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2014年7月21日

5648 糖尿病網膜症 最近の話題:を聞きました(聴講記です)

無題
本日の招待講演は九州大学教授で日本眼科学会理事長の石橋達朗先生。

1991年に糖尿病は18,3%で失明原因1位。最近の2005年でも19,0%で2位を占めている。糖尿病はそれが疑われる人は890万人、可能性のある人は2210万人。久山町スタディーというものがあって、九州大学が手掛けている疫学調査である。全住民を対象とする前向き研究であって、受診率は80%、追跡率99%、そして剖検率も80%ある。1998年から眼科も加わっていて、DM有病率は14%、DMの16,9%(全体の2,4%)

単純型10,3%はやや増えたが、前増殖型や、増殖型が減っている。

糖尿病黄斑症Diabetic macular edema.これは血管内から血管外への液体の漏出。局所性浮腫と瀰漫性浮腫に分けられる。そこにサイトカインが関与し、シストイドスペースを形成する。

1)血管透過性亢進のメカニズム
漏出にはパラセルラー(細胞間を通る)とトランスセルラー(細胞を貫く)がある。
●パラセルラーではタイトジャンクションが壊れる。
タイトジャンクション関連たんぱくではクラウジン5、オグレジン、アクチンフィラメントなどが登場し、これらは時に膜貫通型の物質である。
DMになるとタイとジャンクションがルーズになる。

●一方トランスセルラーではアルブミン、インスリン、グルコースなどが移動する。フェネストレーション(窓)も形成される。DMではトランスサイトーシスやフェネストレーションも亢進して来る。

このあたりで演者は1980年のExp eye resのラットストレプトゾトシン糖尿ラットの図を示した。

2)VEGFと血管透過性の関連。
VEGFとVPF(vascular permiability factor)が話題になったが後にこれは同じものであった。網膜だけでなくVEGFは硝子体でも作られている。VEGFはKDRリセプターに働く。高血糖や低酸素は網膜での透過性亢進を引き起こす。VEGFとパラセルラースペースの話ではクラウジン5が重要である。
VEGFによって、オクルジンやクラウジン5にリン酸化が起きてユビキチン化が起きる。その結果細胞外のタイトジャンクションが切れて開いてしまうのである。
VEGFはトランスセルラーパスウェイにはどう働くか?小包輸送にも関与している。アバスチン(抗VEGF)を硝子体に打つと窓構造が無くなる。その結果VEGFトランスジェニックマウスのFAではリークが無くなる。

3)治療戦略
まあ、アドナなどを遣うのは良いが、

新しい方法としては抗VEGFかステロイド薬の硝子体注射であろう
12月にはVEGFtrap(?)が新たに発売される。アバスチンは基本的に目には使えないからルセンティス(ラ二ミズマブ)
アジアを中心にDMRに対するREVEALリビール試験(大路先生などとともに)を行った。N=400で3群。①ラ二ミズマブ+シャム、②ラ二ミズマブ+レーザー、③レーザー::結果はラ二ミズマブで視力は向上するという結果だった。

硝子体手術:ビトレクトミーを行い、内境界膜をピーリングする。トリアムシノロンだけだとリバウンドする。

硝子体注射の繰り返しだけだと、高い、感染などの合併症、全身合併症もある。

そこで新たにROCKインヒビター(K-115)が登場。ロックインヒビターはアクチンの収縮を妨げてリークを減らす。ロックインヒビターでクラウジン5の発現も増える。
(VEGFによるクラウジン5抑制が外れるから)

そこでK115はVEGFを抑える二だが、これは点眼で遣うこともできる。そしてその点眼の眼内への到達はオートラジオグラムでも確かめられる。実はK-115はメラニンに親和性があり、網膜(色紙上皮)に付くのだ。
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清澤の印象記;
とてもストーリーがわかりやすく、楽しくうかがえました。
最後のオートラジオグラムは点眼で与えたK-115の画像ということでしたが、実に美しいものでした。
点眼液成分のK-115を何かの短半減期化合物かで標識化してウサギに点眼し、その眼窩全体のスライスをトリチウム感光性のプレートに露光して画像化したのでしょうか?そうでもなければ組織科学的な放射線を遣わない画像になりそうなものです。
また、通常の放射線化合物では長半減期ですから放射性廃棄物が膨大になります。

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