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2014年6月22日

5566 緑内障治療薬物治療の進化を聞きました(聴講記です)

特別講演 谷原秀信 熊本大学

緑内障治療薬物治療の進化

無題
ワインレプの図が示す通り:緑内障に伴う視神経変化は構造変化が先で、機能低下はそのあとにつづく。しかもそれは一方通行である。

治療に当たっては眼圧下降と神経保護という2つの概念がある。

薬物としてはピロカルピンがまずあった。そののちに次々にインパクトが加わって使用される薬剤が変わっていった。

◎ ファーストインパクトは;チモプトールの登場であった。
◎ セカンドインパクトは:プロスタグランジンの登場であった。:
◎ サードインパクトは:配合薬の登場であった。
◎ フォースインパクトは神経保護薬の登場である。
◎ フィフス・インパクトは、新しい奏功機序を求めて、このほかにも多数の薬の開発が進んでいる。
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眼圧は冬に上がる、ネクタイ。糖尿病、都会、瞬目。など様々な要因が挙げられている。
緑内障と言うのは、緑内障性視神経症である。高齢、家族歴、近視、眼圧などが影響因子として知られている。

薬物としてはピロカルピンがまずあった。そののちに次次にインパクトが加わって使用される薬剤が変わっていった。

◎ファーストインパクトは;チモプトールの登場であった。
◎セカンドインパクトは:プロスタグランジンの登場であった。:このためにセカンドラインが競われる時代となっている。2006年の三島のアーカイブに載った論文で、PGが列から飛び出した。それは副作用なく、よく効く。ベータブロッカーは夜には良く効かないからCAIがセカンドライには良いとされた。

PGの中では何がよいのかという競争を「PD waes」と呼んだ。

PGにはNo sponder存在の謎が存在する、

PGの一つではあるが、レスキュラーはノーリスクノーリターン型であり専門家はあまり使わない。一般眼科医はそれ故に使う人も多い。

PGにはキサラタン、トラバタンズ(バックフリーが特徴)、ルミガン(眼圧下降効果は強い)などがある。

FP受容体のスニップ解析で、どれに効き、どれには効かないかがわかるらしい。
二種類類のPG受容体があり、PM受容体に作用するのがビマトプロスト。FP受容体に作用するのはラタノ、トラボ、そしてタフルプロストともいわれる。

ヂューズ(上眼瞼溝の深化)はルミガンやトラバタンズに多い、

◎サードインパクトは:配合薬の登場であった。

アドヒアランスの意義が再度注目された。日本では厚生行政でそれまでは配合剤の市販が抑制されていたが、そのタガが外れた、

緑内障による失明は早期発見に失敗した(0,83)かアドヒアランスが悪い(1,81)かの何れかの患者である(チェンの論文)

少ない投薬数とすれば、PGかベータがよい。

方針はアドヒアランスの良いものを使えという事で、多剤併用時には点眼便数を減らせとの注意もある(このことは緑内障ガイドラインにも記載されている)

配合薬の導入後に配合薬の比率は増えている。

市販後調査 460例の報告を吉田愛が臨床眼科2014、88(4)P573に報告している(これには当医院も参加したかも?)

PGから配合薬にしてPGで17mmHgくらいから配合薬で14mmHgに下がった。
別々よりも配合薬でも、日に2回のβ遮断剤が一回に減るにも拘らず、同様に効くことが分かっている。

実際の配合薬としては、CAIとベータ遮断剤の配合ははコソプトとアゾルガ。
PGとベータならザラカム、ヂュオトラバ、そしてタプコムである。

まずはPG内での置き換えを試して、次にβ他を加えるか、あるいは配合剤にするか?を決めればよかろう。

セカンドライン、サードラインをどうするのか?が問われる。

そして最近は次のブリモニジンンもその議論に加わってきた。

4、フォースインパクトは神経保護薬の登場である。

LoGTS(?)の発表によって、はじめて厳格な臨床研究デザインの神経保護効果のエビデンスが構築された、

ブリモニジン(アイファガン);2005年Ophthalmology誌、視野の維持効果が期待されている。Krupin AJO 2005:lower^pressure Glaucoma Study group

