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2014年8月31日

5775:神経眼科真鶴セミナーで大出尚郎先生の「心因性視覚障害と詐病」を聞きました

5775:真鶴セミナーで大出尚郎先生の「心因性視覚障害と詐病」を聞きました
109475cccb今回の真鶴セミナーのトリは大出尚郎先生の「心因性視覚障害と詐病」に関するお話でした。この心因性視覚障害というテーマは、気賀沢先生も源氏物語の登場人物を取り上げて優れた講演をすでにされており、柏井先生も依頼原稿を準備したと伺っています。

私も臨床心理士の協力を得てその特徴をまとめ、昨年の臨床眼科学会のシンポジウムでお話をしたところですので、大きな期待をもって今日の話を拝聴しました。
(https://www.kiyosawa.or.jp/archives/54150276.html)
(https://www.kiyosawa.or.jp/archives/54072778.html)
その聴講メモをここに採録させて戴きましょう。
ーーーー
初めに:心因性というと子供が詐病といわれたという意味で誤解をし親が拒絶することがある。実際に本人には見えていないのだから、視力がきちんと出るまでは眼科医の観察を要す。

定義:この疾患は除外診断である
診断に必要な検査には、眼科一般検査、両眼視、色覚、中心フリッカー、電気整理学的検査、画像診断、そして機能画像検査が含まれている。実際には器質的疾患がオーバーラップすることがあるので注意。

パターンを以下の4つに分ける
1) 学校の視力検査で視力低下を指摘されたが、視力低下の自覚はない
2) 視力低下の自覚はあるが、特定の心因は分からない
3) 視力低下の自覚もあり、その誘因が分かる
4) 眼球打撲や交通事故の後など詐病との鑑別が必要なような例

パターン1)は心身症
トリック(レンズ打消し法)で(1,0)/(1,0)が出る
本人に眼鏡願望がある場合もある。心理的な葛藤が引き起こすと説明することが可能。
(それであれば、眼鏡を作ってもよい。無理やり作らないとすると、話がこじれることがある。)

パターン2)も心身症
視力低下があって眼鏡店経由で眼科に紹介されてきたりする。
視野は求心性であるが、VEPはノーマルであったりする。
ストレスの多い塾通いについて、母親は「いつでも辞めてもよい」と、言っていると主張する。この場合、母だけの面接や、子だけの面接も必要。
ストレートに親に要求し反発する子供には心因性視覚障害は発症しない。大人びた、親の思いを忖度するような子供に現れる。
通院によって、習い事をさぼる理由を与えるのも一法。

パターン3)眼転換症状性神経症(この旧名称はヒステリー盲である) 
大人でコンピュータ使用が多いという患者の例。矯正視力(0,1)と(0,3)で、VEPや,MRIは正常である。他の検査も正常。
本人には仕事のストレスの自覚がある。産業医の指導で求職し、実家で養生させた。
普通は再発しないがこの例は復職後に再発し、職場変換で治った。

パターン4)眼心身症+眼転換省状性神経症
事故による受傷後2日で外傷性視神経症?を発症したという。RAPD無く、視神経色調もよい。のちに回復した。

眼心身症の特徴
女性で6-15歳(平均9歳)に多い。
両眼性の例が95%

発症機転が不明瞭な事も多い
学校検診(半数)、私欲低下自覚(30%)、打撲などのきっかけ(数%)で見つかる。

慶応での統計は、男子15例、女子85例であった。
両眼性で、その視力の低下は半端ではない。
視力検査のたびに変動した例が多い。
トリック法が効くことがある。
オートレフも乱れが多い。
その検査には調節麻痺剤が有効である。

○視野検査:
求心性視野検査、環状視野、らせん状視野が含まれる。
らせん状視野の成り立ち:注意の輪が小さくなってゆくと説明する(小口1998年日眼宿題報告)。
○両眼視機能や立体視機能はよかったりする
○パターンVEPが正常というのはその診断根拠となる。(調べると、むしろスーパーノーマルである。)詐病患者は非協力的であってその結果としてパターンVEPが悪く出やすい。

○心理テスト
 人格検査投影法:文章完成法(Sentence completion test)メディカルインタビューでは見えないものが見えることがある。

◎眼転換省状性神経症とは
この発年齢は全年齢に分布する。20-30台にピークはある。
女性に多い
発症はいつからとはっきりしている、片眼性の例も珍しくはない。

○誘引は;外傷などである
器質的疾患との鑑別はむつかしい症例が多い
できる限り他覚的に評価する。
詐病との鑑別も重要である。事実上症状固定が診断できないので、この場合には他覚的な判断もしにくい。

◎詐病の特徴
1) 病識病歴が明確である
2) 利得:主訴が「診断書希望」であったり、「見えないことによる利得がある」など
3) 検査に非協力的:視野検査やVEPで固視が悪い。眼底検査でまぶしがるなど。

詐病が疑われる場合の検査には、
1) 立体視
2) 両眼解放下でのGP視野(マ盲点が消えないなら変だ)
3) ORTe:変更レンズを利用した両眼解放下の視力検査(?)
4) RAPDがない
5) OKN,SPECT,fMRI,トラクトグラフィーなども行いうる。

詐病疑い例では、検査の目的などは、あらかじめ教えずにすべての検査結果が出てから説明するとすればよい。
詐病という言葉はカルテや診断書上には使わなくてもよい(と藤野先生に教えられたという、それは裁判官が決めれば良いことであると。)
診断書には自覚症状と他覚的検査結果に乖離があると記載するとよい。

◎眼心身症の治療
家庭から学校に出て初めて不安や戸惑いなどから生じる心的ストレスの結果である。
助長因子には;いじめ、担任との関係、家族関係などもある。
だっこ点眼もよいだろう;子供に逃げ道を作ってやるのがよい。

◎転換症状性神経症の治療
心因となる誘引の解決、良くなる可能性があることを説明し安心させるとよい。
精神科に渡すにしても連携を保ち眼科医の手から放してしまうべきではない。
「助けを必要とする心的な葛藤がある」との眼科医による理解が必要である。
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清澤のコメント:
 とても良く流れがつかみやすい講演でした。

 終了後に簡単な出席確認的なテストが行われましたが、満点が取れたわけではありませんでした。昨年の水沢の講習会と今回の2回分で、12月の日本神経眼科学会を待たずに講習会参加回数というハードルは越えられたようです。ORTを含む参加者総数は60人を超え、大盛会だったといえるでしょう。来年は新潟でこの会は予定されています。神経眼科という分野に興味がおありの方はご参集ください。

 以前には疾病利得があったり、詐病かもと思う例を見たことがありましたが、わたくしが現在見ている例は難治例も含めてすべて学童の群パターン1か2に属するものであり、成人例はありません。

 最後に質問に立たせていただき、レチノスキシスや錐体ジストロフィーなど一見正常だがOCTやERGに異常が見つかる例があるので、見落とさない注意が必要であろうと追加意見を述べさせていただきました。

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