嗅内皮質(medial entorhinal cortex)に、単なる場所ではなく、その場所受容野が格子状になる格子細胞(grid cell)を発見した。格子細胞の場所受容野は、海馬と同様に再配置(realignment)が起こることが報告されている。嗅内皮質II,III層は海馬へ投射し、海馬はV,VI層へその出力を投射している。しかし、格子細胞は割合などが異なるがいずれの層でも見つかっている。また、海馬を損傷させると、格子細胞の場所受容野が不安定になることから、格子細胞は場所細胞の場所情報の単純な情報源ではなく、海馬と嗅内皮質の相互作用によってそれぞれの場所情報が安定的に形成されると考えられる。
(おそらく、今回のノーベル賞に直結したのはこのサイエンスの論文でしょう。Marianne Fyhn他,Spatial representation in the entorhinal cortex. Science: 2004, 305(5688);1258-64)

そして、(http://www.annualreviews.org/doi/pdf/10.1146/annurev.neuro.31.061307.090723)にPlace Cells, Grid Cells,and the Brain’s Spatial Representation System
Edvard I. Moser,1 Emilio Kropff,1,2and May-Britt Moser1という総説が出ています。研究室内でのジャーナルクラブで読み合せなどに使うにはよさそうです。

ne310069_f1左がオキーフさんの見つけたプレース細胞の発火パターン、右がモスターさんらが見つけたグリッド細胞の発火パターンです。四角い織の中のどこにいるときに発火したかを示しており、後者から前者に入力が供給されて場所の認識が成立しているという事を見つけたのがノーベル賞という事らしいです。

Categorised in: 未分類