ブリモニジン(アイファガン)では、眼圧下降は高くないのに視野の維持効果が強かったとした。しかし、20%程度が結膜の充血で脱落していた。それが視野の悪い群なら、残りの群の視野は良いことになるという反論もある。

De Moraes AJO 2012:は、多変量解析でもブリモニジンには視野保護効果があるとした。細胞内のBADのパスウェイに効くらしい。そのほかの説もあるが。大阪大の基礎の山下らの軸索再生に関連した研究もある。

フィフス・インパクトは、新しい奏功機序を求めて、このほかにも多数の薬の開発が進んでいる。

効果の面(再生医療など)からと、手法の面からの研究がある。

アデノシン受容体なども対象になる。
(清澤注1、そういえば昔アデソシンA1,A2aの眼内分布を留学生の王さんに調べてもらったことも有った。谷原先生に文献をお送りして批評を求めてみるか?)

既存のターゲットに対して:パンクタルプラグなどのドラッグデリバリーシステムを使ってβ2受容体の遺伝子発現を抑制する薬剤を入れる研究もある。

アデノシン受容体刺激薬
セロトニン、メラトニン関連役などもある。

アクチン細胞骨格制御薬=ROCK阻害薬も注目点である、谷原先生らは2001年に初めの発表をしたそうで、長い道のりであったという。;直接的にROCK阻害薬は房水流出の主経路に働く。最近ではコーワの薬K-115もあり。有用だが、実用にあたってはまだ改編の余地がある。実験動物はサルからウサギに移行した。生理的実験。コーワや千寿にこの関連薬剤の種はある。

結論:すぐれた眼圧下降効果と少ない副作用の薬が使われる。そして、多剤併用の選択肢が増えてゆく。
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清澤のコメント 
自分も日常の緑内障診療の中で体験してきた緑内障治療薬剤の変遷とその理由が美しくまとめられている御発表でした。私は緑内障治療薬の単なるユーザーでしかないのですけれど、いくつかの接点があったことを思いながら拝聴しました。

1、配合薬剤の有効性を調べた調査を新家先生が組織してなさった時には、開業したばかりでしたが、仲間に入れてもらった記憶があります。それが上の吉田論文であったかどうか?が気になりました。(緑内障点眼薬適正使用研究会の手で行われた、緑内障配合点眼薬の全国規模のアンケート調査?)

2、アデノシン受容体について、その昔放射性リガンド(試薬)開発で追いかけていた記録です。核医学の放射性薬剤のグループに入れていただき、体外から放射性物質を入れて、受容体の密度を測定しようとしていたのです。実験でオートラジオグラムを調べてもよし、人のPET検査でもよしと考えていました。緑内障への関連には思いは至ってはいませんでした。

1)A1なら:
Carbon-11-labeled KF15372: a potential central nervous system adenosine A1 receptor ligand. Furuta R, Ishiwata K, Kiyosawa M, Ishii S, Saito N, Shimada J, Endo K, Suzuki F, Senda M. J Nucl Med. 1996 Jul;37(7):1203-7.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8965199

2)A2aなら
Carbon-11-labeled KF21213: a highly selective ligand for mapping CNS adenosine A(2A) receptors with positron emission tomography.Wang WF, Ishiwata K, Nonaka H, Ishii S, Kiyosawa M, Shimada J, Suzuki F, Senda M. Nucl Med Biol. 2000 Aug;27(6):541-6.

3、緑内障とアデノシンで探すと総説がありました。A1受容体,A2a受容体がともに関連していて、新たに強力な治療薬としてはA3受容体が忠告されているそうです。私はもうこの研究からは手を引いていますけれど、時代がひと回りして、こちら向きの風が吹いている感じです。(近々2013の総説を記事にしましょう)

4、緑内障は視神経だけではなくて、外側膝状体、視放線、視覚領皮質にも変性を起こしている神経変性性疾患であるという考え方があります。この考えで書いたのが次のペーパー。
Positive correlation between the degree of visual field defect and optic radiation damage in glaucoma patients,Murai H, Suzuki Y, Kiyosawa M, Tokumaru AM, Ishii K, Mochizuki M. Japanese Journal of Ophthalmology 2013, Volume 57, Issue 3, pp 257-262 現在、PETデータを加えて続編を神経科学系の雑誌に投稿中です。

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