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2014年9月6日

5796:14歳の前房蓄膿についての質問をいただきました。

345px-Hypopyon(wikipedia:Hypopyonから)
12歳女児の前房蓄膿についてです。:

前房蓄膿というのは、激しい眼内炎、ことにブドウ膜の中でも目の中では比較的前のほうに存在する虹彩に炎症があるときに見られることのある現象です。角膜とその後ろにある虹彩の間の空間を前房と呼びます。ここは通常は透明な液体で満たされていて、光彩の後ろにある毛様体と呼ばれる筋肉で作られる房水と呼ばれるリンパ液のようなものが、瞳孔からこの前房に流入しています。そして、この房水は角膜と虹彩の合わさる隅角で細い管(シュレム管)に吸収されてゆくという流れをもっています。
無題
このあたりに、強い炎症が起きて、その炎症に誘発される形で白血球が血管から呼び出されると、それが房水の中で沈殿して、乳白色のクリーム状のものが、前房の下5分の一程度を占める水平線状にたまって見えることになります。それなりに特徴的な状態なのでそれを前房蓄膿(hypopyon ハイポピオンまたはヒポピオン)と呼びます。

もっとも有名なのは、口内炎、外陰部潰瘍を伴うブドウ膜炎であるベーチェット病の眼内炎に伴って見られるものです。最近は、連鎖球菌に対する自己免疫現象ではないかなどという説も提起されているようですけれど、ステロイドや免疫抑制剤で治療されます。出た、12歳という年齢は、少し若すぎる印象があります。

そのほかの激しいブドウ膜炎でも、激しい炎症を示すものではこの前房蓄膿が見られるかもしれません。たとえば、急性前部ブドウ膜炎などを考えます。12歳のそれまでは健康な子供さんに見られる前房蓄膿であれば、そのあたりを考えながら、ブドウ膜炎の検索を進めるのがよいのではなかろうかと考えます。

また、外傷でも見られることがあります。稲の穂で目をついたときにおきる「突き目」と呼ばれる特殊な外傷でも、細い葉の先が深く刺入されますので、このような強い炎症が起きることが教科書には記載されています。下記の記事を見ますと角膜潰瘍で特にカビが関係したものでも見られるそうです。

さて、質問者の記載が標記の程度のあっさりとしたものですから、私のお応えもこの程度の答えと致しましょう。また追加の検索をして、書き加える点がありましたら追記いたしましょう(2014.9.追記完了7)。いずれにしても、炎症の原因を考えて、眼科で炎症を抑える治療をしてくだされば、(真菌感染などの難しいものでなければ)多くの場合には落ち着かせることができることが多いであろうと考えます。

追記:英語版ウィキペヂアの前房蓄膿の鑑別診断の部分の翻訳です:真菌感染も入っていますね。

前房蓄膿は、角膜潰瘍でも見られる。ことにアスペルギルスなどの真菌感染やフザリウム(枯草菌)による感染の場合に起きる。ベーチェット病、眼内炎、汎発性ブドウ膜炎/眼内炎でも見られる。前房蓄膿は無菌性の膿として理解され、分泌された毒素に反応して病原体の侵入自体の結果ではない。病原体によって分泌された毒素(トキシン)が、白血球の遊走を誘導し、これが前房に沈殿する。前房蓄膿は原因になる疾患の治療で自然に消えるから、体の中で起きる膿のうちで唯一特別な処置を必要としないものです。逆転型の前房蓄膿は通常の前房蓄膿と区別されなくてはならないものである。逆転型前房蓄膿は網様体扁平部からの硝子体切除術を行って、そのあとにシリコン油を内部からの圧迫剤として置換した時などにみられる。シリコン油が乳化し、それが前房に侵入すると、それは前房の上に浮かぶ。これは前房の下に沈殿する白血球が形成する通常の前房蓄膿とは逆である。これが逆転型前房蓄膿(inverse hypopyon)という名前の由来である。

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